「とまあ、こんな感じでしょうかの」
私はやっと息をしたのかというほどに、ため息をついた。
胸につっかえていたものが、奥底から取れてくれたような。
「……ファル爺。ありがとう」
「いえいえ。さて……夕食は残っとりますかのう」
そういえば、爺はまだ食べていないんだった。
「ご、ごめんなさい。こんなに長くなるのに、話してくれてありがとう」
「ほっほっほ。これで許していただけましたかの?」
「う、うん……。怒ってごめんなさい」
俯くように頭を下げると、爺はまた笑った。
そして急に、姿勢を改めて深く頭を下げ――。
「魔王様の事、よろしくお頼み申します。我ら一同、全霊でもってお二人にお仕えいたしますゆえ」
そんなことを言うものだから、胸に、また熱いものが込み上げてくる。
「ず、ずるい。私だけ泣かせようとしてるでしょ」
見れば、シェナまでソファから降りて私に跪いている。
「もう。シェナまで……」
その想いの深さに、私もまた、頭を下げ返した。
「私も、誠心誠意、魔王さまをお支えします」
私に何が出来るのか、いまいち分かっていないけれど。
でも、何も出来ていないだなんて、泣き言はもう言わない。
お側に居るだけでも、魔王さまの支えになれているのなら――。
コメント
1件
区切るところを間違えて、短いのになっちゃいました(;'∀')