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絆

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7 - 第7話 🤍🖤

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2025年09月26日

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その日の撮影が終わり、ほとんどのメンバーが帰り支度を終えた楽屋。

目黒蓮は、スマホをいじりながらも、その視線は誰かを探すように虚空を彷徨っていた。


そんな彼の隣に、ラウールが

「あ、めめ!おつかれー」と言いながら静かに腰を下ろす。


🖤…なあ、ラウールはさ…


ぽつりと、自分でも驚くほど弱々しい声が出た。

ラウールは「ん?」と不思議そうにこちらを見る。その真っ直ぐな瞳から、目黒は思わず視線を逸らした。


🖤最近さ…康二のこと、どう思う?


聞きたかったけど、聞きたくなかった問い。康二に冷たくしてしまったのは自分だ。

何も話してくれないあいつが悪いと、自分に言い聞かせてきた。

でも、心の奥ではずっと、何かが違うと叫んでいた。


🖤周りからも色々言われてるみたいだし…。なんか、俺もどう接していいか、わかんなくて…


言い訳がましい自分の言葉が嫌になる。

ラウールは、そんな目黒の言葉を黙って聞いていたが、やがてゆっくりと口を開いた。


🤍うーん…難しいことはよくわかんないけど…


そう前置きをして、ラウールは続けた。


🤍でも、康二くん、全然楽しそうじゃないよ。みんなといる時、笑ってるけど、目が全然笑ってないもん


その言葉に、目黒は息を呑んだ。

そうだ、ずっと気になっていたのはそれだった。あいつの笑顔から、光が消えている。


🤍誰かが言ってたとか、やる気があるとかないとか。 僕にはそういうの、あんまりよくわかんない。


🤍でも…僕はただ、いつもの康二くんじゃないのがすごく嫌だなって思う


ラウールは、ただ純粋な目で目黒を見つめた。


🤍…めめは、今の康二くん見てて、悲しくないの?


悲しくないの?

その問いは、鋭い刃のように目黒の胸に突き刺さった。

そうだ。俺は、イライラしていたんじゃない。悲しかったんだ。

一番の親友がすぐ隣で苦しそうな顔をしているのに、何もしてやれない自分が情けなくて。

くだらない噂と、意地と、寂しさで、一番大事なものを見失っていた。


🖤……悲しい、よ


絞り出した声は、震えていた。


🖤本当はすげぇ、悲しい…


スタッフAの言葉じゃない。周りの評価でもない。見るべきは、信じるべきは、たった一つ。目の前で苦しんでいる、たった一人の親友の心だった。


ラウールは「だよね」と小さく頷くと、優しく目黒の肩を叩いた。


🤍じゃあ、めめが助けてあげなよ


🤍康二くん、きっとめめを待ってると思う


その無邪気で、でも何よりも強い言葉に、目黒は顔を上げた。

もう迷いはなかった。もう一度、あいつとちゃんと向き合おう。何があったのか、全部聞こう。


そして、もしあいつが一人で泣いているなら。

今度こそ、絶対にその手を掴んでやろう。


目黒の中で、止まっていた何かが、確かな音を立てて動き始めた。


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