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俺が足を1歩下がらせる。

「見ない方がいいよ、それより辺りを探索しよう。ここで立っていても何も起こらない。」

凪の声が耳に駆け抜ける。その声で今あった緊迫感と圧迫感が胸から流れ落ちるように消えた。

その口から出る言葉は非常に冷静で、それでもその声色は切羽詰まったような何かに急かされているような気がした。

俺が思考を巡らせようとするその瞬間でも凪は早く行こう。と足を踏み出した。

早く行くことには良いのだろうがそんなに焦らなくてもいいんじゃないだろうか、踏切が何故消えたのかも分からないのに。

彼奴、普段たまにホラーゲームとかホラー映画見る癖にこういうのは苦手なんだな。

凪の新たな一面を知れてこんな状況でも少し嬉しくなってしまった。

それも此奴があまり顔に出さないせいかもしれないな。帰ったら凪の親御さんに凪のことを聞いてみるか、そんなことを考えてみると少し気分が良くなった。

_______注意_______

注意事項は1話をご覧ください。

ご覧なさらずにこの先に進んでも苦情は承知しかねます。

________________

凪の背中を追いかけながら薄暗い道を散策している。古びた店に吊るされた安物のライト、整備された道にあるかないかくらいの電灯、それだけが頼りで空き地やら駐車場は真っ暗で何も見えない。

細道を何度も抜け、一つの橋を渡ろうとしたその時にオレンジ色のライトに身を包まれて真っ黒な人影が見えた。俺たちと同じ境遇の人だろうかとそちらに駆け寄ろうとした時、凪が咄嗟に腕を出し俺の手を掴んだ。

「なん…いや、玲王行くのは不味い。現状が掴めない今行くのは危険。」

確かにその通りだ、この状況下で安易に素性の分からない奴に近づくのは危険過ぎる。

「すまんなg….。」


「「…!」」

俺が謝罪の言葉を口にしようとしたと同時に、人影が動いた。歩いたとかでは無い、

まるで化け物のように体を四方八方に曲げ、こちらに聞こえる静音でケタケタと笑い声を上げながらこちらに迫ってきた。

「気づかれた…!逃げて玲王!」

「おう!」

化け物もこちらの後を追いかけてくる。

スポーツマンの俺たちにも負けぬ、まるであの千切のようなスピードを出して四肢を曲げるその姿はどう考えても人間じゃない。

電灯もこちらを仕留めにきているかのように無くなり視界が黒で満たされる、それでも必死に走る。道を遡って行っているのである程度ルートを覚えているのが救いだろうか。

決して離れないよう凪を俺の腕に掴ませて走る、ケタケタと言う笑い声はあんなに遠くにいたのに刻一刻と近づいて来ている。


捕まれば死ぬ。

互いに考えていることはこれだけだった。

「玲王!こっち!」

凪は物陰に体を隠す、俺もその場に身を隠した。

足元に転がる石を凪は拾って俺たちと真反対に投げた。その音に化け物は石の落ちた方向に俺たちがいると思い込み、ケタケタと笑い声をさらに大きく張り上げ去って行く。

笑い声が聞こえなくなった数秒後、やっと胸を撫で下ろした。

息が止まってしまっていたようでぷはっと両方同じタイミングで息を吐き出す。その様が少しヘンテコな感じで思わず笑い声が漏れてしまった。

まだこのおかしな空間に来て1時間も経っていないのにこの空気感が懐かしい。息を吐き出したら自覚していなかったこの疲労に気づいて一気に疲労が襲ってくる。

心労もあるのだろうがバてるのが早いのかもしれない、これはオフシーズンが明けるまでに鍛えないとな。

そのことを凪に言うと、なんだかよく分からない懐かしさなのか決意を固めたのか、はたまた両方かよう分からない顔をした。

すぐにいつもの口を‪✕‬にした表情になって

「えーめんどくさーい」

と投げ返す。

おい!と言いながら頭をわしゃわしゃと掻き回す。さておふざけはここまでだ。

「なぁ凪、俺に一つ提案がある」

凪は先程の表情から至って真面目な顔(…とはいえ無表情だが)に戻りこちらの話に伺う。

「なーに、玲王」

「ここに来た原因は踏切だ、でもその踏切は消えた。」

「だけどこうも考えられる。踏切が何処かに移動しただけだってな」

「なるほどね、つまりまた踏切を見つけて渡ってみればいいってことか。」

凪のその言葉に頷く、この説に確証はないがやれるべきことはしなければ進まない。

俺が凪に出来そうかと問いかけると、凪は数秒の思考をした後俺の考えに同意してくれた。

「それじゃあ行こう。」

消えていたライトはまた最初のように気だるげに点滅していた。少し進んで空き家、空き家、空き家、古びた一軒家、空き家と続く、まるで無限ループしているかの光景は一つの空き地で終了してしまった。

そこを横切ろうとすると、後ろから声が掛かる、聞いたことのある、あの声。

ブルーロックで何度も戦った宿敵でありブルーロックの申し子、潔世一。

「奇遇だな、こんなところでどうしたんだよ。」

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