私達は、あの日の事を決して忘れる事は無いと思います。その日はいつも通りの日常だったはずなのに……
それは突然やってきたのです。
私達家族には、親父、母さん、妹がいた。そして、私は兄貴の代わりに家業を継ぐために、必死になって勉強していた。
そんなある日の事だ。私達が住んでいる地域に隕石が落ちてきたのだ。幸いにも死者はいなかったが、多くの家屋が崩壊してしまった。当然のように復興作業が始まり、私達の家もその手伝いをしていた時の出来事だった。
「おーい!お前らちょっと来てくれ!」
瓦礫撤去をしている時に、そう呼ばれて声の方へ向かうとそこには信じられないものがあった。
「おいこれ見ろよ……」
「うわぁ〜マジかよ」
「これは夢じゃないよね?」
そこにあったものは巨大な穴であった。しかも底が見えず真っ暗だった。深さは不明だが、少なくとも数十メートルはあるように思われた。
その穴の中には無数の人間が倒れていた。
死体だ。それも明らかに日本人ではない外国人の死体ばかりだ。
私はしばらく呆然と立ち尽くしていたが、やがて我に返った。
一体何が起きたのだ? ここはどこなのだ? 私は混乱したまま辺りを見回したが、やはり暗闇が広がるばかりで何も見えなかった。しかし次の瞬間、視界の端の方にほんの小さな光が生まれたような気がしてそちらを見た。
そこには一人の女がいた。いや正確には人ではなかった。女の上半身だけが宙に浮かんでいたからだ。まるで幽霊のように。
彼女はこちらに向かって話しかけてきた。英語だったので内容は理解できた。
「あなたは誰?」
「……」
私は答えられなかった。自分の名前すら思い出せなかったからだ。
「記憶喪失なのね」
そう言うと女は自分の胸元に手を入れた。そこから何かを取り出して見せた。それは金色に輝くコインのようなものだったが、よく見ると表面に奇妙な絵が描かれていた。
「これに見覚えはない?」
私は首を横に振った。そもそも日本語以外の言語をほとんど知らないのだから当然かもしれない。
「やっぱりそうなんだ」
落胆とも安堵とも取れる複雑な表情を浮かべていたのが印象的でした。
実験記録003-01
方法:インタビューおよび心理テスト
結果:
「そうですね……やはり自分が好きなことをして生きている時でしょうか」
「好きなこと?」
「はい。僕には夢があるんです」
D-11333214は、自分の夢を語った。それは「世界中の人に音楽を届けたい」というものだった。
「音楽ですか。素晴らしいと思いますね」
「ありがとうございます」
「しかし、それだけでは少し漠然とし過ぎているような気がします。具体的な目標はお持ちなのですか?」
「えぇ。僕は音楽家になりたいと思っているのですが、まだ実力不足なのはわかっている
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