(あの子は異端よ)
(近づくな化け物め、、!)
(もうここには帰ってくるな。)
私は、、、私は、、、!異端なんかじゃ、、、
ガバッ
「はぁ、、、はぁ、、、」
またこの夢だ。私の過去の夢、ラズカとして生きる前の最後の記憶。冷たい目で見られる私、そしてそれをあざ笑いながら通り過ぎるルームメイト。私はその時、先生を刺して逃げ出した。
そしてこの廃墟に来て住み始めた。私は最初、1人でいられるこの空間が最高だった。誰にも邪魔されない、何をしてもいい。人を殺したって。
でもそんな毎日でも消えない傷があった。責められ、叩かれ、何も出来ないあの日々。私はそのせいもあって自信を持てなかった。そんなことを起きる度に考えていた。でも今日は違う。だって貴方が、、、、
「グッドモーニング!!!!」
私を呼ぶ声。そう、カミラの声。
「あの、、、今は夜なのでモーニングでは無いと、、、」
「あそっかぁー!まぁ細かいことは気にしない!それでラズカ、今日は何する?私お腹すいちゃった!」
カミラ。私を解放してくれた同じ吸血鬼。いつも面白くて、強くて、、、私が憧れていた、理想の自分とそっくりだった。
「そうですね、、、今日は少し朝が早い日だったと思うので早めに狩りへ行きましょう。」
「りょーかい!準備してくるーーーー!」
そう言って走り去ったカミラ。ふふっ。今日はどんな事があるかな♪
私は少し変われた気がした。
いつもの夜、今日はラズカが早めに狩りへ行くそうなので絶賛準備中。食べ物も家もなくてたどり着いたこの廃墟にいたラズカ。とても気が合って今は毎日が楽しい。人の頃とは段違いだ。
今日も今日とて狩りに出る。ここの森には薬草や珍しい山菜、夜にしか無い希少なものもあり、1人は必ず森にいるらしい。
そんな中、いつものように人を探していたら、ラズカがこんなことを言い出した。
「そういえばカミラさんはいつも殴ってばかりですが、魔法は使えるのですか?」
???
魔法?吸血鬼って魔法使えるの?これは初耳だ。
「えっと使えない、、、と言うか初めて使えること知った、、、、」
「えぇーーー!?」
森中にラズカの驚きの声が響く。
「つっ使えない!?そんなの人間級以下じゃ無いですか!」
???
んーそれも初耳。なんだ級って、今日はなんか色々忙しくなりそうな気がした。
「ごめん級も何?」
「あぁそこからですか、、、では解説しましょう!級とは。魔法とは。まず級はですね、、、」
長かったので要約するとこの世界は強さの違いがあるらしくそれぞれ
人間→吸血鬼→オーク→リザードマン→獣人→エルフ→ヴァンパイア→魔人→邪神→魔王
と強さが違うようで、それにならいその人物がどれほどの強さがあるかを表したのがこの階級らしい。吸血鬼って意外と低いね。そして魔法はその名の通り魔法。火や水、聖魔法など様々な種類がある。これは人間でも使えるらしく、つまり使えない私は
クソザコナメクジ
と言う訳である。だが私は元々の身体能力のおかげで乗り切っていたようだ。私って凄っとなったところで、
「なるほど、、、では今からでも特訓しましょう!私が教えますよ!」
という事で適当に見つけた人間を狩り、残り少ない時間で魔法の練習をする事になった。
「カミラさん。まず魔法を使う上で大切なことをひとつ。それはイメージです!」
「イメージ?」
「そうです。自分がどんな魔法を撃つか。その光景を思い浮かべる事で魔力は応えます。私たち吸血鬼は血を使った斬撃魔法を得意としているので早速やって見ましょう!」
こうして師匠ラズカによる私の魔法指導が始まった。
「イメージですよ!」
「ムムムム、、、はっ!」
ビュン
ゴォォォォォ
「そうです!そんな感じです!カミラさん才能バッチリですよ!」
「フフン。そうでしょ?」
「そうです!」
ラズカは典型的な褒めて伸ばす型だ。でも悪い気はしない。私たちはそのまま色んな木を切り倒し、朝日が昇る前には家へと帰った。魔法の使い方はバッチリ覚え、これでようやく人間級には行けるという。吸血鬼なのに、、、
そして切り倒された木の数々を見た住人達はこの事を厄災の余興と怖がったという。なんか嬉しいね。
こうしてまた一日が終わった。私は今日魔法を覚え、階級を覚え、、、あぁ。明日が楽しみ。どんなやつにこの魔法を使ってやろうか、、、
「カイ様。」
「どうした、ナインよ。」
「昨日の夜。この少し近くの森を探索したところ、保護対象の吸血鬼を発見いたしました。」
「ほぉ。もしやラズカか?」
「はい、恐らく。そして別の吸血鬼も一緒に行動していました。」
「一体誰だ?彼女と行動できる吸血鬼とは、、、」
「まだ分かりませんが、ラズカと行動している以上、ヴァンパイア級、魔人も有り得るかと、、、」
「そうか、、、まあ監視だけ続けろ。魔人級、、、なぜそんな吸血鬼が今まで話題に出てこなかったのだろうか、、、」
第4話 終わり
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