テラーノベル
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(ラウール視点)
女子達がいなくなって、ようやく静かになった。
けど、一体どう言うこと?
状況側からなっくて、俺とめめはただ呆然とすることしかできない。
何で深澤先輩がここにいるのかも分からないし、俺らのことを助けてくれた…?
でもどうして?
「……康二!」
めめがすぐに離れたところに座り込む康二くんの元に走っていく。
俺もそのあとを追いかける。
「目黒くん、ラウールくん…大丈夫…?」
「「……!」」
人が減って安心したみたいな康二くん。
……もしかして、康二くんが…?
手を伸ばして、康二くんが立ち上がるのを手伝う。
「いや〜、めんどくさいことになっちゃったね〜!わら」
ようやくお昼を食べられると思った瞬間、後ろから明るい声が聞こえてきた。
俺らは驚いて後ろを振り返る。
「「深澤先輩!!?」」「深澤先輩…?」
ついさっきここから走り去ってなかった!!?
深澤先輩曰く、女子達を引きつけるとこまで引きつけて、絶対に通れない場所まで逃げたんだって…
それも、本人はちょっと木を登っただけだよ〜、わら、なんて軽く言ってる。
木を登って逃げたの?
しかも、ここにくる裏道を通ってきたとか…
深澤先輩って、本当に何者なんだ…?
「で、3人はこれからどうするの?」
「「……?」」
深澤先輩からの笑顔の質問にめめと顔を見合わせる。
これからどうする…?
多分、もうここでは休めない。
今日は深澤先輩が助けてくれたけど、明日、それ以降は無理だよね。
場所もバレちゃってるわけだし、どうすればいんだろう…?
「………特定」
「「「え?」」」
何も思いつかない俺とめめとは裏腹に、康二くんの声が響く。
「目黒くんの噂を流してるのとこの場所をバラしたの、同じ人や。なら、そいつを特定したる」
めめの噂、この場所をバラした犯人…わからないことが多いな。
でも、今まで聞いたことないような冷たい康二くんの声、怒ってるってことはわかる。
康二くんにこの学校の掲示板ってものを見せてもらった。
この学校のたくさんの噂が集まる場所。
俺とめめはその存在を知らなかったけど、康二くんと深澤先輩は愛用してるみたい。
そして、さっきも言ってためめの噂とここをバラした投稿。
“みんなの秘密を暴き隊“……
「こいつ、多分3年生だよ」
投稿を見て渋い顔をする俺らに、深澤先輩がそんなことを言う。
呆れたような、白い目でその投稿をぼんやり眺めてる。
「俺もこいつ面倒で好きじゃないんだよねぇ」
……え?
驚いてる俺らの反応に笑いながら、深澤先輩が説明してくれる。
「こいつ、俺が1年の頃からいるの。最近見ないな〜って思ってたんだよね。まさかまた出てくるなんて思わなかった、わら」
口元も笑ってて、声も穏やかだけど……目が全然笑ってない…!
「いわゆる晒し系?有名な生徒の秘密を何らかの方法で入手して、困らせようとしてくんの」
もしかして、深澤先輩にも何かがあった…?
「…こいつが犯人なら、協力してくれる人はいっぱいいると思うよ?」
「「「え?」」」
また固まる。
協力してくれる人がいっぱい…?
「それも、すっごい有力な、ね」
深澤先輩は不敵な笑みを浮かべてた。
(向井視点)
「無理!!俺には無理や!!!」
「大丈夫だって!」
「ほら、行くよ」
ラウールくんと目黒くんに強く腕を引っ張られる。
俺には絶対にできひん!
足に思いっきり力を入れて、絶対に動かないようにする。
俺には、“生徒会室兼風紀委員室“に入るなんて絶対にできひん…!!!!!
そもそも、こんな神聖な場所に生徒会でも風紀委員でもない俺が気軽に入っていいわけないやん!!
絶対俺は行かんからな!!!!!
っていう気持ちだけはあるのに、相手は力もちゃんとある男の子2人。
俺1人じゃ勝てるわけないやんか。
教室の扉が開いて、ついに俺はそこに足を踏み入れ…
「1年B組1番青山サッカー部、2番磯野サッカー部、3番今井陸上部…」
「25番花村美術部、26番藤本卓球部……」
た途端に、呪文みたいなお経みたいなものが聞こえてきた。
目黒くんとラウールくんはまたやってる、みたいな顔…
え?何しとるん?
