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ー名前ー
夜の校舎は、まだ静かだった。
でも、さっきまでの張りつめた空気は少しだけ和らいでいる。
鬼は、床に座り込んだまま動けずにいた。
逃げない
暴れない
ただここにいる。
花子くんが一歩前に出る
花子くん「とりあえずさ…」
軽い声。
でも、いつもより少し低い
花子くん「君、この学園にいるなら。七不思議の管理下に入ってもらうけど。」
鬼の肩が、びくっと震えた。
”管理”
”縛られる”
その言葉が怖いのは私にもわかる。
寧々「…花子くん」
呼ぶと、花子くんは私を見る
寧々「大丈夫だよね…?」
花子くんは一瞬だけ黙ってから、肩をすくめた
花子くん「ヤシロが決めたなら」
それだけで、胸が少し軽くなった。
私は鬼の前にしゃがみ込む。
目線を合わせる
震えてるのがはっきりわかる
寧々「ねぇ…」
鬼はゆっくり顔を上げた
涙で濡れた顔。
寧々「名前、ないままだとね
ここに”いる”って言えないんだ」
鬼の喉が、小さく鳴る
言葉にならない声
寧々「だから…」
少し迷った。
でも、決めていた。
寧々「哀(あい)っていうのはどう?」
その名前を口にした瞬間、空気がずっと落ち着いた。
哀しい、だけじゃない。
大切にされなかった気持ち。
泣くことを許されなかった想い。
全部を、抱えた名前。
鬼____哀は、目を開いた。
哀「…ぁ……ぃ」
掠れた声。
はじめて、ちゃんとした”言葉”。
花子くんが、小さく息を吐く。
花子くん「ヤシロにしては、いい名前じゃん」
善逸「え、ちょ、ちょっと待って!?な、名前つけた?鬼に?仲間フラグたった?!」
炭治郎「八尋さん…」
炭治郎くんが私を見る。
炭治郎「その名前を与えるということは、守る責任も背負う、ということですよ」
寧々「…うん、わかってる」
怖い…
でも、目を逸らさなかった。
寧々「それでも…哀を一人にしたくない!」
炭治郎くんはしばらく黙っていた
炭治郎「……わかりました」
刀を完全に鞘に収める。
炭治郎「今夜は、仲間として扱います」
善逸くんが、頭を抱えている
善逸「まじか…俺、今日一生分の勇気使った気がするわ」
そのとき。
哀がゆっくり立ち上がった。
そして
私に向かって、深く頭を下げた。
哀「あり……がとう」
震えた声。
でも、確かに届いた
花子くんが、哀の方を見る
花子くん「じゃあ、決まり!」
少しだけ、七不思議7番目の顔として。
花子くん「今日から君は、この学園の”境界側”だ!」
哀は静かに頷いた。
その姿を見て、私は仲間になったんだと思った。
完全に救われたわけじゃない。
でも、もう一人じゃない。
それだけでこの夜は_____
確かに意味があった