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第18話
「ノアっ!」
私は、叫んだけどノアのお腹に刺さった剣がお腹に貫通してない事に刺される前から気付いていた。
あのブローチのお陰でね。ふふっ。
でも、演技をしないといけない。私はこっそり、ノアに眠る魔法をかけて人形のようにした。
「フッ。情けない奴だ。売り飛ばすぞ。いい額になりそうだ」
そう言いながら後ろのやつと同時に私に近づいてきた。
後退りしか選択肢が無い。勿論、ノアとは反対方向へ。
「……間抜けですね。もう一人はもう既に記憶無しですよ。残りは貴方だけなの、分かってますよね?」
「おぉ、そこまで読める娘とは聞いていないな」
ふふっ。殺しますわよ。
いや、やらないけど、やりたいのは事実。殺されそうなんだから、殺しそうになってもしょうがないよね?
私は、話している間に足と腕に切傷を作っておいた。地味に動きにくくなるくらい。
記憶を消して、ノアの事を起こした。
起こすって言っても、起きるまでに少し時間がかかるんだけどね。深い眠りについてたのに、直ぐ飛び起きる訳無いからね。
私は、ここからあいつらを退かして、ノアが起きるのを待った……だけど、寝ちゃった。
魔力の使い過ぎだったかな? 気が抜けちゃった。えへへ。
❂
何か寝てはいけないのに、寝てしまっていた気がする。
俺はハッとして目を開けた。
深夜を回っているのだろう。辺りは静けさに飲まれていて、飲んでいる人たちが道端でうるさいいびきをかいている。
俺の肩をかりてセリーナさんが静かに寝息をたてて……ん? 俺って刺されてたよな……?
ぼんやりとした意識をハッキリさせようと両頰を一回叩いてセリーナさんを抱っこした。
凄く軽かった。
……なのに獣人を超える身のこなし……裏の人間を倒せるような強さ……この子は、人を全く殺していない。
君は、誰?
そんな事を考えながら、少し歩いたけどニルスさんのお店というのは、どこだか分からなかった。
「んっ……ふぇ?」
間抜けな声が腕の中から聞こえた。
「セリーナさん。大丈夫ですか?」
「ノア……? ここはどこ?」
そう言いながら辺りを見渡している。
でも、ここがどこだか分かったのか動きが止まった。
でも、何も口を開かない。呼吸が段々と荒くなっていく。
「セリーナさん? 大丈夫ですか?」
……何かやられたの? 俺のために?
「……あ、もう降ろして大丈夫。少し、思い出しただけだから」
そう言っていつもの調子に戻った。
「ここは近道なのよ。ほら見えた」
そう言って駆けていったけど、途中で止まってしまった。
「セリーナさん?」
また呼吸が乱れてきた。
周りには、何かの破片が散っていて、ここに生えるはずの無い草の魔力の残像がある。
確か……可憐な花だったような……俺の二人目の主が育てていた。魔力が溜まる珍しい花だと呟いていたような……
その魔力の残像くらいは見分けられる。一つだけ違う魔力で目立っているのだから。
何か、ここであったのか?
「あ……ごめんなさい。私、ここが怖いんだ。この魔力の残像も私が持っていた花の魔力なの……」
ええっと……聞いちゃ駄目だったかな……?
でも、セリーナさんは、一つ深呼吸をしてからその道を震えながら歩き出した。
……こういう時、目を瞑りたい。
と考える前に、俺はセリーナさんの事を抱いた。
「え? ノア?」
「目を瞑ってて大丈夫ですよ。もう、十分に頑張ってくれたのですから」
「そうね……じゃあ、言葉に甘えてそうする」
そう言ってセリーナさんは目を瞑った。
ここを抜けたらってどういう……
俺は大きな通りに出たのにも関わらず迷子だ。セリーナさんは、目を瞑ったらまた眠りについてしまったし、色々な所へ歩いたから、足が棒。
疲れた。刺されたし、抱っこしたし、走ったし……こんな日あまり無い。というか刺されたのに、刺し傷は無いし。
「う〜ん……どうしようか……」
俺が立っていると、斜め上から魔力反応があった。見上げると三階から顔を出しているニルスさんがいた。
「ノア! リナも一緒か?」
「ここに寝ていま……」そこまで言ったら「良かった…」と言って部屋の中で崩れ落ちてしまった。
俺は、座ってセリーナさんの体に毛布を掛けた。
眠くて一緒に寝た。もう、睡魔は限界に近かった。
色々と物音が聞こえた。人の声も。抱っこされて連れて行かれた所は暖かった。
匂いは、花の匂いと鉄の匂い。あと、柑橘系の紅茶の香りもした。
ちょっと、度を越しすぎて体を起こすような元気は無いや。少し休んじゃおっかな……
俺は、少し眠りにつくことにした。
コメント
1件
ふわぁ……読んでてちょっと切なくなっちゃいました。セリーナさん、魔力を使い果たして寝ちゃうところとか、無理に明るく振る舞ってるところがすごく伝わってきました。ノアくんが「もう十分頑張った」って抱き上げるシーン、優しくてじんわりときました。ふたりの距離が少しずつ縮まってる感じがいいですね。続きが気になります!