前回の続きです。
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Sm side
意識が浮上した時にはもう夜中だった、何処と無く外の空気を吸いたくなったから近くにあるドアから中庭へ出た。
真っ暗で風の音しか聞こえない、今の気分を鏡写しにしたような空模様だった。
小さい頃病弱だった俺はよく深夜に病室を抜け出して今みたいにずっと何も見えない空を満足するまで眺めてた記憶がある。
今では皆から笑わないやつって言われるけど明らかに口数は増えたし、笑うようになった。
此処は明らかな絆があるから俺は信用してる。
今思うと家族を心からの絆があったかは分からない、近付かなきゃ見えない絆なんて有って無いようなものなんだ。
小さい頃から俺は医者にお世話になっていた、医者からは魔力が微塵も感じない、と言われ、その時はあまり気にしていなかったが親が気にしていた、そらそうだ、身体を痛めて産んだ1人息子が魔力がない=魔法が使えないなんだから。
それからは英才教育の始まりだ。
俺は英才教育で使えるような才能も特技も無いのに。
見当違いな人間を教育してどうするんだろう、お金と時間の無駄なんじゃないか、と小さい頃に考えていた、今ながら思うが可愛くない子供。
見当違いのやつが間違えをひとつでも産めば母親から平手打ち、この世全てが嫌になっていた。
そんな中でもおばあちゃんだけは優しかった、紫の目で何か言われようが、紫は凄くいい色なんだよ、と励ましてくれた、そんな天使みたいな人もアメジストのネックレスを残して死んだんだけどな。
俺は親族の死因を覚えていない、確かに目の前で死んだのは確かなんだが両親の悲鳴が聞こえてその場所へ行ってから血溜まりで突っ立っていることしか覚えていない。
明らかに記憶が混濁している。
それでも英才教育が始まる前までは幸せな家族だったと思う、病弱な俺を心配してご飯を栄養あるものに変えて、過度な運動はダメだから一緒にハイキングして、絆は無かったが愛は多少なりともあったようだ、1回くらい俺の話を聞いて欲しかったけどな、俺の感情なんて相手にしてくれなかった、もっともっともっと子供らしいことがしたかった、誰かに甘えてよしよししてもらって、おばあちゃんじゃなくて肉親からして欲しかった。
けど、マモンがいるならその寂しさも心無しか埋まる、きっと今マモンが何だかの原因で居なくなるとなったら間違いなく俺は壊れるだろう。
俺の幸せな家族は自分が覚えていない世界へ消え失せた幸せとなった。
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