困惑する俺に、ラウールくんは笑顔で説明してくれる。
「生徒会長と風紀委員長は、学校全体の生徒の情報を暗記してるんだよ」
「え……えぇ!!!?全校生徒の情報を暗記!!!?」
「そ♪俺がそれを提案したの。学校の代表なんだから生徒1人1人把握しとかないとねって!わら」
「深澤先輩…?!」
いつの間にか後ろにいた先輩に肩を叩かれる。
さっき用事あるからって別れたばっかやのに、もう戻ってきたん…!?
なんか、猫みたいな人やなぁ…
深澤先輩は分厚い名簿に集中してる生徒会長と風紀委員長の方に何の迷いもなく進んでく。
し、仕事中なんちゃう…?
「照、阿部ちゃん、お疲れ様〜!全員覚えられた?わら」
「「……覚えられてるわけないだろ…」」
「あっは!まじ?わら」
深澤先輩の声で名簿から顔を上げた会長と委員長の顔はすごくゲンナリしとる…
そんな様子を深澤先輩は楽しそうに見てる。
「涼太は?まだ来てない感じ?」
深澤先輩が周りを見ながらそんなことを言う。
涼太……もしや、風紀委員の宮舘涼太先輩のこと…?!
え!?あの人もここに来るん!?
やっぱ俺帰った方がええんちゃう!!??
「宮舘先輩は週番、ちょっと遅れてくるって」
「なるなる〜、じゃ、勝手にくつろいでんね」
「そうだ、最近新しい紅茶が入ってきたんだよね」
委員長、深澤先輩、会長の会話についていけへん…
深澤先輩は何でこんな普通にできるん!!?
学年で言うと深澤先輩の方が上かも知らんけど、相手は生徒会長と風紀委員長やで!?
「康二も深澤先輩とゆっくりしてな」
「……え?」
「俺らもチャチャっと仕事終わらせちゃうからね」
「……え?え??」
目黒くんとラウールくんに強制的にソファに座らせられる。
これ、俺帰れへんやつやん。
あの生徒会長の淹れてくれた紅茶を飲みながら深澤先輩の話を聞く。
目の前で、憧れの生徒会と風紀委員の事務仕事を見れてる。
…俺、明日死ぬん?
あまりにも非現実すぎて、心の底からそう思う。
そうやって時間を過ごしてると、扉の開く音がした。
まさか…って思って緊張する。
「あっべちゃ〜ん!!!来ちゃった♡」
今の、佐久間先輩の声……?
「ごめん、少しだけ遅れちゃった」
「うわ…!!去年よりも新しくなってんじゃん!!」
え?え???
訳が分からずに扉の方を向く。
な、何で宮舘先輩だけやなくて佐久間先輩と渡辺先輩もおるん…!!!?
「“本命の3人“も到着っと。じゃ、本題に入りますか!」
深澤先輩がそう言うと、今来たばっかの宮舘先輩、佐久間先輩、渡辺先輩が頷く。
あれ?俺、目黒くん、ラウールくんはまだしも、会長と委員長も不思議な顔しとる?
(佐久間視点)
急にふっかから呼び出されたときはびびったけど、阿部ちゃんにも会えたし最高!
俺、翔太、涼太に話すことがあるって珍しく真剣な顔で言われたけど……
これから何の話をするかは俺らもわかってない!!
……にしても、不思議なメンツだよな。
俺と翔太と涼太はふっかに呼ばれたから来て、阿部ちゃん、照、蓮、ラウは生徒会、風紀委員だからいるんだろうけど…
康二もここにいるんだよな…そもそも、何でふっかが俺らを集めたのかもわかんないし…
「単刀直入に言うね。こいつの正体を暴いて裁きを下す。これが俺らの目的」
ふっかは笑顔で俺らにスマホの画面を見せる。
「「「……!」」」
それに反応したのは、俺、翔太、涼太。
ふっかに見せられた画面。
“みんなの秘密を暴き隊“…
逆に、照、阿部ちゃんはピンと来てないみたい。
そっか、2人は知らないのか…
「ついさっきのことなんだけどね、こいつが目黒の噂を流した挙句、目黒、ラウール、康二の居場所を奪おうとしてる」
「………」
真剣なトーンで状況説明を始めるふっか。
なるほど、だから康二がいるわけね。
居場所を奪う、か…
「相変わらず厄介なのは変わってないんだね」
「てっきり死んだと思ってたんだけどな」
忌々しそうに涼太と翔太が口を揃える。
翔太の言う通りだ、俺だってこいつはもういなくなったと思ってた。
「あのさ…この人、そんなに有名な人なの?」
阿部ちゃんがおずおずと手を上げる。
情報に疎い照は当たり前にわかってないけど、阿部ちゃんも知らないからなぁ…
ちゃんと説明した方がいいよね!
