ピンポーン
???「はぁーい」
「桃時お姉ちゃん!」
???「あらあんた!久しぶりね!」
ここは、「桃時」の家。朝早くから来た来訪者は、前に「雨花」と一緒に助けた女の子だった。
桃時「どうしたの?何かあった?」
「ううん!お母さん優しいよ!お父さんとは会えてないけど……」
桃時「そう……なのね。じゃあ今日は遊びに来たのかしら?」
「うん!そうなんだ!本当はあの十円玉使いたかって電話しようと想ったんだけど……緊急の時に使おうかなって想って!」
桃時「うふふっ。しっかりしてるわね。でも寂しくなったらでも使って良いのよ?お金が無くなったらまた渡しに行くって雨花も言ってたし!あなたに我慢させないためのお金なんだから」
「!、うん分かった!」
桃時「じゃあ早速雨花たちを呼びに行きましょ?」
桃時は急いで雨花たちを呼んだのであった。
◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎◽︎◾︎
???「久しぶりですね!」
???「久しぶり」
???「おぉ!少し背伸びたんじゃね?」
橙、兎白、瑠璃人が集合した。
雨花「久しぶり〜!!ますます可愛くなってるじゃん!!」
「えへへ!雨花お姉ちゃん大好き〜!」
雨花「えぇ〜照れるなぁ……あはは!」
桃時「ん”ん”……あぁもしもし〜」
雨花「あっ失礼ました。無邪気な天使がいたもので」
橙「それで何して遊びたいんですか?」
「家族ごっこ!」
橙・桃時・兎白・瑠璃人「家族ごっこ?」
「うん!私お父さんいないからせめて遊びだけでも家族みたいにお姉ちゃんたちと過ごせたらなって……ダメかな?」
橙・桃時・兎白・瑠璃人「ダメなわけないじゃないですか・じゃない・じゃないか・ねぇじゃねぇか!!!!」
「お姉ちゃんたちの知ってる家族模様で良いからさ!」
雨花「…………」
どうしても家族を
離して考えることは
簡単にはできないな
親のことを好きでいたいんだろうな
例えどんなに裏切られても壊されても
嫌いになっても憎んでも
心の中には
「好きでいたい」という気持ちが残ってる
それか
好きか嫌いかすら分からなくなる人も……
雨花「…………」
橙「雨花さん?どうかしましたか?」
雨花「ん?何でもないよ!じゃあ早速遊ぼう!……どういう風に遊びたい?」
「えっとねぇ!役割を決めてそれぞれの役割に合った演技をするの!」
雨花「よぉし!じゃあ今からくじ作るから、せっかくだし、くじは自分以外にはみせないで演技するのはどうかな?」
「うん!面白そう!」
雨花「じゃあ作るね!」
くじ決め後
雨花「よし、じゃあスタート」
とうとう「家族ごっこ」が始まった。
「(私娘役だ!)」
女の子はくじを引いて、みる。
雨花(???)「お母さんや。お母さん」
桃時(???)「何かしら?」
「桃時お姉ちゃん。「お母さん」なんだね」
雨花(???)「わたしが姑でキツくないかい?大丈夫かい?」
桃時(母親)「大丈夫ですよ。おばあちゃん」
「雨花お姉ちゃんは、「おばあちゃん」か!」
雨花(祖母)「桃時さんや。朝ごはんはまだかいのう?」
桃時(母親)「朝ごはんならもう食べましたよ?はぁ……夫はいつになったら帰ってくるのかしら」
橙(???)「お母さん!元気出して下さい!私たちが付いてますよ!」
「うん!付いてるよ!」
どうやら橙も「娘役」のようだ。
桃時(母親)「はぁ……少しボケてるお義母さん。いつまで経っても帰ってこない夫。……でも大丈夫よ!お母さんはこんなんじゃめげないわ」
橙(娘)「はい!でも無理はしないで下さいね」
「うん。…………」
「(何か想ってたのと違うけど……まぁいっか)」
橙(娘)「妹ちゃん」
「ん?何?」
橙(娘)「わたしが高校を卒業したら働いてお母さんとおばあちゃんを支えるから、だからその時は一緒に家を出ましょう。あと……」
「(しかも何か複雑な家族設定)」
兎白(???)「ワンワン」
「ん?もしかして……犬!?」
橙(娘)「餌をあげましょう」
兎白(犬)「その時はお母さんと一緒に連れてってくれるのか?」
