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お、お主、天才か!? やべぇ、毎回ハードルが上がっちゃう、、笑
第2話光縁寺
ガタンゴトン_
景色が後ろに流れていく
少し登った朝日が、私たちを照らす
「もう少しで着く?」
周りに聞こえないくらい小声で、春ちゃんに聞く
『ああ、もう少しだ』
春ちゃんによると、あと二駅程度らしい
やっぱり遠い…
もう今では、普通に慣れてきてはいるが、春ちゃんが横にいて、その仲間達を探しに行くなど、ファンタジーのようなことが信じられなくもある
[四条大宮駅です]
[お出口は右側です]
光縁寺の最寄り駅である、四条大宮駅で降りる
案外、人が多いことに驚く
よく見ると、恐らく新選組の聖地巡りをしているであろう、鞄を持った観光客もいた
聞くところによると、光縁寺は新選組の聖地として、ファンの間では人気らしい
…ネット調べではあるが
しかし、気になることが一つ
何故、春ちゃんは新選組の人達を探しているのだろう
もしかして、春ちゃんはそんな頃から生きていた人なのか…?
___いや、そんなわけないか
と、一人で突っ込む
そんなこんなで、光縁寺に着いてしまった
意外にも、こぢんまりとしていて、聖地とは名ばかりだなと、心無しか思ってしまった
ファンの人に聞かれてしまっては、大変なことになるだろう、とわかってはいるのだが…
私達は軽くお辞儀をし、鳥居の先へ入った
「春ちゃん、本当にここなの?」
本当にここに、山南敬助さんがいるとは思えないから
『ここのはずだが…』
『やはり、人が多いところにはいない、か』
『よしっ、寺の後に回ってみるぞ』
と、気狂いなことを言ってくる
「はっ、!?!?」
「そんなことできるわけないじゃない、!」
思ったより大きな声が出てしまったようで、周りの人にじろじろと見られている感覚が続いた
(やば…、私は今傍から見たら一人で来てる人なんだ…)
「っと、とにかく!」
「寺の後ろにはいけない、」
先程より声を小さくして言う
「だって、ここには寺の人もいるし、鎖で通れなくなってる」
「何せ、防犯カメラだって最近はあるのよ?」
木陰で春ちゃんに伝える
「こんなところで、捕まりたくないよ?私」
本音を言えば、この注目視されている状況から早く逃げたい
注目を浴びることは苦手なので
『そうか…、あんなら何とかしてくれると思ったのだが…』
と、しゅんとする
何故か不意に、犬耳が見えた気がして、
「っ…w」
「わかったわよ、w」
吹き出しそうになって、ぐっと堪える
「でも、私だけじゃ無理」
「まずは、あの防犯カメラをどうにかしてきて」
「じゃないと、流石にまずい」
春ちゃんは、OKと、一言言い防犯カメラのほうへ飛んでいった
ほんの、数分だけ、すぐに戻ってきた
『防犯カメラを壊した☆』
「は!?」
「……まあ、いいか、」
考えるのをやめた
本当は、誰が壊したとか、騒ぎになるところだろうが、私じゃないから大丈夫
…そう、思いたい
監視の人の目を盗んで、こそこそと寺の後ろに回る
「っはあぁ〜…」
「あっぶなぁ…」
『よし、山南さんを探そう』
「あれ、さん付けなんだ」
『…ああ、まあ…な』
…はぐらかされた気がした
これ以上追求したら、この関係が、この私達の距離感が壊れてしまいそうで、聞くに聞けなかった
本当に、こんなところにいるのかと疑問になるくらい静かなところだ
と、思っていたのだが
〈ん?〉
『あ、』
「え、??」
…いました、またまた幽霊が
今度は神社の裏手の階段に寝転んでいました
