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「…..あれ?ジジ?」
「良かった~…」
意識もはっきりとしてきた。
『ねぇ~オカルン、今日おれん家でスマブロしよ~』
『良いんですか?!』
『もちろん良いに決まってるじゃんよ!』
『坂田君も誘う?』
『オッケー決まりね!!』
『あ、でも今日は綾瀬さん家にも少し用事があって….』
『なら俺がオカルンを迎えに行っちゃうよ~!!』
『ありがとね!ジジ!』
過去の記憶を思い出しているが瞳は虚ろなままだった。
「どうする?今日のスマブロ大会やめる?」
「金ちゃんに確認しても良い?」
「うん……」
そう言い、学生服の中の新調したパーカーのポケットからスマートフォンを取り出し、坂田へと電話を掛ける。
『プルルルル』と彼のスマートフォンから着信音が鳴る。
音が止み、相手の坂田が電話に出る。
『どうしたんだイケメン、ハッ!まさか、何かあったのか?』
「うん、その通りで…前に話した星子さんを蹂躙した奴に…」
「今度はオカルンがターゲットにされちゃって…」
『なんじゃとてぇー!!』
「で、今からモモん家へ手当てしに行くから、スマブロは明日か明後日にしようと思って…金ちゃんはどう?」
『オカルン、それでダイジョブそ?』
そう小声でジブンに話しかけてくる。
それ、とは日程調整の事だろう。
コクリと首を縦に振り、同意だという姿勢を見せる。
『高倉一等兵がその様な状態ではゲームも上手く行かない!』
『よって許可する!』
「サンキュー金ちゃん…フォー!!!」
「マジありがとね!」
『高倉一等兵、次はダンダムの新作を買わな』
まだ話をしていたがブツッと強制的に電話が終わる。
画面には00:18の文字が映り、通話時間が目に見えて分かった。
彼は円城寺におんぶして貰い、綾瀬家へ向かうことになった。
「….オカルン」
円城寺が厳重な雰囲気を壊すように会話を始めた。
「オカルンは凄いよ、たった1人でアイツに立ち向かってくれたんでしょ?それってさ…天才だし最強高校生じゃん」
普段のテンションではなく真剣なトーンで彼に感謝の言葉を
述べる。
「しかもその時俺たちの事も考えてたんでしょ?」
「力が奪われるかもって」
「…….え?何で分かるの?」
「親友パワーだからでぃす!」
だがすぐにいつものふざけたテンションに戻った。
「ふはっ…..何それ….!」
辛い事があったけれども、円城寺が発する声のトーンに安心しふにゃっとした笑顔に変わった。
「ちょっとモモに電話するね」
「….ジブン。降りた方が良いかな?」
「全っ然ヘーキ!」
「むしろオカルンといて安心するからそのままで良いよ!」
____________________________
『ジジから電話掛けてくるなんて珍しいね!』
「……今日、モモん家にお泊まりしても..!」
『え”ぇっ!?そんな急に?!』
「….松江城の中で男の変な奴いなかった?」
『え…..?ウチは松江城なんて行ってないけど….』
「….そっか……」
「オカルンがミイラ男と会ったじゃん」
「そんな感じで敵襲に…..」
『ガチ?』
「うん….」
「家の用事と手当てついでに泊まりに行っても…」
『ウチは全然大丈夫!ご飯用意しとくから!』
数分後、綾瀬家へと着いた瞬間。
モモが彼の身体を抱き締め、こう言った。
「生きてて….よかった….」
ポツリと本音が漏れる。
通話時はいつものように話していた。
だけれどもいざ、負傷した彼を目の前にすると生きてるという実感が湧いてきて、大粒の涙を流して泣いている彼女。
あの時の記憶が蘇る。
大蛇村で一悶着した後のような。
「綾瀬さん、心配しすぎですよ…」
「でも…友達が居なくなるのは悲しいじゃん…」
「大丈夫です。安心して下さい」
「”ジブンはここにいますから”」
「….!」
手をそっと握りしめられ、男気溢れる彼の言葉に。
溢れた涙を小さく、女性らしい手で拭いながら。
その一言で心がフッと軽くなる感覚がした。
「(オカルンが無事で良かった…)」
『キミが見えた瞬間、何かホッとしたの』
『めっちゃ好きッス』
過去の発言が2人とも脳裏によぎる。
綾瀬さんは今も昔も変わらないと。
ホッとしてるジブンがいた。
♡
家の中へ入るとバモラがちょうど料理を運んでいる際だった。
オカルン、モモ、ジジ、バモラの4人が食卓を囲んでいる。
『いただきます』
静かに両手を合わせ、命に感謝の言葉を述べる。
食卓には白米、味噌汁、鯵の開き、ほんれん草のおひたしに
豚の生姜焼き。と、健康的な夕食が並ぶ。
「おいしいですか?」
静かな家の中。
バモラが会話の流れを造る。
「はい!とても」
「今日の夕食…、バモラと一緒に作ったんだけど…」
「えっ!?そうなんですか!?」
「そうなの?!」
モモがそう言った瞬間、高倉と円城寺が同時に発言する。
「だってモモとバモラちゃんの手作り料理」
「チョー!美味しいし!」
「ウチあんま料理得意じゃないから…」
「ジジがそう言ってくれて嬉しい….」
(あ….)
あの時食べた、幽体離脱状態から戻った時に食べたカレー。
それはレトルト食品だったことを思い出す。
そっと添えられた『ダイスキ!!』と書かれた置き手紙。
「これはジブン達の為に作ってくれる料理なんですから」
「いつも食べてるご飯より」
「皆さんと一緒に食べるご飯が数倍美味しいです」
「(でも、綾瀬さんと食べるご飯が一番ですけど…)」
「ちょまー!オカルンそれほぼ告白だって!」
慌てて円城寺が口を開く。
皆(モモ)と食べるご飯が美味しい=結婚して傍にいてほしい。
と言う解釈に繋がったのだろう。
「え!?ジブン今変なこと言いました?!」
無意識でとんでもない発言が飛び出した高倉。
「タカクラとジンも落ち着きましょうス」
宥めるバモラ。
一時の食事は、とても賑やかになった。
♡
次の日。
その日は土曜日、休日だ。
今日は円城寺の家で友達の坂田金太と一緒にスマブロ大会をやっている。
「見える、見えるぞ!私にも敵が見える!」
ロボットアニメのセリフでゲームへ夢中になる坂田。
「落ちろぉぉ!!」
容赦なく対戦する高倉。
「フゥワッフゥワッ!!」
ゲームを楽しむ円城寺。
カチャカチャとコントローラーに付いているスティックとボタンを操作し、格闘ゲームを楽しんでいる。
男子高校生の青春と言える場面であった。
「今日はお世話になりました!」
「それでは…」
背中を向け、帰宅する彼であったが。
「待ってオカルン!!」
「何でしょうか…」
「前みたいになりたいの?!」
前、というのは例の事件のことだろう。
「俺が着いて行くよ!」
「大丈夫です、ジジがいなくても」
これは心配ではなく、本当に危険だから言っているけれども。
「もし、またジブンが同じ状況にあっていたら…」
「ジジはジブンを助けれるの?」
「…っ!助けるに決まってるじゃん!」
「あと俺、新しい事出来るようになったから」
「全然頼ってくれてオケーイ!」
明るく。ポジティブに返す円城寺だが、不安が一番にあった。