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不破湊side
甲斐田に抱きしめられながら
久々に夢も見ないくらいの深い眠りについた。
悪夢を見なかったのは何時ぶりだろうか。
いつも見るあの夢。
母さんは死んで
父さんは知らない女の人を
新しい母さんだと言う。
そいつの顔はとても人間には見えなくて
恐ろしい化け物みたいな顔をしている。
食卓には豪華な料理が並んでるのに
口に入れても味はしない。
化け物が俺に話しかけてくるけど
何を言ってるか分からないから無視してたら、
父さんに叩かれた。
化け物は笑って俺を狭い箱に詰めるのだ。
何度も同じ夢を見るから
口に出して説明できるくらいになった頃には
全く眠れなくなっていた。
しかもこれが子供の頃ではなく
ここ数年で見るようになったのだから
タチが悪い。
なぜ今になって昔のことを夢に見るのか。
俺は全てを手に入れたはすなのに。
甲斐田と出会ったのは
得然だったといえば偶然だった。
資料が欲しくて夜の公園をウロウロして
ベンチに寝転んだ風景って
どんなもんなのかと思って寝転んだら
結構時間が経っていたようで
ブランコに座って大量の酒を空ける
甲斐田が目に入った。
泣きながら何か言っては
飲んでを繰り返しているようだったが
暫くすれば帰るだろうと思い
絡まれるのも嫌だったので大人しくしていた。
でも同じ体制が辛くて動いた瞬間
バレてしまったと言うわけである。
でもその時甲斐田には申し訳ないけど
「丁度いい」と思ってしまった。
この窮屈な生活から少しでも解放されたくて
一時的に姿を隠せるなら
甲斐田を利用してやろうと思ったのだ。
そこから甲斐田と過ごしていくうちに
食の好みが似ていることに気がついた。
好きな味付けが同じなことが多く
甲斐田の作るご飯は
あの女が作るものとは違って味が分かるし
美味しかった。
久々に食べる人のご飯は俺の心を
温かくしてくれた。
人と生活することはストレスになると
思っていたけど
甲斐田と暮らすことはそんなこともなくて
似ているからこそ
過ごしやすかったのかもしれない。
そして何より甲斐田は
俺に余計な詮索をしなかった。
最初は色々聞かれたけど
答えなかったらそれ以上は聞いてこない。
その距離感が何よりも嬉しく、
甲斐田の優しさを感じた。
ここ2、3日ずっと甲斐田は
俺のお願いを聞いて寝る時には
黙って抱きしめてくれる。
お陰で良く眠れて
目の下の隈も目立たなくなってきた。
このままずっと甲斐田と
一緒にいられたらいいのにと思うけど
どうやらそろそろ限界らしい。
明「ふわっち。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎仕事はしっかりしてるみたいだけど
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎公の場にふわっちが出ないのはまずい。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎僕にはもう誤魔化しきれない。」
湊「分かってる。週明けに一度顔を出す。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎それまではなんとか抑え込んでくれ。
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎迷惑かけてごめん、あきな。」
あきなと電話し終わった直後に
甲斐田が帰宅してきた。
晴「アニキ!ただいまです!」
犬みたいに駆け寄ってくるから
わしゃわしゃと頭を撫でで
おかえりと言ってあげる。
この頭を撫でられるのも残りわずかかと
思うと 胸がキュッとなった。
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