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今日は2月14日。
バレンタインだ。
いつも友達から友チョコを貰うんだけど、
みんな渡し方が個性的で面白い。
早速学校に着くと教室前で呼び止められる。
「おい優──」
「砂糖!!」
声からして誰だか予想が着くのが面白い。
それに今日も “ 失敗 ” したみたいだ。
「なに?希々ちゃん」
「『希々ちゃん』って呼ぶな!!」
顔を真っ赤にしてそう声を上げる。
「それより僕に何の用?」
「分かってるくせに…」
そう言いながらおずおずと箱のようなものを押し付けてくる。
下手くそなラッピングで、
だけどなんだか可愛いと思ってしまう。
「勘違しないでよ?!義理だから!!」
強い口調で言うが顔がずっと真っ赤になっている。
ゆでダコのように。
そんな希々ちゃんを無視して箱を開ける。
と、歪な形のチョコレートが姿を現す。
「これ、手作り?」
毎年のように僕はそう言う。
「ち、違うし!!買ったんだし…」
希々ちゃんも毎年同じことを言う。
「美味しいね」
口に運ぶとチョコの味わいが口に広がる。
まぁ、多分普通のチョコを溶かして再度型に入れたのだろうけど。
だけど頑張って作ってくれた感が滲み出てる。
「愛情いっぱいで美味しいよ。ありがとう」
そう僕が言うと
「愛情なんて入れてないし!!」
と言って耳を真っ赤にし、
どこかへと走り去ってしまった。
義理チョコなのに “ 友達の ” 愛情入れてないのかな…?
そう不思議に思っていると後ろから誰かに服を引っ張られる。
振り返ると居たのは無無くん。
通称無口くん。
「…」
相変わらず何も言わない。
が僕にお店で買ったであろうラッピングの施されたチョコを渡してくる。
というか押し付けている。
とても強い力で。
角が当たって少し痛い。
「ありがと」
「…ぅん」
たまに聞こえる無無くんの高い声。
だけど蚊のように小さな声。
同じ男の子なのにこんなにも声の高さが違う。
それがまた良い。
「家に帰ったら食べるね?」
そう僕が言うと小さく頷く無無くん。
小動物みたいで可愛らしい。
強いて言うならハリネズミとか…
「Hi Yuta!」
急に耳元で大きな声が聞こえ、
ビクリと体を震わす。
本当にいつどこから現れるか分からない人。
「おはよう英杉くん」
「Call me “ Eisugi ” instead of “ kon ” , baby」
英杉くんは時折何を言っているのか分からない。
その理由は英語が好きすぎて会話が英語だからだ。
でも必ず近くに雫ちゃんがいるから安心。
「おはよ雫ちゃん」
「おはようございます優汰さん」
雫ちゃんは誰にでも敬語でクールだから何だかロボットのようにも見える。
「By the way, Yuta, can you accept this?」
そんなことを言いながら英杉くんは男性が女性にプロポーズする際のように跪き、
箱を渡してくる。
ここまでは雫ちゃんの通訳無しで行動とかでも分かるが急にスイッチが入り出すと少々厄介だ。
雫ちゃんは僕とかが分かっていなさそうな時に通訳してくれるから本当に便利。
『ありがと…』と言いながら受け取ると
「Thank you for accepting!!!!」
と喜ぶ。
「あはは…」
引き気味に笑いを零し、
その場から離れようとすると
「私からもこれあげます」
と雫ちゃんが箱を渡してきた。
「ありがと」
「2人のチョコ、家で食べて明日感想言うね〜!!」
そう言って2人と別れる。
「It’s a pity that Yuta is too kind to everyone…」
「甘々の間違いでしょ」
「That’s what I say!」