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青紫
「桜の樹の下には死体が埋まってあるんだよ」
「……急にどうしたんですか、ななもりさん」
「いやぁ、じーっと桜みてるからさw」
悪戯っ子ぽく笑い、ジェルくんのとこへ走っていく。てかこれは悪戯なのか?
「ころーん!」
手をブンブンと振りながら、僕のこと呼ぶ。
あー、なんて愛らしいんだろ。
「今行きまーす!」
ある、有名な文豪は言った。
「桜の樹の下には屍体が埋まっている!」と。
桜の根が、屍体から腐った体液を吸い上げ、その姿が異様であるがゆえにこそ、かくも美しい花を咲かせるという。
紫陽花のような淡いのに少し濃い紫色の髪に、アメジストのようにキラキラと輝く綺麗に瞳。しっかりとしているのに、無邪気で少し抜けているところも。押しに弱くて、すぐに負けるところも。
僕には全てが羨ましく、ずっと焦がれ続けてる。
でもあの人の目に映るのは僕じゃない誰かだった。どれだけ愛しても伝わらず、ただただ僕を虚しくさせる。
あの、アメジストのような輝く優しい目を僕に向けて欲しい。その頬を赤く染め恥じらう表情を僕だけに見せて欲しい。その身体を頭の先から爪の先まで髪の毛の1本までもを僕のものにしたい。
こんなことを言っても困らせるだけだ。
虚しい、酷く冷たい風が胸に空いた穴を通るように僕の心は冷たく、冷えきっている。
「あぁ、そうだ、桜の樹を育てよう」
誰に向けるわけでもなく”それ”は僕の口から零れ落ちた。
「ころんが桜育てるとか珍しいね」
「そうですか?」
「そうだよ」
桜の樹を2人で眺めながら他愛のない話をする
「まさか、高校最後の年に桜の苗木植えるとか誰も考えないでしょw」
「えー、でも割と早く4年くらいでここまで育ちましたよ?」
もう4年、されど4年。長く、短い時間だった。
樹は5mまで伸び、今年育ててから初めて綺麗な花を咲かせた。思いの外成長が早く驚いたけど、まぁ植物の成長なんてそんなものだろ。
「今年初の桜なんですけどね」
「今年初なの?すごいじゃん、綺麗だね」
当たり前だ、だってここには死体が埋まっているんだから。あの日、ここに埋めた死体が。
「綺麗に見えます?」
「誰が何を言おうと俺には綺麗に見えるよ」
また、ななもりさんは僕の気持ちを掻き乱す。
でももう何も思わない。貴方の左手の薬指に付けられたそのダイヤの指輪。新しいスタートを切ろうとするこの春。僕の気持ちももうこれで終わりだ。
「ななもりさん、結婚おめでとうございます」
「なにぃ?改まってw」
「言いたくなっただけですよ…w」
ここに埋めた僕の恋心という屍体を貴方が美しいと言うならば、きっと今もこの気持ちは枯れず、この先も何年、何百年も綺麗な花を咲かせるのだろう。
淺星の作品一部参考 ↓↓
『 映 れ な か っ た 瞳 と 想 い 。 』の
「 可 愛 い あ の 子 が 好 き で す 。 」を 参 考
本人の方のもぜひ見に行ってください!!
フォロー中から見れます!!
コメント
13件
一瞬紫さんの死体を 桜の木の下に埋めたのかと思った 恋心...そういうことか、切ない終わり方好き
もう青さんの片想いが好きすぎます 発想が天才‼️👏🏻
もうほんとに青くんの叶わない片想い好きです😭(最低 ノベルだと背景が白くてより思うものありますよね〜…💭 表現がほんとに毎回綺麗で切なくて癖になります🥲🌸 そしてことさんと話さずストーリーは閲覧するという(🙄 課題終わらないんです(散 投稿ありがとうございます!!課題やってきます!🧎♀️