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「うわぁぁぁぁ……マジで走るの!?」
萌香の悲鳴が体育館の外に響き渡った。合宿2日目の朝、先生の軽〜いノリで始まった朝のランニング。
「当然でしょ? 合宿っていうのは、『文武両道』がモットーだからね!」
「どこが文だよ!!」
いさなが真顔で突っ込むが、先生は爽やかな笑顔でスルー。
「さぁさぁ、グラウンド5周からスタートだよ〜♪」
「5周!?」
みりんの顔が絶望に染まる。
「……私、普段はインテリ派なんですけど……」
「知ってる。でも運動もしないとねー。」
先生の無駄にキラキラした笑顔を見て、3人は覚悟を決めた。
「はぁ……やるしかないか……」
萌香は髪を束ね、ストレッチを始めた。横ではいさなが渋い顔をしながら、みりんは妙にやる気を見せている。
「よーし、行くぞっ!」
—— スタート!
走り出した瞬間、みりんが軽快なリズムで先頭を切った。
「みりん、速っ!?」
「ふふふ、サッカーで鍛えてるからね! これくらい朝飯前さ!」
対照的に、いさなは1周目から息が切れていた。
「……もう無理……帰る……」
「まだ1周目ぇ!!」
萌香は自分のペースを守りつつ、隣を走る先生に恨めしそうな視線を送る。
「先生、なんで一緒に走ってるんですか……?」
「え? 応援だよ、応援!」
「余裕すぎる……」
五条先生は腕を組みながら、軽々と彼女たちと並走していた。
——そして、地獄の5周が終わる頃。
「つ……つかれた……」
グラウンドに倒れ込むいさなと萌香。みりんだけが、軽く汗を拭いながら立っている。
「はぁー、気持ちよかった!」
「……お前、バケモンか……?」
萌香は恨めしげにみりんを見つめた。
「さて、次は朝ごはんだね〜!」
「よっしゃああ!」
いさなはすかさず立ち上がり、すべての疲れを忘れて食堂へとダッシュした。
「……やっぱ体力あるんじゃん。」
萌香とみりんは苦笑しながら、遅れて歩き出すのだった。