この物語はフィクションです。
実在の人物、団体、事件等には一切関係ありません
「あ、佐伯君、彼ら……い、いや。なんでもない。それより、そこから離れた方がいいんじゃないか」
栗橋は早口でそう言った。
言い淀んだ部分が気にかかったが、ここから離れることには賛成だ。
僕は耳をそばだててから、慎重に身体を起こした。
そっと辺りを見回し誰も居ないことを確認してから、葉を揺らしながら無理やりに植え込みを抜ける。
その音に影が寄ってきたら困ると思っていたが、幸い、音に反応しているのは講堂前にたたずむ一体だけのようだった。
「あの一体は、何なんでしょう?」
「あの一体?」
僕は栗橋に見えないことも忘れて、思わず赤い影を指差した。
「あそこに、その……ばらばらの死体の上に、影がいるんです。でも、移動する気配がない」
*****************************
******************
*******************
***********
*****
*****
***********
********************
コメント
2件