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最近、康二はファンに言われる。
「最近、雰囲気変わったよね?」
「なんか色気増した!」
「大人っぽくなった!」
──自分では、よくわからない。
でもその裏で、康二の中には確実に“誰か”がいる。
深澤辰哉。
連絡が来ない日は、落ち着かない。
電話が鳴れば、すぐ出てしまう。
会える時間ができると、スケジュールよりも優先したくなる。
──これって、恋?
いや、もうそんな単純なもんじゃない。
🧡「ふか」
今日も彼の部屋。少し照明を落とした空間。
深澤はソファで脚を組んで、康二を待っていた。
💜「おかえり、康二。今日は、俺のことどれくらい考えてた?」
🧡「……朝からずっと。目ぇ覚めた瞬間から」
💜「それは良い子」
優しく頭を撫でられる。
なぜか、それだけで全身が痺れるほど嬉しい。
🧡「今日、ファンに言われてん。“雰囲気変わった”って。…ふかのせいやで?」
💜「“おかげ”でしょ?」
🧡「……せやな。
──ふかさんに、褒めてもらわんと、俺、自分に自信持てへんわ」
💜「……」
深澤は、ふと手を止めて、康二の顎を持ち上げた。
💜「……康二。君、もう俺なしじゃダメだね?」
🧡「……うん。あかん。
お前の声聞かんと、落ち着かへん。
お前の言葉でしか、俺、満たされへん」
💜「……いい子」
微笑んだ深澤の目には、ほんの一瞬、何か狂気じみた熱が宿っていた。
🧡「だったら、君を俺だけのものにしちゃおうか──最後に、ちゃんと“形”で」
康二はその言葉の意味をまだ知らなかった。
でも、もうすべてを預ける覚悟だけは、できていた。