テラーノベル
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「せっかく、大きな街に来たわけだし―――」
「武器屋も見たいな―――」
進はそう云った。
異世界といえば戦闘、戦闘といえば武器。
勿論、この世界にも武器屋は存在する。
現実世界だと銃が主流だが、こっちの世界は鉄と魔力―――
つまり、剣や魔法が主流なのだろう。
全く・・・楽しみだ―――
内心、進は楽しみにしていた。
クラスチェンジを無事に終えた二人は次に装備品を買いに行くことにした。
「マリーはどんな武器にするか希望はある?」
「うーんそうですね―――」
「クラスがウィッチなんで杖系の武器かなって思ってます。」
「杖か―――」
「それじゃあ、いい杖を探そうか。」
「ススムさんはどんな武器にするつもりですか?」
「どんな武器でも使いこなしそうですけど―――」
「やっぱり剣かな―――」
「オレは昔から使い慣れてるからな―――」
ギルドを出る前に受付のお姉さんに教えてもらった武器屋に到着した。
カランカランと店に入ると、ドアのベルが店内に鳴り響いた。
「へい!いらっしゃい!」
元気な挨拶で店のおっちゃんに出迎えられた。
「お客さん見ない顔だね。」
「この街に来たのは最近かい?」
「ああ、今日この街に着いたところなんだ。」
「そうかい―――」
「ここに立ち寄ったってことは武器や防具を求めてきたってことだよな。」
「ああ、もちろんそのつもりで来た。」
「ここにいるマリーのために杖と、オレのために武器を見繕って欲しんだが。」
「予算としては金貨40枚までで考えている。」
「予算金貨40枚か―――」
「その金額だと魔導士の杖なんかどうだ?」
「見たところそこのお嬢ちゃんは初心者冒険者だろ?」
「魔導士の杖は、魔法職ならみんな最初に使うオーソドックスな武器だぞ。」
武器屋の店員が言うので、一応鑑定してみた。
《魔導士の杖》
魔法職専用の武器
自身の魔力を+10増幅する力がある。
説明を見た進は、確かに最初の武器としては悪くないと考えていた。
「こいつは金貨何枚なんだ。」
「こいつは、金貨10枚でいいぞ。」
金貨10枚なら悪くないか。
「マリーはどうだ?この杖でいいか。」
「私は大丈夫ですよ。」
「それにお金を出すのススムさんですし、我儘は言えませんよ。」
うん、まぁそうだよね。
ちょっとは遠慮するよね。
「お金出すのはオレだけど、オレたちはもう仲間なんだから、オレのお金はオレたち二人のお金だぞ。」
「だからそんなに遠慮はしなくてもいいからね?」
仲間と言われて嬉しいのか、マリーの顔が若干赤くなっている。
「そうですよね。」
「私たちはもう仲間ですよね。」
「でもまだ冒険者になりたてで杖の価値とかよくわかっていませんし、今回はこの杖で大丈夫ですよ。」
ということで魔導士の杖を購入することに決めた。
「まいどあり!であんちゃんはどの武器にするんだ。」
「進でいいぞ。」
「う~んとりあえず店内の武器を見せてもらおうか。」
「おう!じゃあススム!オレのことはフェールでいいぞ!武器は好きなだけ見て行っていいぞ。」
「ありがとう。フェールさん」
気のいい店主でよかった。
武器屋の店主の好意で武器を見せてもらえることになった。全ての武器を鑑定で性能を確かめていった。
30分ほど武器を確かめたオレは、どれにするか悩んでいた。
「あんまり気に入るのはない感じか。」
フェールさんは気を使ってくれているのか、オレに問いかけてきた。
「う~ん、なんかこれっているのがないな―――」
飾られていた武器を一通り見て、判断してそう言った。
もう少し見て回ることにした進は、セール品であろうか雑に束ねられた武器の中で異様な気配を感じた。
ん?なんだこの武器は?
進が手に取ったのは剣の柄のところに宝石が埋め込まれている武器であった。
「お、そいつに興味があるのか。」
「そいつは魔力が込められている剣なのだが、神聖な魔力がないと通常の武器より弱いぞ。」
「神聖な魔力?」
「ああ、白魔法の使えない者が使っても鈍らでしかないんで全く売れなくて、そんなところに置いている。」
「製作者もよく分からないし、オレの方も取り扱いに困ってたんだ。」
《神聖剣(セイクリッドブレード) [ユニーク武器]》
神聖騎士剣
白魔法を使用できるものにのみ、
この剣の力を全て開放することができる。
白魔法を使用できない者が使用することはできない。
そういえばこの世界で白魔法の使用者は珍しいってルイーズさんが言ってたな。
ってことは、ほぼオレのための武器じゃんか。
「フェールさん。これ頂いても構いませんか?」
「なんだ気に入ったのか。」
「実はオレ、白魔法使えるんですよ。」
「おいおいそれは本当か!?」
「じゃあお前さんにピッタリじゃないか!」
「値段は、金貨5枚でいいぞ!まったく売れなくて困っていたのは事実だし。」
「本当ですか!?ならその金額で大丈夫です。」
そう言ってフェールさんに金貨5枚を手渡した。
「そういえば製作者が分からないってどうやって手に入れたんですか?」
「ああ、それはとある冒険者がある遺跡から発掘したものなんだが―――」
「持ってきたときはこんなキレイな武器で強力なものだと思い、その後白魔法を使える者でないと全く使いものにならないと判明した次第よ。」
「今日はありがとうございます。」
「おう!また今度気が向いたら来な!貴重な魔石とか鉱石を見つけたらウチに持って来な」
「格安のオーダーメイドで武具を作ってやるよ!」
「オーダーメイドとかやってるんですか!分かりました。」
「貴重な魔石とか鉱石を見つけたら持ってきます。」
進はいい買い物をしたと思い、マリーと一緒に武器屋を後にした。
武器屋を出たら既に日が暮れていたので、宿屋を探して今日はもうゆったりすることにした。
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