テラーノベル
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晴明視点。
夜の森は、静かだった。
風もないのに、葉が擦れる音だけがやけに耳に残る。
「……ほんまに、ここなん?」
凛太郎くんが少しだけ眉を寄せる。
いつもより声が低い。
周りを警戒してるのがよく分かる。
「えぇ。最近の目撃は、この辺りです」
学園長はいつも通り淡々としている。
ただ探ってるだけ。そんな感じ。
飯綱くんは、森の木の枝や葉をばさばさ切りながら、進みやすいように道を開けてくれている。
恵比寿先生は、頭の後ろで手を組みながら進んでいる。多分信じていない。
その後ろでたまたま遭遇した隊長さんが言う。
「ねぇ、なんで僕までやらされてんの?」
「あんたが盗んだお金代です」
「借金として」
「これ借金返済なんだ、トホホ…」
僕も、みんなの後ろを着いて歩く。
最近。
ここらで噂になっている。
覚 (さとり)という妖怪が居るということが。
覚は、人の心を読むことができる。
生徒が、続々と覚と出会い、恐怖に脅えていると。
無理もない。
自分の秘密が筒抜けになるのだ。
嫌だろう。
でも、今ここには何も居ない。
特別気配も感じない。
そのまま、しばらく歩いたあと。
「……一旦戻りましょうか」
学園長の一言で、探索は終わった。
結局、何も見つからなかった。
夜風が気持ちいい。
さっきまでの緊張が嘘みたいにほどけていく。
誰も特に何も話さない。
ただ星を眺めるだけの、静かな時間。
「……そろそろ帰りましょうか」
「協力、感謝しますよ」
みんなが腰を上げた。
その時、
「みんな、疲れたんだ。」
声がした。
近い。横。
学園長のすぐ隣。
柵の上に立っていた。
誰も居なかったはずの位置に、そいつは立っていた。
「………へぇ、僕を探してたんだ」
『………!?』
みんな後ろへ距離を取る。
ほとんど反射だった。
「逃げないでよぉ。」
「君達が探してた相手はここに居るじゃないか」
探してた相手……
もしかして、
『……覚?』
「そうだよ。僕が覚」
コメント
2件
めっちゃ面白かったです!覚って言う妖怪調べたら居るんですね!知りませんでした!ここからどう朱雀(蘭丸)が絡まってくるのか楽しみです!続きを楽しみにしております!