「この“みんな秘密を暴き隊“って言うのはね、一時期めっちゃ厄介なやつとして有名だったんだよ。この学校で話題になってる人たちの噂を流してんの。俺は“ピンク髪の陽キャ“ってあだ名つけられた」
俺の方から阿部ちゃんに説明するなんてこの先絶対ないと思ってたけど、まさかこんなタイミングでそんな機会が来るなんて思わなかったな!笑
「………“風紀委員の狂犬“…このあだ名をつけたのもそいつだよ」
俺に続いて翔太も呟いた。
俺は驚いて翔太を見る。
翔太、それ言っちゃうんだ。
翔太はこのあだ名をすごい嫌ってた。
あだ名をって言うよりも、勝手に噂を流されることに関しての方が正しいか。
「……俺と翔太の噂を流したのもこいつだよ…」
涼太まで……!?
いや、でも…確かに重要な情報ではあるし、ここにるみんなはそれを馬鹿にするような人はいないし大丈夫だと思うけど…!
……そうだよな、翔太と涼太が一緒にいられなくなったのもこいつのせいだったよな…
そう思うと、だんだん腹が立ってきた。
「……んで、“堕落した優等生“と“学校1のサボり魔“。この噂を流したのもこいつだよ」
最後の締めって感じで、ふっかがため息をつく。
顔は笑ったまま、でも、その声はものすごく冷たかった。
“堕落した優等生“。
こんなあだ名をつけたのもあいつだったのかよ…
しばらくの沈黙。
俺ら3年生組を除く5人にとっては衝撃的だったんだろうな。
阿部ちゃんと照、悔しそうな顔してる…
「生徒会長なのに、風紀委員長なのに知らなかった、気付けなかった、なんて思わなくていいと思うよ」
「「……!」」
俺の言葉が図星だったのか、2人は揃って顔を上げる。
「さっき翔太も言ってたけどさ、ここ最近はおとなしかったんだよ。だから気づけなくて当たり前じゃん!」
実際、俺らも知らなかったからね。
「そ!佐久間の言う通りだよ。問題が起きないようにすることも大事だけどさ、問題が起こった時に解決する方が大事だと思うよ?ね、翔太?」
「…え?!…あぁ、うん。その通りだな、!!」
急にふっかに話を振られて、慌てて答えた翔太。
そんな翔太に笑いが起こって、空気が軽くなる。
「今までの話をまとめると、“この9人“でこの“みんなの秘密を暴き隊“ってやつの正体を暴いて成敗するってことだよな!」
みんなの顔を見渡して結論づける。
俺らでこの問題児を成敗してやろうぜ!
