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店の電気はほとんど消えている。
奥の小さなライトだけ。
ソファ。
エリオットが横になっている。
金髪の天然パーマがクッションに広がっている。
チャンスはカウンター席。
コインを指で回している。
くる…くる…
静かな夜。
その時。
外。
車の音。
キキッ
チャンスの指が止まる。
もう一台。
キッ
そして。
三台目。
チャンスがゆっくり立つ。
窓から外を見る。
黒い車。
数人の男。
銃。
チャンスが小さく言う。
「……最悪」
ソファの方。
エリオットが目を開ける。
「ん?」
眠そう。
チャンスが言う。
「囲まれた」
エリオット。
「誰に」
チャンス。
「マフィア」
エリオットはゆっくり起き上がる。
伸びをする。
「ふーん」
チャンスが振り向く。
「ふーんじゃない」
エリオットはまだ眠そう。
「チャンス」
「何」
「ピザ食べる?」
チャンス。
「今じゃない」
エリオットが笑う。
「残ってる」
チャンスは窓を見る。
男が店を囲んでいる。
完全に逃げ道なし。
チャンスが言う。
「裏口から出る」
エリオットが近づく。
そして。
ネクタイ。
ぐい
チャンスが引き寄せられる。
「……」
チャンスが言う。
「今それ?」
エリオットはにこにこ。
「落ち着く」
チャンスはため息。
「聞け」
エリオット。
「うん」
チャンスが言う。
「俺が外出る」
エリオット。
「なんで」
チャンス。
「俺狙い」
エリオットは窓を見る。
それから言う。
「多いね」
チャンス。
「だから」
エリオットが首を傾げる。
「帰るなって言った」
チャンスが言う。
「巻き込むって言った」
少し沈黙。
エリオットはネクタイを持ったまま。
それから静かに言う。
「チャンス」
「ん」
エリオットの声。
少し変わる。
「ここ」
店を見る。
「俺の店」
チャンス。
「知ってる」
エリオット。
「壊されるの」
少し笑う。
「嫌」
チャンス。
「……」
エリオットが言う。
「だから」
ネクタイ。
ぐい
チャンスが近づく。
エリオットの目。
にこにこしてない。
少し冷たい。
「出ない」
チャンスが言う。
「お前」
エリオット。
「ピザ屋」
チャンス。
「銃持ってない」
エリオットはカウンターの下に手を入れる。
カチャ
銃。
チャンス。
沈黙。
「……」
エリオットがにこっと笑う。
「あるよ」
外。
ドアの前。
男の声。
「チャンス!」
「出てこい!」
エリオットはチャンスを見る。
それから言う。
「賭ける?」
チャンスが笑う。
「今?」
エリオット。
コインを指で弾く。
カラン
チャンスのコイン。
「表」
「?」
「追い返す」
チャンス。
「裏は」
エリオット。
にこっと。
「ピザ焼く」
チャンスは吹き出す。
「お前ほんと」
外でドアが叩かれる。
ドン!!
エリオット。
コインをキャッチ。
手を開く。
表。
エリオットは楽しそうだった。
「よし」
チャンスが笑う。
「狂ってる」
エリオットはネクタイを引く。
ぐい
「行こう」