橙(娘)「「ワンワン」ですよ」
兎白(犬)「ワンワン」
橙(娘)「残念ですが、あなたは無理ですね。大型犬はアパートでは生活できないので」
兎白(犬)「くぅーん」
桃時(母親)「何言ってるの。この子も連れていくわ」
橙(娘)「でもお母さん……」
「(何か悲しい話になってきた)」
瑠璃人(???)「帰ってきたぞ〜」
桃時(母親)「あぁぁぁ!」
瑠璃人(???)「我が家に帰ったぞ〜」
桃時(母親)「この人でなしが!!」
瑠璃人(???)「ぐはっ!!何だ何だ!!」
「(今度は「お父さん」……どんどん複雑化していく家族模様)」
桃時(母親)「どの面下げて帰ってきたのよ!!」
瑠璃人(父親)「お、お土産持ってきたぞ!」
桃時(母親)「そんなもんいらないわ!!」
瑠璃人(父親)「で、でもすごく美味しいんだぜ?」
雨花(祖母)「桃時さんや。もしかしてたけしが帰ってきたのかい?」
「(瑠璃人お兄ちゃんだけ「たけし」なんだ)」
桃時(母親)「帰ってきたようですよ。このろくたけし」
「(ろくたけし……)」
雨花(祖母)「そうか。帰ってきたか。たけしや。あんた桃時さんに負担かけて。何をしとるんだお前は」
瑠璃人(父親)「いやぁ、接待とか色々あるんだよ。こっちも。お母さんーご飯!」
桃時(母親)「ピキっ……おいクソ野郎」
瑠璃人(父親)「え?」
雨花(祖母)「あれま。お母さんVSお父さんだね。どっちが勝つのやら」
橙(娘)「私たちは少し隠れてましょう。」
「う、うん」
橙(娘)「おばあちゃんもほら」
雨花(祖母)「はいはい」
レディー……ファイッ!
桃時(母親)「あんたとはいずれこうなると想ってたわ」
瑠璃人(父親)「えぇ〜お前が勝ったらどうなるんだよ〜」
桃時(母親)「アタシが勝ったら……」
「「犬を夫に貰う!!!!」」
「え」
「「えぇぇぇぇ!?!?」」
雨花(祖母)「ほっほっほっ。まさかの下克上宣言だ」
橙(娘)「私も賛成です!」
瑠璃人(父親)「橙!?」
「あ、前」
瑠璃人(父親)「えっ?がハッ!」
瑠璃人は桃時に股間を想いっきり蹴られた。
瑠璃人(父親)「ふぁ……ぎ……こっ……うっ……」
桃時(母親)「ふん!」
雨花(祖母)「カンカンカン、勝者お母さん!」
橙(娘)「雨花さん。役忘れてますよ」
雨花(祖母)「あっ、ごほん。勝者は桃時さん」
桃時(母親)「さぁおいで〜兎白!」
瑠璃人(父親→???)「あの、オレは何になるんだよ?」
瑠璃人は股間を抑えながら恐る恐る桃時に質問する。
桃時(母親)「あんたは……」
瑠璃人(父親→???)「ごくり……」
「「犬に降格」」
瑠璃人(父親→犬)「えぇぇぇ!?!?」
兎白(犬→父親)「元犬が父親なんて良いのか?」
「気にするとこそこなの?」
橙(娘)「でも、私の愛犬になれるんですよ?」
瑠璃人(犬)「あっそっか!」
「(何か面白い愛憎劇だなぁ)」
雨花「はい!カット!」
橙「ふぅ……我ながら結構熱を入れて行いました」
桃時「アタシたちが知ってる普通の家族は、こういう何だけど……」
兎白「どうだった?」
瑠璃人「気に入ってくれたか?」
雨花「……正直に言って良いんだよ?」
「うぅーん上手く言えないけど……」
女の子は雨花たちの目をみて言った。
「想像してるのとでは違ったけど、雨花お姉ちゃんたちの「普通」ってものが知れて、良かった!そしたら今度は私がお姉ちゃんたちを助けられると想うから!」
雨花「…………」
橙・桃時「な、何て……」
「「良い子なんでしょう・なの〜!」」
兎白「これは確かに頼もしそうだな」
瑠璃人「このピュアさ……胸に染み渡るぜ〜」
雨花「そう、だね……」.
この子が
こんな優しい子が
もしわたしのことを知って
もし知ったら
きっと
絶対
幻滅するだろうな
雨花独りを残して、橙、桃時、兎白、瑠璃人は女の子と談笑するのであった。
雨花はそれを今にも泣きそうな笑顔でみつめるのであった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!