テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
彼らは今日も、愛だの恋だのと忙しい。
それが本当に綺麗なものかどうかは、誰も気にしていないけれど。
押し付けて、縋って、勘違いして。
それでもきっと、本人達は幸せなのだろう。
幸せ、という言葉は随分と便利だ。
何を壊しても、最後にそれを掲げれば許されるのだから。
__だから今日も、彼らは愛している。
壊れる寸前まで。
u「は~、今日のとんちとグルちゃん最高に可愛かったな…」
スマホの画面を親指で拡大する。
何度も、何度も。
撮った写真は既に三桁を超えていた。
アパートの一室。
深夜一時になろうとしている頃、何時も通り日課となった二人の盗撮写真を眺めていた。
u「うっわ、これの距離とか近過ぎやろ…やば…♡」
机の上にはパソコンと、スマホと、電源コードの塊。
端に追いやられた夕飯は当に冷めきっていて。
代わりに噛み締めるのは画面の中の神様達。
笑みを浮かべ、とんちに奢って貰ったフラペチーノのを飲みながら話しかけるグルちゃん。
その話をはいはいと流しながらもちゃんと聞くとんち。
u「…はぁ~~…っ」
溜息とも、満足ともつかない音を零して。
画面を見ながらようやく一口。
味なんて分かりやしない、ただ目の前の綺麗で尊い二人を見詰められていれば、それが栄養となり、味となるから。
画面の中で笑う神様達は、僕みたいな奴が居るだなんて到底思っていないだろう。
シャッター音は消してあるし、撮っているのは”偶然”の延長線上。
そう、自分は何もしていない。
ただ、神様が偶然映り込むだけ。
尊い物を、残して。
尊い物を、眺めて。
かみさまを、ひとりじめしているだけ。
u「…えぇね」
小さく呟いた声は、電子レンジの稼働音にかき消された。
温め直された飯よりも、さっきの写真の方が余程熱を持っている。
指先でなぞるのは、肩と肩が触れている二人の輪郭。
ほんの数センチ。
僕が入り込む隙間何て
到底無いんや。
u『は~、今日のとんちとグルちゃん最高に可愛かったな…』
盗聴器から聞こえる音声をイヤホンに繋げ、片方ずつ耳に付け、長椅子に腰掛ける。
g「ほぉ…今日も着いてきてたらしいな」
t「そりゃ哀れな彼奴でも着いてこれる位に色々工夫してますからねぇ」
にんまりと頬を上げながら、机上に置いてあるウィスキーをこくりと飲み干した。
t「そもそも見せ付けるのを目的としとるんですから、着いてこさせなきゃ意味無いやろ」
g「まぁな」
暫くの沈黙。
つ、つ、つと聞こえる何かをなぞる音。
u『…えぇね』
その一言に、全身の細胞が歓喜した。
隣に座っているトン氏に目をやれば恍惚とした表情で口元を抑えている。
g「トン氏」
顔をだけを横に向け、名前を呼べば丁度トン氏も俺の名を呼ぶ。
t「グルさん」
決めていたのだ、ずっと、前から。
彼奴が俺たちに向ける感情に気付いた時から、ずっと。
g「そろそろだな、始めようか」
良いと思うなら、お望み通り開けておいた俺たちの間。
入れてやろうじゃないか。
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝②
コメント
11件

えっ??こんな素敵な予感しかしないお話無料でよろしいんですか??いいんですか!? あの、続きもめっっっっちゃ楽しみにしてます…!

世界はそれを共依存(個人の価値観によります)と呼ぶんだぜーーー!!!!!!!!!!!!! この時点でもう大好きです💖
ちょぉまってください… ほんまに、好きです。えぐいです天才です