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「大丈夫でしたか? もう心配無いですよ」
ゴミ掃除の終わった俺は、唖然としたままのセレブへと近付き、貴公子の微笑みで安心させてやる。
「あっ……」
彼女は途端に頬を赤らめるが当然だ。
フム……やはり今日の俺に相応しい。
身体に相当金をかけたエステを施しているのだろう。
その見事なスタイルからそれが如実に顕れ、俺でも釘付けになりそうな程。
歳こそ三十路はいってるだろうが、餓鬼には無い熟練の魅力が滲み出ていた。
その優雅な顔の造りの、左口元を象徴する一粒の黶(ほくろ)がまた、官能的な蠱惑さの演出だ。
「こ……怖かった!」
安心するのも当然。
彼女は俺の身体にしがみついてきた。
「貴女の様な方を見過ごせるはずがありませんから」
そう、その艶やかな黒髪を優しく撫でてやる。
「素敵……」
もう堕ちた。
俺は確信したが、まあ当然だろう。
この僅かでさりげない、だが絶大な俺という魅力に堕ちない方がおかしい。
「送っていきますよ。ここら辺は貴女には危険です」
「はい……お願い致しますわ」
彼女は俺の黄金の左腕にしがみつく様に腕組みし、共にこの場を後にした。
豊満な弾力が心地好い。
夏場なので殆ど地肌との密着だ。普段なら暑苦しいと思うが、今回はその魅力への昂りが上回った。
街行く凡人共が、この構図に羨望の眼差しを向ける。
よく見とけ99%の愚民共。
これが二階堂玲人に釣り合う、という事だ。
さて――彼女なら高級スイートルームだろう。
勿論彼女の自費の謝礼付きだ。
上手くいけば、これから良い銀行口座にもなる――
俺は彼女と夜の闇に消えながら、愉快な昂りを抑えきれなかった。
************
俺達は郊外へと向かって寄り添いながら歩く。
辺りに人影は少なくなってきた。
「少し……疲れましたわ」
教養から良家出の御嬢様だろう。
本当に疲れたのかもしれないが、これは彼女なりの御誘いの合図だ。
そろそろだな。
あくまで相手から切り出させなくてはならない。
俺に後腐れや負い目等、あってはならないのだ。
「では、少し休んでいきますか?」
この休むはベンチに座って休む、といった類いではないからな。
「ええ……」
彼女の方もしっかりと、その事情は弁えているだろう。
商談成立という訳だ。
さて――高貴なる情事に相応しい場所はと。
俺は辺りを見回し、数多に建ち並んでいる建物群から最高級の物件を、正確無比なるイーグルアイで物色する。
「あの……」
その最中、不意に彼女が話し掛けてきた。
「出来れば彼処で……」
行きつけか?
俺も視線を合わせるが、彼女の視線の先にあるものに、流石の俺も戸惑った。
何故なら……そう、其処には白い公衆トイレがあったからだ。
「彼処で……良いんですか?」
俺の絶対神の如く囁かれる言霊に、彼女は頬を染めながらコクりと頷く。
驚いた。この女……羞恥プレイ好きか?
人は見た目では分からないものだ。
俺は見た目通りの神の写し身であるが。
だが悪くない……。
このギャップがまた、俺を昂らせてくれた。
誰もが使用する背徳な場所で、高級なセレブに奉仕させる。
正に俺だからこその、神冥利に尽きるというもの――
「では……行きましょう」
抑えきれない興奮を胸に、俺達は女子トイレの入口へと呑み込まれていった。
***
個室の閉鎖された空間。二人だと狭いが――
「……んっ」
それがまた興奮を加速させる、良いシチュエーションだ。
彼女は個室に入るなり、飢えた獣の様に俺の唇を貪ってきた。
積極的だな。こういう場所でこそ燃えるタイプなのだろう。
俺の100万ドルの価値がある神の寿液、有り難く味わうがいい。
「あ……むぁ……」
お互いの舌を絡ませ合いながら、俺はその豊満な狭間に手を這わせてやる。
「――っあ!」
フム……思ったより張りが良い。
形、大きさ共に完璧に近い評価を授けてやろう。
「あぁ……」
俺の絶妙な指捌きに、彼女は悦楽と歓喜の吐息を漏らす。
既に二つの突起は硬度を増していた。
準備万端なのだろうが、まだ早い。
まずは俺を昂らせねばならない。
「あっ……?」
俺が指を止め、目でその意味を促してやると、ゆっくりと彼女はしゃがみ込んでいく。
心得ているな。
俺が欲しいのなら、それなりの対価が必要だという事に――。
誰が聞いてるかも分からぬ空間に、カチャカチャとベルトを外す音が木霊する。
やはりたまには、こういう場所での行為も悪くない。
奉仕させる相手がそれなりなら尚更だ。
ひんやりとした指の感触が伝わってきた。
「凄い……」
吐息と共に漏らされる、彼女の恍惚の呟き。
当然だ。
これは1億ドルでも釣り合わない、正に世界の至宝なのだ。
雌なら誰しも優秀な遺伝子を残したいと思うだろう。
その象徴をこんな場所で味わえるのだから、感謝の気持ちを持って奉仕せよ。
俺は彼女の頭を掴み、瞼を綴じながら訪れる桃源郷を待った――
「――うがぁあぁぁぁっ!!!!!」