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[文也目線]

「ねーぇ氷雨。映画みよ」

食事が終わって使った食器を片付け終えた氷雨を呼ぶ

「いいけど何見んの?」

「いいからいいから」

あえてまだ答えず氷雨を隣に座らせる

氷雨が隣に座ったのを確認してリモコンを手に取る

諸々はすでにセット済みだからあとは流すだけだ

「再生!」

再生ボタンを押すと同時に薄暗い雑木林が写る。大きく響く雨音の中で微かに異音がする。画面の中の青年の目が振り返った先に何かを捕える。その何かが拡大されていく瞬間、バンッと映画のタイトルが表示された。

そこで再生が一時停止される

「っおい!ホラーじゃねぇかよ! 」

その瞬間隣の氷雨が声を出した

一時停止したのも氷雨だ

ちらりと目線をやると氷雨が僅かに青ざめた表情で俺を睨んでいる

そう。氷雨はホラーが大の苦手だ

知っているけど、だからこそ見せたくなるよね

「だいじょーぶだって。そんな怖くないからさ」

立ち上がって部屋に行こうとする氷雨を手首を掴んで引き留める

「そもそもちょっと見ちゃったし一人で平気なのw?」

「···っ」

言葉を詰まらせる氷雨をソファに座らせる

「最後まで見ても変わんないよ。それに俺は氷雨が居てくれないとこわいなぁw」

「怖いとか微塵も思ってねぇ癖にっ」

悪態をつきつつ素直に座っててくれる辺りやっぱり一人になるのが怖いんだろうな

本当に可愛い

再び再生ボタンを押し映画を流す

まだまだ序盤だと言うのに怖がっている氷雨を見るのが楽しくて正直映画どころではない

スマホでもいじっていれば良いものをと思うがそれは言わない

雰囲気だけで顔を青ざめさせているし、ちょっとしたびっくり演出で涙目になっている氷雨を見たときはかなりゾクゾクしちゃうよね

やば。これ俺の方が映画の最後まで持たないかもw

映画は順調に展開が進んで行く

終盤に向かって徐々に増えているホラー演出に氷雨は今にも泣き出してしまいそうな怖がり様

正直かなりそそられる。さっきから映画ではなく氷雨の泣き顔にゾクゾクしっぱなしだ

バレたら氷雨にとやかく言われそうだが氷雨は映画のせいで余裕が無さそうだ

数十分ぶりに真面目にテレビの画面を見ると主人公の青年が死屍累々となった廃墟の廊下を頼りない懐中電灯を便りに歩いている所だった

すでに映画は終盤。主人公の足取りを不穏な音が追う

氷雨はほぼ泣いていた。ソファの上で体育座りで青ざめて···

あーーーーーーむり!

画面の中で主人公がはっとふりむき、恐ろしい何かが画面に写った

瞬間俺は氷雨に覆い被さる様に氷雨を押し倒す

「うわぁぁあ!?」

唐突な出来事に驚いた氷雨はかなりの叫び声をあげた

「ばっ···ばばっばか文也っなっなにしやがるきゅうにぃっ」

俺を非難する氷雨の声は震えていて、目から涙が溢れている

「もう無理。氷雨まじで可愛い。泣いてるのエロすぎるんだけど」

早口ぎみにまくし立てる俺の言葉を聞いて氷雨の血の気が引いていた顔がみるみるうちに真っ赤になった

「馬鹿文也っ///変態野郎っ///」

氷雨の悪態ももはや耳に入らない

「今日はもう朝まで離さない♡」

マフィアの癖に 短編集

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