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次の日。
「おはよう!」
俺は、朝裕介の家へ行った。
「おはよう!」
準備が整い、玄関に来た裕介はイヤホンをしていた。
「何か聴いてるのか?」
「ううん
何も聴いてない
昨日、言っただろ?
良い事思い付いたって
これ付けてたら、大分楽だと思うんだ」
質問した俺に、裕介は説明した。
「なるほどなー」
そして、俺達は学校へ出発した。
「風が気持ち良いな」
歩いてる途中、裕介が言った。
「そうだな
なぁ、それ付けてて授業とか聞き取れるのか?」
「あぁ
周りの音を聞き取れる特別なシステムのやつだから」
「それは、良かった!」
学校へ到着。
教室へ入ると・・・
「おはよう!」×4
希達が、元気に挨拶してくれた。
「おはよう!」×2
裕介が自分の席に着くと、1人の男子生徒が
「何付けてるんだ?
こん何、学校に持って来ちゃ駄目だろ!」
と大声で叫んで裕介の耳からイヤホンを取り上げた。
「う・・・
学校に許可はとってる・・・
返して!」
耳元で大きな声を出された裕介は、顔を歪めて
イヤホンを取り返そうとした。
しかし
「嫌だね!
お前だけズルい!」
と返してくれない。
またもやその大きな声に、裕介はうずくまってしまった。
「何だよ!
とってつけたみたいに被害者ぶりあがって!」
男子生徒は、更に裕介を追い詰めた。
「・・・・・・」
「裕介
お前、ちょっと教室出てろ」
とじゅりあが言った。
「あぁ・・・」
「ゆっくりで良いからね」
裕介は、音羽に連れられて教室の外へ出て行った。
「あのな!
あいつが返してって言ったのなら、素直に返せ!
お前だけズルいとか、とってつけたみたいに被害者ぶりあがってとかあいつが気づ付くって分からないか?
て言うか、裕介は被害者だし!
確かに、裕介が大声を出されたり周りが騒がしかったりするとああいう感じになるって言うのを皆に伝えてなかったのはミスだと思う
でもな!
だからって、あんな風にしたら駄目だ!
良いか?
2度と裕介の耳元で大きい声出すな!
それと、何か特別な事してても口出すな!」
とじゅりあは、男子生徒に向かって怒った。
「そうだよ!」
夢香も、一緒になって言った。
「ちぇ!」
これは、俺の知らない世界だ。
俺の地元では、絶対にこんな事する生徒はいなかった。
晴翔・弘樹・剣聖は勿論の事、他の生徒もだ。
まぁ、人数にも大きな差があるけどな。
廊下では・・・
「裕介
大丈夫?」
と音羽が、裕介を心配していた。
「あぁ・・・
ありがとうな・・・
クラスの誰かから反感をかう事は、分かってた・・・」
裕介は、背中をさすってくれている音羽にお礼を言った。
すると、前から笠原先生が歩いて来た。
「どうしたんだ?
こんなところで
誰か待ってるのか?」
と先生は、優しく聞いてくれた。
「ちょっと、トラブルがあって
高橋さんが大きな声出すからって、松田さんと外で待ってるんです」
音羽が説明した。
すると、先生は驚いて
「何があったんだ!」
と身を乗り出した。
「俺がイヤホン付けて教室入ったら、何付けてるんだ?
こん何学校に持って来ちゃ駄目だろ!
って怒鳴られて
許可はとってるって言ったんですけど・・・
ズルいって・・・
今、高橋さんが説教してくれてます」
と裕介も説明した。
「そうか・・・
災難だったな・・・
やっぱり、皆に伝えとくべきだったな・・・」
「でも、分かってました
絶対何か言われるって」
少しして
「もう入っても良いぞ!」
じゅりあが、裕介達を呼んだ。
ガラガラガラ。
先生を含めた3人が教室へ入ると、皆静かに席に座っていた。
すると、裕介が
「丸で、嵐が去った後みたいだ
こんなに静かにならなくても良いんだ
ただ、耳元で大声出すのは辞めて欲しいだけ」
と少し笑った。
「こいつ黙らせるのに、苦労したぜ
他の人達も思ってたらしく、グチ聞くの苦労した」
「ごめんな・・・
じゅりあ・・・
俺がいる事で、迷惑だよな・・・
ありがとな・・・」
と裕介は、申し訳なさそうに言った。
「迷惑じゃない
俺も、気を付けるから・・・
大丈夫・・・
大丈夫だから・・・」
「うん・・・」
そして
「おはよう
今先生も色々聞いたが、よろしく頼むな!
