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初めまして。のはず。今回noveleeから書きにきました。続きは、、、。ある程度評価がよかったらこっちにも載せようかな?と考えています!
輪廻転生。
命あるものが何度も転生し、生まれ変わるという考え方だ。
その考え自体は知っていたものの実際に起こるかなんて思わなかった。
−−ああ、俺はここで死ぬんだな。短かったなぁ−−
硬いアスファルトに頬をつけ、どろりとした赤に顔の半分を埋めてぼんやりと思う。 首元にかけた小さな笛に手を当てて涙を流す。
−−結局コレは何だったのかなぁ−−
気づいた時には持っていたこの小さな笛は俺の宝物だった。
なぜか手放すことも出来ないこの笛の意味。−−思い出した。ふっ、“いつもは”すぐに思い出せたのに…−−
体が九十度傾き、顔が上を向く。
そこには涙を流しながら何かを訴えかけている少女がいた。
「きみに は、まだ、…知らないで欲しい な…この先の、事を。知ってしまえば、何も無くなってしまう、から…ね」
そう言って、“この人生”に幕を下ろした。
◆
暗い。そんな空間。
そんな中で大きな椅子に座っている男が向かいに置いてある器に話しかけている。 別に何か狂っているわけではない。
「流石俺のお気に入りだな!お前はいつもこう…ドラマみたいな死に方をしてくれる!飽きない、ああ実に面白い!」
顔に大きな笑みを浮かべ、白い歯を見せる。「お褒めに預かり光栄と言ったところでござるな。『邪神殿』」
男の声に対して、器の中の真珠色の液体を震わせながら応えた。
「ふん。思い出せばすぐその不思議な語尾だな。まあ、構わないが」
邪神と呼ばれた男は、聞き取りずらいのか顔をしかめて、笑みを苦笑いに変えた。
「日本で四回生きて、四回死んだ。その全てがまるで台本通りの劇にしか見えなかったぞ。ああ、何度もいうが俺は仕組んでたり運命をいじったりはしてないぞ。そもそも出来んしな。」
◆
最初は忍びをやっていた。親を亡くし、妹と二人で生き延びるため、命の危険を承知で任務を遂行していた。
お守りにと、妹から笛をもらっていた。
その笛を、この邪神はいつも持たせてくれていた。その度に邪神のくせにと思っていた。
二回目の人生は五つの時に前世を思い出した。自分の死んだおよそ六百五十年後(二千十年)の世にいた。自分の死んだ後に何があったかがわかって面白かった。
この時は銀行員になって銃に撃たれて死んだ。
三回目の人生は火事の中、取り残された人を三階から己が下になるように飛び降りた。
そしてついさっき、四回目。 記憶が戻ろうが戻らなかろうが、人を助けるために体が動いてしまう。
イヤホンをつけ、スマートフォンを片手に横断歩道を歩いていた少女の背中を押して迫るトラックにぶつかる。そんなよく物語でかっこよく死んで逝く主人公ようなものだった。