織山side
「国民的元彼」
そうファンに定着したキャラを持っている彼は、どんなことを考えているんだろう。
一度頭の中を覗いていみたいくらい、気になって仕方ない。
男の俺でも分かる、端正な顔立ちと誰に優しいあの性格。
グループ全員練習の合間の休憩中、ちょっと離れた距離からメンバーと笑うあいつを見て何だか腹が立ってきた。
なんでこんなにも自分が彼のことを考えてるのか分からない。それでも、何故か目で追ってしまう。
決して俺だけに向けられているわけではないその笑顔が俺の心を締め付けるんだ。
あー、イライラする。なにこれ。
頭痛くなってきた……
柱にもたれ掛かり立っていた体制からズルズルとその場に座り込む。
膝の腕に両腕を乗せて頭を伏せた。
分っかんないよ、こんなの。
ねぇ、誰か教えて…?
なんで俺はあいつに頭の中を支配されてる…?
???「……尚大?」
少し低いテノールが、俺の鼓膜を揺らす。
そっと顔を上げて視界に入った顔に俺は息を呑んだ。
???「どした…?体調悪い……?」
織山💙「…檜山」
眼の前にいるこいつは眉を寄せて怪訝そうな顔をしている。
俺のことを心配してくれてるのかな、
織山💙「ううん、大丈夫…」
檜山💜「ほんとに?顔色悪いよ」
織山💙「いい、何もない。」
檜山💜「心配なんだけど…」
大丈夫だって言ってんじゃん。
なのになんでさっきより心配そうな顔をするんだよ、こいつは。
檜山💜「……ほら、立てる?」
檜山が右手を俺の前に差し出す。
やめろ、俺に構わないで。そんなに優しくしないでよ。
もっと分かんなくなる。お前のことが。
これ以上、俺のことを乱さないで……
織山💙「っ、本当に大丈夫。檜山ありがと。ほら、皆のところに……」
戻って。そう言おうとした。
精一杯の笑顔を向けて、俺は大丈夫って。
檜山💜「っ、馬鹿!」
なのに、こいつは言葉を遮って無理やり俺の体を持ち上げた。
織山💙「っ、ちょ!え、なに、やめて!!」
しかも、俗に言うお姫様抱っこで……
檜山💜「尚大、暴れないで。落としちゃう、怪我するよ」
織山💙「お前が!俺のこと降ろせばいいじゃんっ!!」
檜山💜「無理。このまま医務室向かいます」
織山💙「ほんとに大丈夫だってっ、!!ちょ、誰か!!」
やばい、こいつ聞いてない……
練習室内にいるメンバーからの視線が痛いんだけど……、
皇輝🩷「檜山、織山、どうした?」
あ、皇輝くん……!助けもらおう……!!
織山💙「こうきくんっ、檜山が……!」
檜山💜「ごめん、尚大の調子悪いから医務室連れてく」
本日2回目…!俺の言葉遮りやがって…、、
皇輝🩷「なるほどね、了解。檜山、織山のことよろしく」
檜山💜「任せて」
織山💙「……檜山、許さん」
リーダーに了承されちゃったらもう成す術無し。ゲームオーバー……
だからってお姫様抱っこはどうなんだ。
さっきから檜山の匂いに包まれてて変に意識しちゃうんですが…あと、恥ずかしいし……
練習室の端で湧をはじめとした一部メンバーがニヤニヤしながら見てるのに気づいてしまった。
織山💙「檜山、降ろして」
檜山💜「だから無理だって」
織山💙「一人で歩ける」
檜山💜「いいから尚大は俺に大人しく抱えられといて。暴れたら尚大怪我してダンスできなくなるよ?」
織山💙「………」
ほんとにずるいと思う。
ここでダンスのこと持ち出してくるなんてさ。
皇輝に部屋の扉を開けてもらって外に出る。
この練習室は二階。医務室は一階。
階段とかどうするつもりなんだろ?
