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上野文
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都築七美
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てく
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ならば蛇珀が自分から気がつくまで、このことは言わないでおこうと、いろりは決めた。
優しい蛇珀のことだから、言ってしまえばきっと自身を傷つけるのではないかと躊躇してしまうとわかっていたからだ。
いろりは驚きから、ゆっくりと穏やかな微笑みへと表情を変えると、目の前にある蛇珀の顔にそっと手を伸ばした。
「……いいえ、なんでもありません。あまりに綺麗なお姿なので、見惚れてしまっただけです」
「……それは、こっちの台詞だ」
いろりはありのままの蛇珀を受け入れた。
壊すなどとんでもない。
蛇珀は己の快楽よりもいろりの身を案じ、もどかしいほど大切に抱いた。
「……本当は、ずっと……こう、したかった」
耳元に響く、低く掠れた声。
愛おしさに息を詰め、歓喜の涙を流しながら、いろりは必死に蛇珀の背にしがみついた。
「じゃは、さ、ま……いろりは、も、死んでも、かまいま、せん……」
「……死んでも、離さねえからな」
痛みと呼ぶにはあまりにも甘美な愛の行為に、いろりは少女から女へ、花開く。
他の誰でもない、蛇珀ただ、一人のために。
その命、尽きるまで。
流れる夜風、靡く草花、星の瞬きと、月のともしび。
そのすべてが神と人の恋の成就を祝うかのように、優しく見守っていた。