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「いただきまーす!」
元気よく箸を手に取った萌香だったが、目の前の「それ」を見て固まった。
「……え?」
テーブルの上には、白い器に山盛りになった奇妙な物体。
「ちょ、ちょっと待って! これ、なに!?」
いさなが動揺しながら、震える手で器を指差した。透明なゼリーのような液体に包まれた……小さな脳みその形をした物体。
「こ、これは……カエルの脳みそ!?」
萌香の叫び声が食堂に響き渡る。
「えぇぇぇっ!? いやいや、そんなわけ……」
みりんが慌ててスプーンですくい上げ、まじまじと観察した。ぷるぷると震えるそれを見つめ、眉をひそめる。
「……うん、見た目は完全にアウトだね。」
「なんでこんなものが朝食に出てくるのよ!? 先生、どういうこと!?」
いさなが先生を睨みつけると、先生は楽しそうに微笑んだ。
「んー? あぁ、それはね、『異文化体験』ってやつさ!」
「異文化体験!? いや、どこの文化だよこれ!」
萌香は涙目になりながら、スプーンを持つ手が震えていた。
「おいしいよ? ほら、勇気出して一口!」
先生は無邪気に一つを口へ放り込み、サクッと噛んだ。
「……うん、意外とプリプリしてるね。」
「無理無理無理無理!!!!」
萌香は全力で首を振った。
「ふふふ……私、こういうの嫌いじゃないよ。」
みりんが余裕の表情で、スプーンをくるくると回しながら不敵に笑う。
「……お、お前……まさか……」
「いただきまーす!」
みりんは迷いなく一口食べた。
「……」
沈黙。固唾を飲む萌香といさな。
「……うん、悪くない! プリンみたいな食感で、意外と味は薄い!」
「ガチか!? いや無理無理無理!!」
萌香は泣きそうになりながら、逃げるようにご飯に手を伸ばした。
「ふ、普通のご飯ください……」
そんな中、いさなは顔を青くしながら、震える声で呟いた。
「……これ、もしかして……夢、じゃないよね……?」
「現実だよ。」
先生の満面の笑みに、3人の胃袋は絶望を感じるのだった。