「げほっ、ごほっごほっ…っ、はー…」
次の日。昨日より調子が悪かった俺は起き上がれないくらい咳き込んでいた。そのせいでご飯も食べれず、首から点滴をやる羽目になってすごく痛かった。咳止めはさっきから点滴されているのでそのうち止まるだろう。
「…大丈夫?」
久々に聞いた聞き覚えのある声に思わず顔をあげると、心配と気まずさがまざった顔をした蓮兄さんがいた。
「れ、んにぃ、さっ…ごほっごほっ…」
「…喋らなくていいよ。ちゃんと息して。」
そう言って蓮兄さんは近くにあった椅子に座った。ようやく咳が落ち着いてきて、思わずぐったりしてしまう。
「こほっ…けほっ…はー…はぁ…」
「…落ち着いた?大丈夫?」
「ん…大丈、夫…」
「…そう。」
「…」
「…あの時はごめん。あんなきつい言い方して…」
「…」
「…気付けなかったことが悲しくて、イライラして。八つ当たりみたいなことした。」
「…いい、よ。気にしてない、から…」
「…涼太くんは優しいね。……泣いたって聞いたんだけどな…」
「?…何か、言った…?」
「いや、何も。寝れるなら寝な。疲れたでしょ。」
そう言って蓮兄さんは部屋を出ていった。出ていく直前、蓮がこちらを振り返った。目は合わなかったもののその顔は負の感情に呑まれていて、喉からひゅっと音がした。それがきっかけになってしまったのか激しく咳き込んでしまい、そのまま意識を手放した。
「っ、ひっ…!?」
何か怖い夢を見た気がして飛び起きた。どんなのだったかは忘れた。だけどただただ怖い夢だったことは覚えている。
「ひゅっ…ごほっごほっ、げほっ…」
苦しい、怖い、辛いっ…
「…大丈夫?…じゃないか。」
「…っぇ?」
想像してなかった出来事に顔をあげると、蓮兄が椅子に座っていた。
「な、んで…っ、ごほっごほっっ…」
「…とりあえず今は息を整えようか。」
そう言われ息を吸って吐いてを繰り返す蓮兄の真似をしていたら次第に呼吸も整ってきた。
コメント
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最高です!!続き待ってます!!😭