じゃあ、1時間目の準備をしろ!
初回授業、頑張れよ!」
と笠原先生が言って、朝礼が終了した。
1時間目は、現代文。
国語から、現代文へ!
難易度がレベルアップしそうだ!
俺は理数系が得意だから、文系の現代文は自信がない・・・
隣を見ると、希はワクワクしている様子だ。
「なぁ、希はもしかして文系?
国語得意だった?」
と俺は、希に聞いてみた。
すると
「あははは!
そう見える?
得意と言うか好きなだけ
小学6年生の時、テストで100点とったよ!
好きって言う気持ちは、凄いね!
まぁ、先生がタイプだったって言うのもあるけどね」
と少し自慢げに言った。
「スッゲー!
100点!
俺には想像出来ない〜」
腰が抜けそうになった。
「爽は、理数系なの?」
「あぁ
筆者の心情・登場人物の心情とか考えるのマジで苦手
そん何知らねーよー!って、突っ込みたい
さすがに、算数のテストで100点はとった事ない
最高が95点
算数から数学に変わるから、楽しみだ!」
「それが楽しいのに〜
そっか
100点とれると良いね!
私、逆に算数は全然
何が何だかさっぱり
公式とか覚えれない
頭の中、ごちゃごちゃ!
あん何、覚えれる人天才じゃん!
これから先が思いやられる・・・」
と希は、悲鳴を上げた。
「公式は、ずっと口にしてたら自然に覚えたぜ
ノートに、例えば面積・体積・角度・円とかって分けて公式を色分けして書いてたなー
小学校で習う公式は、全部で35種類
頑張ろう!
俺、教えるから
現文、教えて
お互い、ないものねだりだな」
「そうだね!
宜しく!」
ガラガラガラ。
先生が入って来た。
「では、始めましょうか」
初現代文、スタート!
「初めまして、幸村楓です
今日は初回の授業ですから、私の授業の進め方・教科書の最初の物語(光)を少し読みましょう」
え〜
いきなり、物語読むのかよ〜
隣を見ると、希は目を輝かせていた。
さすが!
「私の授業は、基本的に教科書・問題集・ノートを使って行います
進むスピードが早かったりしたら、遠慮なく言って下さい
授業の際、出来れば3色のペンを用意して頂けるとありがたいです
教科書に線を引く時、色分けした方が見やすいと思います
テストは、問題集の練習問題からしか出さないので安心して下さい
まる覚えすれば、100点とれます
ただ、少しだけ私のオリジナル問題が入る時があります
それから、授業中の居眠り禁止です!
皆さん、今日から1年間楽しく授業して行きましょう!」
お!
問題集まる覚えすれば100点!
これは、期待出来るかも!
そして
「では、教科書に入りたいと思います
15ページを開いて下さい」
皆は、15ページを開いた。
光かー。
綺麗なタイトル!
「『あの光の中に私はいる
あなたが私を求めて、光を見つめている
あなたは、私を太陽みたいだと言っていた
決して届かない存在だと
そんな事なかったよ
私こそ、あなたの背中をいつも追いかけてたよ
追い着きたくて追い着きたくて必死だった
あなたは、君がいなくなったらどうやって生きて行けば良い?
って私が旅立つ時言ったよね?
私何ていなくても、大丈夫だよ
ね?
笑って
あなたは、私の名前を呼んだ
真琴
私の事をいつも琴って呼んでたね
その呼び方、好きだったよ
一緒に色々な事したよね
楽しかった
ありがとう
姿は見えなくても、あなたがピンチの時は必ず助けてあげる!
あなたが私を忘れない限り、私は死なないから』
まず、此処まで」
おー・・・
凄ーい・・・
「この次の段落は、主人公の男の子が中心の話になって来ます
では、少し板書します」
幸村先生が、黒板に黙々と何かを書いていく。
それを皆は、写した。
来た・・・
登場人物の心情を読み取れ・・・
これって、きっとテキストにも載ってるよな…
隣を見ると、希はペンを止まらせる事なく走らせていた。
スゲー・・・
「お前、良くそんなに書けるな
感心するよ
その才能、少しは俺に分けてくれよ〜」
「あははは!
羨ましそう!
頑張れ!」
「うん・・・」
俺も頑張って考えて書いた。
キーンコーンカーンコーン。
チャイムが鳴った。
あー!
やっと終わったー!
次は、数学だー!