「ほ、ほんとにいた…!?w」
『山南さん…』
〈え、お前沖田君か?〉
「え、沖田君?」
聞いたことのあるような、ないような苗字を言われ、困惑する
『山南さん、今の僕は近藤春政です』
『…そう、呼んでもらえると嬉しいです』
〈…なるほど、了解した〉
〈あ、じゃくて…、〉
〈誰がお前なんぞの言い分に従わねばいけん!〉
独り言のように、言い換えた
これは、どういうことなのか…
調べによると、山南敬助さんは温厚なタイプらしいのに
『山南さん…、?』
『やっぱり怒って…』
〈あっ、いや…っ、そういうわけじゃ…っ…〉
あたふたと、手振りをする様子を見て二人して首を傾げてしまった
これはもしや…と、思い山南さんに声をかける
「山南さん、もしかしてグレたいんですか?」
単刀直入すぎただろうか
春ちゃんも、山南さんもぽかんとしている
『い、いや…、山南さんに限ってそんなことは…』
と、言いかけ山南さんの方を見る
〈な、なっ、何故わかった…っ、!?〉
予想的中
やはり、山南さんはグレたかったらしい
でも、その温厚な性格故にグレるのは相当難しいだろう
「いや…、バレバレでしょ…」
「心の声だだ漏れだったし…」
と、ポツリ
〈やはり、私には難しかったか…〉
『どうして、急にそんなことを…?』
〈あ、ああ、それは……〉
と、言いかけた時、寺の関係者達が裏手に入ってきた
「やばい…っ!」
「どこか、隠れる所は…」
焦った様子で、辺りを見回すが隠れられそうな茂みも、建物もない
〈こっち!〉
山南さんに手を引かれる
…いや、なんで触れんの、?
連れられたのは寺の敷地を越えた先の駐車場だった
「ぬ、抜け出せた…」
「ありがとうございます、山南さん…」
〈いえ、私達は他の人には見えないのでね〉
と、ウインク
昔の人もウインクなんてするんだ…、という素朴な疑問は既に春ちゃんで踏破されていた
そういうものなのだと、認識してしまっていた
〈そういえば、貴方は…?〉
「あ、私は夕凪杏菜です」
「先日、春ちゃんに会ったばかりでして…」
〈春ちゃん…?〉
と、言い、こちらの後ろへ目を向ける
〈ああ、なるほど〉
にっこりと、微笑む表情は温かさしかないように、温和な雰囲気を漂わせた
〈さて、この後はどうしようか…〉
〈寺には戻れそうにないし…〉
『何故ですか?』
〈それはね…〉
と、説明を始めた
簡潔にまとめると、どうやら外に出てしまったここの死者はもう一度中に入ることはできないらしい
何故かは知らないが
山南さんは、ここに墓があるからなかには戻れないそう…
『なら、あんの家に来ればいいですよ』
『俺もいますし』
〈そうなの!?〉
〈じゃあお言葉に甘えちゃおうかな!〉
と、こちらをチラチラと見てくる
勝手に話を進めないでほしい…
「はあぁぁ…」
「まあ、いいですよ…」
「というか、春ちゃんは勝手に決めないの!」
「貴方の家じゃないでしょ!?」
と、こっぴどく叱った
まあまあと、宥める山南さん
こうして、また居候が増えたのだった
次回⇛<第3話>.陽藍
設定
幽霊
名前:山南.敬助(やまなみ.けいすけ)
性別:男
性格:温厚、優しい
年齢:??
一人称:私
二人称:相手の名前にさんや、くん、ちゃんを付ける
その他:歴史上の人物、元新選組の副長
死因:新選組から脱走し、組の人に捕まり自ら切腹した
イメージ画
四条大宮駅(しじょうおおみやえき)
光縁寺から徒歩3分(500m)
光縁寺↓
内装↓
〈光縁寺〉
慶長16年〜18年(1611年〜1613年)頃に作られた
光縁寺の目の前に、新選組の馬小屋があったため、山南敬助ら27名が埋葬されている