テラーノベル
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夜。
部屋の電気は消えてるのに、眠れなかった。
ベッドに腰掛けたまま、スマホを握る。
ぷりっつ(……静かすぎる)
いつもなら、廊下で誰かの足音がする時間。
今日は、何もない。
【ぷりっつ】「……」
画面には、あっきぃの名前。
最後のやり取りは、短いスタンプだけ。
ぷりっつ(……俺、何してだろ)
昼の玄関が、何度も頭に浮かぶ。
「戻ってこい」
あの一言。
ぷりっつ(……違うだろ)
本当は、
「怖かったな」
「ごめん」
それを言うべきだった。
【ぷりっつ】「……遅すぎる」
声に出した瞬間、胸が苦しくなる。
ベッドに仰向けになって、天井を見る。
ぷりっつ(嫌ってたわけじゃない。
でも、守りもしなかった)
無視。放置。
空気みたいに扱って。
ぷりっつ(……一番、きついやつ)
【ぷりっつ】「……ごめん」
誰もいない部屋で、初めて言った。
スマホをもう一度見る。
メッセージ入力画面を開く。
打っては、消すを繰り返す。
『ごめん』
消す。
『戻ってこいとは言わない』
消す。
『俺、間違ってた』
指が止まる。
ぷりっつ(……重いか)
(今、見たら、困らせるだけか)
画面を閉じて、また開く。
どくっ、どくっ、どくっ。
心臓の音が、うるさい。
ぷりっつ(でも、何も送らなかったら)
(**“何も変わらない”**ままだ)
指が、ゆっくり動く。
【ぷりっつ】「……短くでいいんや」
打った文字。
『今日、ごめん』
それだけ。
ぷりっつ(……返事、来なくてもいい。
読まれなくてもいい)
送信ボタンの上で、指が止まる。
ぷりっつ(……逃げるな)
昼、あっきぃに言った言葉が、刺さる。
【ぷりっつ】「……俺が、逃げてる」
深く息を吸って。
【ぷりっつ】「……今、送る」
送信。
シュポッ。画面が切り替わる。
ぷりっつ(……送った)
胸の奥が、少しだけ軽くなった。
数分後。既読は、つかない。
【ぷりっつ】「……いい。それで」
ベッドに横になる。
ぷりっつ(……返ってこなくても。
今日は、これでいい)
天井の影が、ゆっくり揺れる。
【ぷりっつ】「……おやすみ、あっきぃ」
返事のない夜に、
初めて**“向き合った”**感覚だけが、残っていた。
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