元貴side
元貴『……っ、何、この写真……』
涼ちゃんと出掛けた時、カフェで僕はアイスコーヒー、涼ちゃんはカフェモカを注文して話しながら飲んでいた時、涼ちゃんにとある一枚の写真を見せられた。
涼架『…こないだ、若井が女の人の肩抱いて歩いてる所見ちゃって……、元貴に見せようか迷ったんだけど、親友として見せなきゃなって……』
頭じゃ分かっていても心が追いつかない。
若井と付き合ってから一年半。一年半もあれば、浮気にも手を出そうとするよね。
元貴『…でも、っ…若井はそんなことするような人じゃ……』
涼架『………元貴、』
涼ちゃんの声がやけに耳の奥に響く。
涼架『人ってね、変えられるんだよ…っ、』
元貴『……んっ、ぅ……っ、ぁっ、ゃん…っぅ、ぃ、く…ぃくぅ……っ、/』
若井のいない0時。
若井は夜中に出掛けることが増えた。用事を聞いても、“仕事が忙しくて”とか、“何?そういうの重いよ”とか…心配させてんのはあっちじゃん、
最近、若井とはしてない。
…その、怖くて、したいなんて言えない。あんな写真を見てしまったら。
だから、こうやって一人でしてる。でも、
元貴『……っ、ぃけない…?な、んで…っ、?』
どうやら、若井とじゃなきゃイけない体質になってしまったらしい。
僕のカラダって単純だな…っ、好きって思った人とじゃなきゃイけないなんて…、
ーー人ってね、変えられるんだよ…っ、
涼ちゃんの声が頭に響く。
若井が、浮気…
男なら尚更、
付き合った当初は、“俺元貴のこと世界で一番好き!”とか、“愛してる、ずっと離さないから、!”って言ってくれてたのに……
元貴『……離してんじゃん、っ…ぅ、』
涙が溢れる。夜な夜なゆらゆらゆらぎやがって…でも、未だに若井がいちばん最低で大好き。
元貴『なんで…僕だけ、……ムカつく、』
忘れたいのに、ずっと傷つけられてばっかだったのにーー
そう思った時、がチャッと玄関のドアが開いた。
元貴『………っ、』
そっと立ち上がり、リビングへ向かう。リビングには、乱れたスーツ姿で顔を真っ赤にしてソファで寝ている若井がいた。
元貴『……酒臭…っ』
どのくらい飲んだのだろうか。
酒臭い上に、女物の香水の匂いがする。そして口元、首元には、女にキスされたような跡が残っていた。
シンデレラボーイ0時を回って、腕の中で泣かせないで。
涙が止まらない。
滉斗『………もときぃ…』
元貴『……!!』
若井の腕に抱きつく。
またあの頃みたいに、夜遅くに帰ってきても僕に抱きついて、“疲れた”って…“充電溜めてる”って言ってよ…、
元貴『…っ、ぅっ…ぐすっ、……ぅ、』
気づかないふりをしてそのままつけるタバコが大っ嫌い。
滉斗『……元貴、』
不意に静かな声で名前を呼ばれて、バッと顔を上げる。若井だ、若井が起きていた。
元貴『…わかぃ、』
滉斗『……心配させちゃったね、ごめんね…』
元貴『……ぅっ、っ……っ、ぐすっ……っ、』
首元の赤いの何、この匂い何…
なんて、聞けやしない。
滉斗『……元貴、今、いい…?』
元貴『……?…わっ!!』
若井にソファに押し倒される。
滉斗『…我慢できない、するね、』
元貴『……っ、/』
……ほら、また
元貴『………はぁ、』
濡れたままのバスタオルを浴室にかけた8時。
あの後若井に襲われて、久しぶりにした。散らかった部屋にはひとり。
体は若井が拭いてくれたみたいだけど、なんだか流したくてシャワーを浴びた。他の人と遊んだ後に抱かれるなんて、絶対に嫌なのに。
元貴『……またカラダ許しちゃったなぁ…っ、』
若井がいなくなっても僕は平気そう。
そう思いながらほんの少しだけお洒落をして、髪の毛もきちんとセットした。
連絡はたまにするね。
意地悪くらいさせて。
“出掛けてくる”、そう書いた紙を机の上に置いて、若井がくれた鞄を持って、若井がくれた靴を履いて外に出る…
その前に、若井と同じ匂いの香水を付けて…
元貴『…よし、』
スマホを見る。
“今から家出るよ!”
涼ちゃんからのメッセージ。“僕も今出る!”そう返して、待ち合わせ場所へと向かう。
今日は気分転換に涼ちゃんと出掛ける日。若井だって他の人と遊んでるんだから、僕もいいよね。涼ちゃんは親友だし。そう思ったその時、
元貴『………わかい、?』
若井からの電話。
何だろう、滅多に昼間は連絡してこないのに。もしかして、別れたい…とか、?でも今…?
震える手でスマホを握り、耳に当てる。
元貴『……もし、もし…』
滉斗『………もしもし、元貴?起きた?』
優しい声。僕はこの声が好きだった。
泣き虫で、弱々で、駄目駄目な僕を、この声は許してくれた。そう思うと涙が出てくる。
元貴『…起きたよ、』
滉斗『おはよう、今日さ、早く帰れそうだから帰りに何か買ってくね。最近一緒に過ごす時間無かったし』
元貴『……っ、ぅん、…っ』
涙が溢れる。
駄目だなぁ、分かってるのに…
滉斗『…ぁ、ごめん呼ばれちゃった、またね』
元貴『…ぅん、』
若井からの電話を切る。
元貴『………もしもし、涼ちゃん、もう家出ちゃった、?』
涼架『…もしもし!んーん!まだ!!どうしたの?』
元貴『ごめん、今日行けなくなっちゃった、』
涼架『まじ!?全然いーよ!…もしかして、若井…?』
元貴『…ぅん、今日早く帰ってこれるみたいで…ちゃんと、話したいなって…』
涼架『…!うん、頑張れ…また何かあったら絶対相談してね、応援してる、!』
元貴『ん、ありがと…笑』
20時。
若井が早く帰ってこれるって言うから、わざわざ涼ちゃんとの約束を見送って、ご飯を作って待ってるのに、一向に貴方は帰ってこない。
元貴『……ご飯、冷めちゃうよ、』
涙を堪えながら、そう呟く。
すると、
元貴『………っ、ほらね…っ』
“ごめん!仕事長引いてて…帰るの朝になっちゃうかも…本当にごめん!”
若井からのメッセージ。
分かってた。
本当は早く帰れないのも、仕事長引いてるのも…全部、全部嘘だって。
元貴『………嘘くらい、せめてちゃんと上手についてよ……』
僕が気づかないくらい上手についてよ、
Saucy Dog シンデレラボーイ
next→ end. ♡2000
【登場人物】
◯大森元貴
25歳 若井滉斗と付き合っている
若井滉斗と同棲している
◯若井滉斗
25歳 大森元貴と付き合っている
会社の女の先輩とも付き合っており、体の関係も持っている
大森元貴と同棲している
◯藤澤涼架
28歳 大森元貴の親友
若井滉斗とは会社で知り合った
コメント
12件
ひえぇぇ … すげぇ 、 もとぅ 〜 きぃ 可哀想って 思っちゃう 😭😭 次も たのしみ 😭😭
うわーーーーーーー!! どうなっちゃうのーー(楽しみ)
シンデレラボーイの歌詞ぶち込んでくるとか最高じゃないですか... 元貴くんが可哀想でしかない、