数学は、希が苦痛の教科だな。
10分休み明け。
希は、人が変わった様にテンションが下がり不満げな表情になった。
「おい
そんな顔するなって
教えてやるから」
「本当に嫌だ!」
そして、数学がスタート!
数学の先生は、背が高い男の先生だった。
「平塚大輔だ!
これから1年間宜しく!」
現国同様に、数学も授業の進め方の説明から。
そして、教科書を開き早速最初の単眼に入った。
教科書を開くなり、さすがの俺も目が眩みそうになった。
訳の分からない事が沢山書いてある。
希はと言うと・・・
開くなり、すぐ閉じた。
「無理!無理!無理!無理!無理!」
呪文の様に、何度も無理!を繰り返していた。
「のんのん
落ち付きなよ
大丈夫!」
希の斜め後ろの席の音羽が、希に言った。
「そうだ!
一緒に覚えていこう!」
俺も、希を元気付けた。
「うん・・・」
「中学で最初に習うのは、正負の数の加法と減法だ!」
平塚先生が、元気良く言った。
何何?
面白そう!
説明が始まった。
ほー。
なるほどね!
小学校からの続きみたいな感じかー。
「じゃあ、練習問題してみろ!」
皆が、一斉にペンを走らせる。
俺もペンを走らせた。
希はと言うと・・・
「うーん・・・」
分からん!」
と頭をかき、イラ付いていた。
俺が5問ある内の3問目を解いている時、
希はまだ1問も解けていなかった。
俺は急いで残りの2問を解いてしまうと
「のーぞみ!
ほら!
分からない!って決め付けないで、1つづつ
段階を踏んで考えてみよう
まずは、此処を・・・」
と希に声をかけた。
「爽・・・
凄い・・・
もう全部解いちゃったの!
ありがとう」
「おう
正解してるかは分からないけどな」
感心する希に、俺は答えた。
希を答えに導く様に、教えていく。
「そしたら、此処はどうなる?」
「あー!
分かった!」
希は、目を輝かせて答えを書いた。
「正解!
良く出来たな!」
俺は、希とハイタッチを交わした。
「ありがとう〜
爽〜」
希は、俺に抱き付いた。
「良いってことよ!」
すると、音羽が
「のんのん!
爽、凄く教え方上手な家庭教師だね!」
と言った。
「うん!」
「じゃあ、残りの4問を今の原理で解いてみな」
「よーし!」
希は、気合を入れた。
再び沈黙が流れた。
カーンコーンカーン。
「今日は、此処まで!
明後日この問題からやるから、全部解いとけよ!」
終わっちゃったー。
楽しかったなー。
問題全部解き終わったから、やる事ねーよー。
あれから希は、自力で2問解けたみたいだ。
「のんのん!
お疲れ様!
良く50分頑張ったね!」
「そうだよ!
偉い偉い!」
そう俺・音羽が言った瞬間、希は俺の膝へ倒れて来た。
「希!
希!」
呼んでも、希は目を覚さない。
これに、皆は驚いた。
教室を出て行こうとした先生も足を止めて、希の机へ来た。
「おい!
どうした!」
平塚先生が希に寄り添うと・・・
スースースー。
寝息が聞こえた。
「も〜
驚かすなよ〜」
安心した。
希は、俺の膝の上ですやすやと寝ている。
「寝てしまっただけみないだな」
平塚先生も安心した。
「この調子じゃ次の時間までには起きないだろうな」
「そうですね」
皆は、希を見つめた。
すると、じゅりあが
「俺、保健室まで榎本さん運びますよ
疲れが出たんだろう」
と言った。
「あぁ・・・
頼む」
「はい」
じゅりあは、希を持ち上げた。
「俺も行く」
俺はそう言って、席を立った。
保健室でへ向かってる最中。
「ありがとな
じゅりあ」
「うん」
とじゅりあにお礼を言った。
ガラガラガラ。
保健室に到着。
希をベッドへ寝かせた。
「お前、元気なふりして本当は榎本家の看板を背負う者としてのプレッシャーが強いんじゃないのか?」
俺は、希を切なく見つめて言った。
希・・・
「そろそろ戻ろうか?
爽」
じゅりあが、俺に声をかけて来た。
「あぁ」
「高橋さん・降星さん、ありがとうね」
保健室の先生が、俺達にお礼を言った。
「はい!」
そして、俺達は教室へ戻った。
「希は!」
教室へ入るなり、裕介が聞いて来た。
「大丈夫
心配いらない」
「良かった〜」
希、あんまり無理するなよ。