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外伝2 お宝を持ち帰らなかった日
オアシスの中央で
水が
静止している
森は
すでに形を持ち
地面も
落ち着き始めていた
そこに
一人の冒険家がいる
筋肉はあるが
誇示しない
装備は整っているが
新しすぎない
足取りは慎重
だが
迷ってはいない
水面の下で
一つだけ
形が浮かび上がる
お宝
手を伸ばせば
届く距離
冒険家は
膝をつく
水に触れない
影だけが
揺れる
少しの間
動かない
過去に
似たものを
見たことがある
だが
持ち帰った記憶は
ない
理由は
思い出せない
ただ
その時も
森は
同じ音をしていた
冒険家は
立ち上がる
手は
空のまま
振り返らず
来た道を戻る
足跡は
浅い
境界の外で
ドラゴンが見ている
何も
言わない
その日
次の土地は
すぐには
生まれなかった
だが
遅れただけだった
オアシスは
崩れない
お宝は
水に溶ける
持ち帰られなかった
その選択が
次の場所を
少しだけ
遠くした
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