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#佐久間担
yuka🌃🪽💎@猫化中
1,014
第五十五章 ご主人様はだれ?
翔太💙「おはようございます」
静まり返ったマンションの一室。
テーブルの上には昨夜飲みかけたままの飲み物が置かれ、翔太の爪を彩っていたネイルが床に乱雑に転がっている。
翔太💙「佐久間さん?……ツナ……シャチ……」
寝室と思わしき扉に手をかけそっと開ける。
カーテンは閉まり隙間からうっすらと差し込む朝日。
恐る恐る一歩、また一歩と歩を進めた。
ベッドに横たわる佐久間の顔を覗き込む。穏やかに寝息を立てて眠っている。
ベッド脇のケージの中で猫のツナ、シャチが元気よく遊んでいた。人差し指をケージに掛けると、ツナがゴロゴロと喉を鳴らして頭でスリスリと触れてきた。
翔太💙「かっ……可愛い♡ご主人様まだ起きないの?ご飯食べた?」
大介🩷「いや……まだ。確かに腹減ったな」
翔太💙「おわっ……ちょっ佐久間さん!」
後ろから伸びてきた佐久間の腕がお腹に回る。そのまま軽々と引き寄せられ、翔太の身体はベッドへと吸い込まれた。
大介🩷「俺には挨拶もなしか?それに、聞かなくていいの?ご飯食べたかって?」
翔太💙「その前に離してください!ちょっとどこ触ってるんですか!?」
大介🩷「もちもち柔肌の翔太の太腿」
翔太💙「やめてください!ンッ……」
大介🩷「で、お前のご主人様はどっち?」
〝いい加減にしてください〟抵抗した拍子に思わず佐久間の頭に翔太の握り拳が当たる。〝痛っ〟と言ってベッドに蹲る佐久間に、慌てて駆け寄り声をかける。
翔太💙「ごめんなさい……佐久間さん?大丈夫ですか?……そんな、どうしよう」
蹲ったまま微動だにしない佐久間の肩を抱き寄せ、頬に手を当てる。初めてのことに動揺を隠せない翔太。
翔太💙「佐久間さん……?」
〝外泊中責任者 目黒〟
翔太💙「そうだ、蓮に連絡……あれ、スマホどこだっけ?」
大介🩷「リュックの中だろ」
翔太💙「あっそうか、そうだった……えっと目黒先生」
大介🩷「人工呼吸、必要じゃね?」
翔太💙「……確かに!」
翔太が慌てて顔を近づけた、その瞬間。
大介🩷「いただきまーす♡」
翔太💙「ンンンンッ……」
腕を掴まれ佐久間と入れ替わるように、ベッドに横たわると手首をシーツに押し付けられ唇が重なった。
大介🩷「看護師ならまず自分の目で患者の容体確かめろよ?」
〝確かに……〟
情けないったらない。これだから蓮が直前まで外泊の付き添いを訝しがっていたのだ。もっとしっかりしていれば、何の不安もなく許可が降りたかも知れない。
支度を済ませ、マンションを後にする。
朝の空気はまだ少しひんやりとしていて、昨夜までの賑やかさが嘘のように街は穏やかだった。
大介🩷「それにしても……今朝は静かだな。今日は保護者同伴じゃないんだ?」
やけに後ろを気にしていた佐久間の言葉に、翔太はきょとんと首を傾げる。
翔太💙「保護者?」
佐久間は「あっ」という顔をすると、わざとらしく口笛を吹きながら空を見上げた。
大介🩷「いや、何でもない」
翔太💙「???」
大介🩷「気にすんな。知らない方が平和なこともある」
翔太💙「何ですかそれ……」
首を傾げる翔太を見て、佐久間は思わず吹き出した。
大介🩷「あははっ。ほんっと平和に生きてんな、お前」
翔太💙「だから何なんですか?」
結局、最後まで意味は分からないままだった。
◇
◇
雪達磨大学附属病院。
紫色のカーペットが敷かれたエントランスを抜けると、朝の外来が始まった院内は慌ただしく動き始めていた。
ナースステーションの前を通りかかった、その時だった。
ラウ🤍「目黒先生、阿部先生」
低くよく通る声が廊下に響く。
翔太💙「……あっ」
ナースステーションの入口に並んで立たされている二人の姿が目に入った。
翔太はラウール師長に気付かれないように、太腿の辺りで小さく手を振ると、それに気付いた亮平が同じように手を振った。
蓮は腕を組んだまま無表情で、こちらを見ようともしない。
——ツンデレなやつめ。
ラウ🤍「阿部先生、浮かれてる場合ではないですよ?」
亮平は〝ヤベッ〟と舌を出し可愛らしく俺に向けてウインクすると、更なる師長の逆鱗に触れたようで、気まずそうに視線を泳がせた。
