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コメント
7件

す、すごい!!!😭✨✨ すべて辻褄が合うようになってたり、表現の仕方が好きです!!🫶🏻︎💕🥳 ありがとうございます🥰

ええええレトさぁぁんどこいったのお゛お゛お゛ッッッ!!!(泣)

感無量です…( ˙-˙ ) なんか、こういうレトさんが居なくて焦るキヨが好きなんですよね、 うん、ありがとうございます🥹🙏🏻💖
5話目もよろしくお願いします!
スタートヽ(*^ω^*)ノ
レトルトとキヨは、魔女討伐に向けて動き始めた。
森の中を駆け回り、情報を集める。
動物たちへの聞き込み。
そして、かつての森林伐採を知る村人たちへの聞き込み。
地道で、時間のかかる作業だった。
——だが。
「……あいつ、また来たのか」
木の上から、小さな声が落ちる。
キヨが姿を見せると、動物たちは一斉に警戒した。
距離を取り、冷たい視線を向け 決して近づこうとはしない。
それも、そのはずだった。
キヨは猟師だ。
森で生きる以上、命を奪うこともある。
その事実は、どうしても消えない。
キヨは何も言わず、その視線を受け止めた。
けれど——
「……待って」
ひとつ、別の声が割って入る。
小さな影が、ゆっくりと前に出てきて、
「この人、悪い人じゃない」
キヨの方を見て、かばうように言った。
以前、罠にかかっていたところを助けた動物だった。
「わたし……命、助けてもらった」
その言葉に、周囲の空気が少しだけ揺らぐ。
完全な敵ではない。
けれど、完全に信用もできない。
そんな曖昧な距離。
その中で——
少しずつ、情報が入ってくる。
「最近、森の奥で変な匂いがする」
「夜になると、いなくなるやつが増えた」
「赤い頭巾の……人間を見た」
動物達から集まった情報はどれも断片的だった。
けれど繋ぎ合わせるとはっきりとした“傾向”が浮かび上がってくる。
「いなくなるのは、若くて元気なやつが多い」
“体力があり、生命力の強い個体”
「消えるのは……決まって夜か」
“人目も、動物の目も届きにくい時間”
そして——
「……特に、獣人が多い」
キヨの声がわずかに低くなる。
その言葉レトルトは眉をひそめた。
『魔力の素になる“魂のエネルギー”が強いほど効率いいんだろうな』
レトルトは静かに続ける。
『だから……若くて、力のあるやつ。獣人か…』
自分の種族を指す言葉を、あえて口にする。
キヨは何も言わず、その言葉を受け止めた。
そして、ゆっくりと口を開く。
「……じゃあ次も、同じ条件で来る可能性が高いってことか」
「夜に、若くて……力のあるやつを狙う」
その視線が、ちらりとレトルトに向く。
一瞬の沈黙。
レトルトは、にっと笑った。
『……俺、めっちゃ当てはまってるな』
軽く言ってみせるが その瞳の奥にはわずかな緊張が滲んでいた。
キヨはレトルトの目をまっすぐに見つめた。
「レトさんは俺が絶対守る。だから俺の近くにいて」
安心させるような強い意志のこもる声。
レトルトは一瞬だけ目を見開いて そのあと嬉しそうに尻尾を揺らした。
『……うん』
小さく、でも確かに頷く。
最初は距離を取っていた動物たちも、 少しずつキヨに心を開き始めていた。
消えていく仲間たち。
その現実に、不安を感じているのは彼らも同じだったからだ。
「……あの猟師、話は聞いてくれる」
「少なくとも、無闇に殺すやつじゃない」
そんな声が、少しずつ広がっていく。
キヨは何も言わず、ただそれに応えていった。
嘘をつかず、誤魔化さず、
必要なことだけを、まっすぐに伝える。
その姿勢が、少しずつ信頼へと変わっていく。
——だが。
「あの人たちがそんなことするはずない!」
「森を守ったのは、あの人たちだ!」
「恩人なんだぞ!」
強い声が場を裂いた。
過去に森を救ったくれた記憶。
魔女を信じる者も確かにいた。
その“事実”がある限り、疑うことはできない。
「でも、実際に消えてるんだ」
「理由もなく、こんなこと起きるわけないだろ」
反論の声も上がる。
森の中で、意見は割れていった。
信じる者
疑う者
そして——恐れて、何も言えない者
その様子を、キヨは静かに見ていた。
「……無理に信じる必要はないよ。 信じるやつだけでいい」
短く、それだけ言った。
レトルトもその横顔を見て小さく頷いた。
『うん。それでええと思う』
無理にまとめなくていい。
それぞれが、自分で選ぶしかない。
キヨは森だけでなく村にも足を運んだ。
獣人の事をよく思わない村人も多いからと、一緒に行くと聞かないレトルトをなんとか説得してキヨは1人で村へと向かった。
