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クリスマスの夜、りうら、ほとけ、初兎、ないこ、いふ、悠佑の6人は、ないこハウスに集まってパーティーをしていた。外は静かに雪が降り積もり、暖かい部屋の中ではクリスマスソングが流れていた。彼らは笑い合いながら豪華な料理を囲み、最後に用意していた特大のクリスマスケーキを楽しみにしていた。
「ケーキの準備できた?」
ないこがキッチンから戻りながら声をかけたが、ケーキを持ってきたはずの初兎は眉をひそめた。
「いや、今そこに置いておいたんだけど……」
「え?どこにもないよ?」
「そんなわけないだろ。俺、さっき確かにここに置いたんだ!」
キッチンに戻ると、確かにケーキが消えていた。おかしいと思いながらも、悠佑が「誰かいたずらしたんだろう」と笑い飛ばし、みんなでケーキを探し始めた。
しかし、いくら探してもケーキは見つからない。それどころか、いふが突然言った。
「なんか、変じゃない?さっきから部屋が少しずつ寒くなってる気がする」
確かに、暖房をつけているはずなのに、部屋の温度がどんどん下がっていくのだ。みんな不安になり始めた。
その時、部屋の奥の扉が「ギィ……」と軋むような音を立ててゆっくりと開いた。暗闇の中から、誰かがじっとこちらを見ている気がする。ほとけが震えながら言った。
「だれ……そこにいるの?」
返事はない。だが、その瞬間、部屋中の明かりが突然消え、真っ暗闇に包まれた。誰かが叫び声を上げたが、それが誰だったのかもわからない。暗闇の中で、彼らは何かが近づいてくる足音を聞いた。
明かりが戻った時、そこにはケーキがあった。ただし、それは食べ物というよりも何か得体の知れない「もの」に変わっていた。ケーキの上には6本のロウソクが立っていたが、その火は普通の炎ではなく、青白く揺れていた。
「これ……最初のケーキ、じゃないよな?」
りうらが震える声でそう言った瞬間、部屋中の鏡や窓に映る自分たちの姿が、一瞬だけ別の何かに変わった――薄く笑う顔のない何かに。
結局その夜、誰もケーキに手をつけることができなかった。翌日、彼らが友人の家を訪れると、その家には誰もいなかったかのように、何もなかった。ただ、雪の中に埋もれた家の玄関には、6本のロウソクが立てられた奇妙なケーキが置かれていたという……。