俺は不機嫌になりながらも前を向く檜山の顔をじっと見つめた。真っ直ぐ前を向いているから必然的に下から見上げる感じで。
下から見てもイケメンとかおかしいだろ、なんて一人心の中で悪態をついているとバチッと檜山と目があってしまった。
檜山💜「え、なにその顔。そんなに嫌?」
織山💙「嫌」
檜山💜「即答、笑。なんで?」
織山💙「だってこれ、お姫様抱っこじゃん。俺が女子ならまだしも、成人男性が抱えられてるなんてやばいでしょ……」
檜山💜「……そっか」
それだけ言うと檜山はまた前を向いて歩き出した。
なんだよ、お前から話振ってきたのに。その興味なさそうな返事は!
織山💙「あ、階段。俺、降りるよ」
檜山💜「あー、大丈夫」
織山💙「え、」
檜山💜「エレベーター使うから」
織山💙「なっ!」
エレベーター……!!その発想は無かった、、
普段使わないからな……
檜山💜「尚大、しまったって顔してる笑」
織山💙「うるさい」
檜山💜「医務室までは降ろさないからね」
そう言って俺の顔を覗き込む。
ちょっと口角を上げて笑うこいつの顔に心臓が跳ねた。
織山💙「檜山、やめて、それ」
檜山💜「ん?」
俺は両手で顔隠す。
織山💙「なんか、恥ずい」
檜山💜「………なんで尚大が恥ずかしがるの、笑」
織山💙「あー、もー、本当にやだ……」
*****
檜山💜「失礼します」
檜山は両手が塞がってるから俺が医務室のドアを開ける。
医務室の先生は席を外してるみたいで部屋の中は誰も居なかった。
織山💙「……やっと着いた」
檜山💜「尚大、降ろすよ」
織山💙「ん」
檜山は俺の体をそっとベッドに降ろすと、ふ
ぅ、と溜息を付いた。
織山💙「ごめん、俺重かったでしょ」
檜山💜「いや、全然。軽すぎて驚いた」
織山💙「なにそれ、俺最近頑張ってるからね?」
檜山💜「うん、知ってる。尚大が頑張ってるのちゃんと知ってるよ?」
織山💙「………」
檜山💜「だから、無理しないで。」
檜山がポンポンと俺の頭を優しく撫でる。
そのあまりの優しさに何故かまた、胸が苦しくなる。
やっぱり、こいつは分からない。
一体俺をどうしたいと言うのか。
俺は檜山の手を掴んでそっと降ろす。そのままベッドの布団に頭まで潜り込んだ。
クスクスと檜山の小さく笑う声が聞こえる。
織山💙「………もう良いから。練習、戻ったら 」
檜山💜「うん、戻る」
檜山の足音が小さくなっていく。
檜山💜「じゃあ、尚大。安静にしてな。今日はもう練習戻ってきたら駄目だからな」
こんな時までおせっかい。どこまで優しいのこいつは。
織山💙「……檜山」
ガチャリとドアを開ける音がしたから、そっと名前を呼んだ。
完全に無意識だ。
檜山💜「……?」
なんでもない、って言うつもりだったけど。
やっぱり、
織山💙「その、ありがと……」
聞こえたかな?
声、小さくてごめん。
けど、
檜山💜「………うん」
ちょっと嬉しそうなあいつの返事が聞こえたから、良しとするか、笑。
完全に安心してしまった俺はそのまま流されるように眠った。
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どうも!作者です🧂
勢いで始めたひやおり小説ですが……
ひやおり(おりひや)、結構マイナーなんだって……??
いやいや、二人の魅力にまだ世界が気づいていないだけ!
需要が無いなら作ってやりますよ!!
皆様はひやおりの関係、どう思ってますか😆💕
教えてくださると嬉しいです!!
ってことでこれからもちょこちょこ更新していくのでどうぞよろしくお願いします✨
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