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夜も遅く、もう明け方に近い時間帯。
市街地北部にあるパシフィック銀行向かいのハートや24と呼ばれるビルの屋上にミドリの姿があった。
ボスや構成員は既に就寝し、ミドリは一人で自分たちのギャングがパシフィック銀行を襲う場合の配置を考えていた。
金持ち、ギミック担当の他、銀行内で入り口を押さえる人員、外から銀行の出入り口や周囲を警戒する人員、ラーク。ヘリ。ギャングの構成員は13人。構成員の得手不得手を考慮し、誰がどこを担当するかを考えるが人数が足りない。傭兵も視野に入れ何回も頭の中でやり直す。
しばらくして、思考していたため棒立ちになっていたミドリに声をかける人物がいた。
「あれ、ドリさんじゃないですか」
「ペッパー君、こんなところでどうしたの?」
声をかけてきたのは、知り合いの警察官だった。警察が犯罪対応の座学でこの場にいるなら理解できるが、業務時間外でもある明け方で一人だったため疑問に思ったミドリは、なぜいるのかを問いかけた。
「座学の相談に乗ってました」
「警察の?」
「………えっと」
少し言い淀んだペッパーの後ろから見知った顔が現れた。
「ミドリじゃん」
知り合いとは言えギャングと警察が一緒にいることが不思議で何をしていたのかを聞いてみる。
「ぺいんと君?どうしたの?座学?」
「うん。外の配置を考えていた。で、射線の通り方とかペッパー君に教えてもらっていた」
「分からないから」といっても立場が正反対の警察に教えを請い、それに応じてもらえるのも、ぺいんと君の人の良さ故だろう。
「13人でラークまで捻出したくて。その上で89を守るための屋上配置をどうしようかなって」
「ぺいんと君が配置を考えているの?」
彼は先頭に立って戦略を考えるというよりもIGLや前線に行く人員のサポート役をしている印象が強いので驚きの声が出た。
「かなかなとかラヒムとか他の人にも相談しているけどね。新人の子たちに教えて成功させてあげたいじゃん」
さらっとそんなことを言う。それが難しいことではあるのだけれど。
「そうだね」
「そっちこそ経験者少ないって聞いてるけど、背負ってない?」
「うちはMondoもいるからね」
「それ、最強やん!」
カラカラと笑うぺいんと君と話をしていれば少し気持ちが軽くなった。
そのまま三人で配置や進め方などの話をし、東の空が白み始めた頃、この不思議な集まりは解散した。
別れ際にこっそりとぺいんと君から教えられた。
「正面入り口ね。イグナスをバックで停めると坂になるから、扉の前まで車を入れられるよ。知らない人多いみたい」
それは知らなかった。トラックで塞ぐことをあわせて簡単に侵入させないようにできる。
「今度やってみるわ」
ちょっとした手土産(情報)ももらったし、日が昇ったらボスやMondoにも話してみよう。
日が昇り、昼にさしかかる頃。紫ギャングことDear13ro.のアジトに起床した叶がやってきた。
アジトの地下にある会議室には既にぺいんとがいてパソコンに向かいながら何かの作業をしていた。ぺいんとはやってきた叶に気付きパソコンに目を向けたままであいさつをした。
「おはよー」
「ぺんちゃん、今日も早いね」
「調べ物があったからね。一旦寝た後、早起きした」
ぺいんとはパソコンに向かったまま会話を続ける。
「今日は郊外で赤が43万」
「ありがと」
聞いてもいないが日課なので、ぺいんとは買い取りの高い売人を教える。
「あとパシフィック銀行の資料をまとめておいた。内部構造とギミックの場所。建物の出入り口と、周りのビルの名称と警察がどこから来るのかと、配置の案。これ見てかなかなの意見ちょうだい」
渡された資料は数ページに及び、ぺいんとの言ったとおりの内容が写真や図表、地図に書き込みまで書かれていて、とても一夜漬けで作れる資料には見えなかった。
「これ一人でやったの?」
「いや?地図とかの書き込みはネクロンにやってもらったよ。現地でペッパー君に教えてもらったところもあるし」
ぺいんとは背伸びをしながら話を続けた。
「これ、ラヒムにも見せておいて欲しい」
「なんか用事あるの?」
「いや、ちょっと仮眠するわ。なんか始める時に起こして」
そういうとぺいんとは席を立った。そのままいなくなりそうだったので、叶はぺいんとが不在の間、弟子に何をさせるのかを聞いておいた。
「寝ている間にねくろさんが来たらどうする?」
「今日の移動は車を使わないで全部ヘリでって伝えておいて」
「小型やりたいって言ったときは?」
「その時はイッシー禁止で、インフェルナスCTXでって」
「了解。じゃぁお休み」
そういうとぺいんとはあくびをしながら会議室を出て行った。手前にあるバーのソファーに横になるのだろう。
叶は渡された資料を見ながら、騒がしくなるまでの間は地下に構成員を近づけないようにしないとと思った。
Sunrise Hues
日の出の頃、朝焼けの色。オレンジ、黄色、ピンク、紫のグラデーション。
新しい一日の始まりや、新たな希望の象徴。