俺の言葉に、みんなは力強く頷いた。
(深澤視点)
「じゃ、役割分担しますか!まず、阿部ちゃんと照は怪しい生徒を絞って欲しい。次、翔太と涼太は怪しい動きをしてる人がいないか観察。佐久間、俺は怪しい奴がいたら徹底的に監視。目黒、ラウール、康二は……昼休みここにおいでよ」
「「「え?」」」
早速役割分担をしてたら、可愛い後輩三人衆が驚いた顔をしてる。
「昼休み、困ってるんでしょ?ここに来れば情報共有もできるしゆっくりできる。一石二鳥じゃん?わら」
今1番大変なのはこの3人のはず。
昼休みは照と阿部ちゃんくらいしかいないから周りの目を気にせずにもすむ。
それに、俺もちょっとは頑張って学校来ようかな〜…
授業は出る必要ないし、割と探しやすいし…
………犯人の目星はついてるし。
多分、次に狙ってくるのは康二か俺だ。
康二は、目黒とラウールと常に一緒にいる。
“みんなの秘密を暴き隊“に目をつけられてる可能性も高い。
……そして、俺。
最近学校に来るようになったし、結構目立つようなことしちゃってるから噂される可能性は高い。
まぁ、俺は別に慣れてるからいいんだけど、康二は目立つのが苦手だったはず。
康二に辛い思いをさせるわけにはいかない。
「と言うことで、今日は解散としますか!俺は先帰るね〜、わら」
軽く手を振って部屋を後にする。
役割分担ができたから今日はもう十分。
それに、ちょっとだけ確認したいこともあるからね。
「じゃ、また明日〜」
最後にとびきりの笑顔を向けて部屋を出る。
「………」
“みんなの秘密を暴き隊“……
こいつの投稿を遡ってみる。
目黒とラウールと康二の大切な場所の暴露。
目黒の過去の話の噂。
ここからかなり間が空いてるな…
静かだった時期を乗り越えると、今度は俺らの番。
ピンク髪の陽キャ、佐久間。
風紀委員の狂犬、翔太。
翔太と涼太が特別な関係である噂。
翔太の風紀委員を辞めた理由についての考察。
佐久間が阿部ちゃんのストーカーしてる説…こんな噂まであったんだ…
こいつの特徴としては、やっぱりこの学校の有名人についての噂を流してる。
それと、やたらあだ名をつけたがる。
“学校1のサボり魔“はまだしも、“堕落した優等生“は厨二くさすぎない?
「……!」
新しい投稿…
活動再開してからはうるせぇんだな。
毎日のように投稿してんじゃん、承認欲求の塊か?
どれどれ、タイトルは……?
「………“返り咲いた優等生“……?」
これ、俺のことか…?
スマホの画面をスクロールする。
『返り咲いた優等生 投稿者:みんなの秘密を暴き隊
君たちは知っているだろうか?
学校1のサボり魔と呼ばれる彼、深澤辰哉。
サボり魔として有名になっている彼だが、彼のもう一つの名を知っているだろうか?
堕落した優等生。
この名を知っているものはごく一部しかいないだろう。
改めて説明をしよう。
深澤辰哉はかつてこの学校1の優等生であった。
生徒だけではない、すべての教師が彼に期待をしていた。
一年の頃の彼は素晴らしかった。
文武両道、頭脳明晰、非の打ち所がない完璧な優等生の体現であった。』
一度、スクロールの手を止める。
改めてあだ名の由来を見たけど、本当に気持ち悪いな。
『二年生へ進級してから優等生は“堕ちた“。
今の君たちが知っているように、彼はサボり魔へと堕ちた。
あれだけ優等生として期待されていた彼。
彼に期待していた教師たちは最初のうちは彼を心配していた。
だが、サボり魔は変わらなかった。
そのうち、教師たちは彼に失望した。
彼に期待の目を向けなくなった、彼を諦めた。
こうして、“堕落した優等生“は生まれたのだ。』
深く息を吐く。
まだ、文章は続いてるのか…
『そして今、優等生は戻ってきた。
夏休み明けの定期テストの順位表をご覧になっただろうか?
三年生の順位表、すべての一位を総なめにした名前。
深澤辰哉、かつての優等生が戻ってきたのだ。
堕落した優等生は、今返り咲こうとしているのかもしれない。』
「………」
優等生が戻ってきた、か…
ほんと、外面しか見てねぇんだな。
俺は、優等生に戻ろうとなんて思ってないんだけどな。
照が頑張ってたから、俺も頑張ろうかなって思っただけ。
これからも優等生に戻ろうとは思わない。
もう、勝手な大人の期待に応える必要なんてない。
優等生なんて………
「………どうでもいいか…」
今はこんなこと気にしてる場合じゃない。
それこそ、康二たちにもこんな目に遭わせないようにしないといけない。
せっかく役割分担をしたんだから。
明日から本格的にこいつの特定を始める。
絶対、こいつを見つけ出して裁いてやる……
junp_
3,309
#ご本人様には関係❌
コメント
6件
もう犯人の目星がついてる💜さん、改めてやっぱり天才なんだなって実感します。 大勢の女子生徒を撒いたり、咄嗟に庇ったり、すぐに行動できちゃうところとかも本当に才能の塊なんだって思いました! 🧡も「特定したる」って怒り気味に言ってて、二人のこと大好きなんだなって思いました💗

fkさんの芯の強さが生きててすきです…‼️