テラーノベル
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古い廃墟の中を、音を立てないように進んでいく。
「ここ、に来るんだよな…?」
ここは、俺が見つけた丁度良い廃墟で、山奥だから警察も来れない。
だから、俺はよく、薬物の受け渡し場所をここにしていた。
「 …もう、居るんだろ。どこに居るのかは知らんが、早く出て来いよ。」
俺が周りを見渡して言うと、柱の影に、人が居るのが見えた。
「ここ、サツも来ねぇし、ビビんなくていいぜ。」
「ありがとう。優しいんだね。」
そうやって俺に感謝しながら出てきた影は、フードを被っていて、顔がはっきりしなかった。
だが、声からして男だろう。そう思った。
「じゃ、早くくれよ。ずっと前から君を待ってたんだ。」
「そう急かすなって。まず先に金だ。」
「分かったよ…はい、これ。」
そう言って渡された札を、俺は確認せずにポケットに突っ込んだ。
「あぁ、確認しないで良かったのかい?」
「別に、俺みたいな奴に嘘なんてつく奴いねぇだろ。」
「うーん、でも僕みたいに薬物を取りにくるような奴が絶対に嘘をつかない訳がなくない?」
確かに、薬物を使おうとしている奴を信用したら駄目か。
なんて、いかにも怪しいフード男に論破され、それを素直に受け取ってしまった自分に、
無性に苛々した。
「うるせぇ。さっさと受け取れよ。」
俺が、反対側のポケットから麻薬を出した途端に、
そいつは高らかに、そして馬鹿にするように笑った。
「あははっ!やっと出たね、それ。」
その瞬間、気付いた俺は、自分で自分を殴りたくなった。
「騙しやがったなっ…!
お前、サツだったのか!」
俺が叫ぶように言うと、男は笑いを堪えながら俺を見て言った。
「だから言ったじゃん。
僕みたいな奴を簡単に信じちゃ駄目って。」
「クソッ!」
こうなればもう、逃げるしかない。
俺は、周りに男しかいないのを願って、廃墟から出た。
すると–
「公衆電話で通報した者が言っていた、薬物を所持していると思われる容疑者を発見、
すぐに確保へ向かいます」
何でだ。何で外にも奴らがいるんだ?
「…お前か…っ!」
警察に確保される寸前、廃墟の方を向くと、男がこちらを見て、叫び続ける俺を
真顔で見つめていた。
…いや、そう見えた、の方が正しいのだろうか。
だって、男は–
–可笑しな仮面を付けていたのだから。
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月乃 星夏
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コメント
3件
前作から見ててめっちゃ好きです! 応援してます!
うわ、これ1話でしっかり引き込まれたわ…! 主人公が薬物の受け渡しをしてたっていうダーティな設定と、まさか自分から「信用すんな」って忠告してくるフード男の不気味さがたまらん。最後の仮面で一気にホラー要素がプラスされて、この後どうなるのかめちゃくちゃ気になる。短いのに印象に残るエピソードだった🔥