正面には、腕を組んだラウール師長。
大介🩷「ふふっ……珍しい光景だな」
翔太💙「二人怒られてるみたい」
ラウ🤍「無断欠勤の理由を、順番に聞かせてもらえますか?」
翔太💙「無断欠勤?」
亮平💚「えっと……その……」
蓮🖤「……」
ラウ🤍「では、阿部先生から」
亮平💚「かぁ」
第一声が甲高く、明らかに動揺している阿部。隣で肩を振るわせる目黒は緩む頰をさりげなく張った。
亮平💚「飼っていた真っ白な可愛い子犬が昨朝より見当たらなくて……すいません連絡せずに慌ててました」
蓮 🖤「ふはっ……すいません」
思わず吹き出す蓮を他所に、ラウール師長は冷ややかな視線を向けると、カルテをめくるような手つきで静かに頷いた。
ラウ🤍「なるほど。目黒先生、そちらは?」
蓮🖤「はい」
一拍置いて、淡々と答える。
蓮🖤「阿部先生から”犬が逃げた”と連絡がありまして」
亮平💚「う、うん!」
蓮🖤「見つけるまでは、仕事も手につかないと」
ラウ🤍「それで捜索に?」
蓮🖤「はい」
亮平がホッと胸を撫で下ろした、その時。
蓮🖤「ただ」
ラウ🤍「ただ?」
蓮🖤「あれは阿部の犬ではありません」
亮平💚「はぁ!?」
ラウ🤍「……?」
蓮🖤「誰にも懐くので勘違いされやすいですが」
亮平💚「おい」
蓮🖤「あれは、わたしのです」
亮平💚「は💢」
翔太💙「蓮、犬飼ってたのか?」
ラウ🤍「翔太、早く着替えて来なさい。それと佐久間さん。体調におかわりはないですか?」
大介🩷「絶好調よ。なんせ朝の目覚めが最高だったからな。なぁ翔太」
全員の視線が翔太に集まる。
翔太💙「さ、佐久間さんっ、そういう言い方やめてください////」
蓮 🖤「何があったか詳しく話せ。私は外泊責任者だ!」
翔太💙「えっ……あっ、はい!」
翔太は真面目な顔で頷く。
翔太💙「佐久間さんが急に倒れちゃって……人工呼吸が必要だって佐久間さんが言うものですから――」
数秒。
病棟が、しん、と静まり返る。
亮平💚「……は?」
ラウ🤍「人工呼吸?」
蓮 🖤「佐久間💢」
大介🩷「あはははっ!」
腹を抱えて笑う佐久間。
翔太💙「え?違いましたっけ?」
ラウ🤍「阿部先生、目黒先生、理由はともあれ、無断で病院を抜け出し尾行するのは如何なものかと?私はてっきり、彼を信用して外泊を許可したのだと思っていたのですが?」
翔太💙「尾行?」
きょとんと首を傾げる翔太。
亮平💚「いや、その……」
蓮🖤「……」
二人とも目を逸らした。
翔太は意味が分からないまま二人を見比べる。
ラウールは小さく息を吐くと、その長身を翔太へ向け前まで歩み寄ると、大きな手をぽん、と頭へ乗せた。
ラウ🤍「よく頑張りました」
翔太💙「……え?」
ラウ🤍「今回はあなたに非はありません。責任を持って患者さんを看護できましたね」
優しく髪を撫でられ、翔太は目を丸くする。
翔太💙「……あっ、はい////」
ラウ🤍「着替えて来なさい」
翔太💙「はい!」
嬉しそうに返事をした翔太は、くるりと二人を振り返る。
翔太💙「二人とも、無断欠勤はダメだぞ!」
そう言って、にぱっと笑う。
蓮 🖤「……ッ……」
亮平💚「はぁ……最悪」
ラウールに褒められた途端、真っ白な尻尾は隠そうともせず左右にぶんぶんと揺れ始める。
上機嫌のまま廊下を駆け抜けると、軽やかな足音だけを残して更衣室へ消えていった。
その姿が見えなくなったのを確認してから、ラウールはゆっくりと振り返った。
ラウ🤍「……さて」
病棟の空気が、一段冷えた。
ラウールに促されるように別室へと消えていく二人。
普段は誰よりも堂々と病棟を歩く長身の男たちが、その時ばかりは不思議なくらい小さく見えた。
その背中からは、教授候補としての威厳は消え失せ、ただ叱られるのを待つ二人の青年にしか見えなかった。
コメント
7件
💙は白いわんこ🐶なのねいつもいつも

ああ~もう、今回も最高だったわ!朝から佐久間にイチャイチャ攻撃されてる翔太が可愛すぎるし、あの「人工呼吸」の天然ボケには笑ったわw そして亮平と蓮が尾行しててラウール師長に怒られてる構図、完全に保護者と子どもじゃん!ラウールに褒められて尻尾ブンブンしてる翔太、脳内再生余裕だから!次回も楽しみにしてる🔥