目的は——森林伐採の時のことを知る人に話を聞くため。
当時を知る村人たちは、最初こそ口を閉ざしていたが、
「……あれは、普通じゃなかった」
ひとりの男が、ぽつりと語り始めた。
「村を広げるために、木を切り倒してたんだ。 みんな、血気盛んでな。
このまま村を大きくするんだって……躍起になってた」
その声は、どこか遠くを見ているようだった。
「……でも、ある日だ」
空気が、変わる。
「森の奥から妙な連中が現れた」
キヨの視線が鋭くなる。
「赤い頭巾をかぶった……女たち」
——赤ずきん。
脳裏に、あの少女の姿がよぎる。
「何をされたのかは、よく覚えてない」
男は眉を寄せた。
「ただ……気づいたら、やる気が全部なくなってた。 体は動くのに、何もする気が起きねぇんだ」
「森に入るのが……怖くて仕方なくなった」
その手が、わずかに震える。
「まるで……中身だけ抜かれたみたいな顔してたって、後で言われたよ」
自嘲するように笑う。
「それからだ。 誰もあの森の奥に近づかなくなった」
「……二度と、関わりたくねぇってな」
重く、嫌な感触が残る話だった。
キヨはゆっくりと息を吐く。
「……正気ごと、吸い取られたってことか」
静かな声。
だが、その奥には確かな怒りがあった。
村で得た情報を伝えるため、キヨは足早に森へと戻った。
迷うことなく、レトルトの洞穴へ向かう。
「……ってことがあった」
息を整えながら、キヨは一通り話し終えた。
レトルトは腕を組み、深く考え込む。
『……精神まで操れる、か』
低く呟く声。
『ただの力押しじゃ、どうにもなんないか』
視線を落とし、思考を巡らせる。
『対策……考えなきゃな』
だが——
簡単には答えは出ない。
魔女は、目に見える力だけじゃない。
心まで侵してくる。
その厄介さに、ふたりの議論は難航していた。
——そんな時だった。
「キヨ、お前……最近なにしてる」
背後から、低い声がかかる。
振り返ると、そこには顔見知りの猟師たちが立っていた。
警戒の色を隠さない目をキヨに向けていた。
「森と村、行き来して……動物と話してるらしいな」
じり、と距離を詰められる。
「人間と動物の均衡は常に保つ決まりだろ?どうなってるんだ」
「お前、何を企んでる?」
鋭い問い。
キヨは一瞬だけ言葉を飲み込む。
(……面倒なことになったな)
説明すれば信じるのか。
いや——
今の空気では、無理だ。
疑いは、もう根を張っている。
「……別に」
短く答える。
「仕事してるだけだ」
それ以上は言わない。
言えば、余計に疑われる。
沈黙が落ちる。
その空気をさらに悪くしたのは——
新たに起きた“事件”だった。
夜になると、村人が姿を消す。
一人、また一人と。
理由もなく、痕跡もなく。
恐怖は一気に広がった。
そして——
「森を封鎖する」
その決定が下された。
村と森を繋ぐ入り口は、すべて閉ざされる。
見張りが立ち、誰も自由に出入りできなくなった。
まるで——
森そのものが“敵”になったかのように。
キヨは拳を強く握りながらその光景を黙って見ていた。
(……最悪だな)
魔女だけじゃない。
人間側も、もう動き出している。
森は完全に封鎖された。
入り口には常に見張りが立ち、誰も自由に出入りすることが出来なくなった。
キヨは立ち止まり拳を握った。
(……どうすれば、レトさんにに会えるんだ?)
魔女のことも、森で消えた人や動物のことも頭をよぎる。
でも——
それ以上に、レトルトに会いたかった。
「……くそ」
悔しさに歯を食いしばる。
見張りの目をかいくぐることは容易ではない。
だが、どうしても——
レトルトに触れたい。顔を見たい。
その一心で、キヨは周囲を見渡し、森への“別の道”を探し始めた。
草木の隙間、崖の裏、動物たちだけが通る小道——
どこかに、誰にも見つからずに森へ入れる場所があるはずだ。
心の中でレトルトの笑顔を思い浮かべる。
小さく揺れる尻尾、飛び跳ねながら喜ぶ姿。
(……絶対、会いに行く)
その決意が、キヨの全身を突き動かした。
キヨは茂みに囲まれた森の入り口を、手探りで探し回った。
だが、どこにも道らしいものは見つからない。
どうすれば……。と膝を抱えてうずくまったその時だった。
「こっちよ」
どこからか、柔らかくも確かな声がする。
キヨはびくっと顔を上げる。
しかし、目に入るのは風に揺れる木々と、夕暮れに染まる森だけ。
誰もいない——。
風に混ざる囁きのような声に、胸がざわつく。
(……誰だ?)
静まり返った森に、またかすかに——
「こっちよ」
森の奥から、何かが、確かに自分を呼んでいる。
キヨは立ち上がり、声の方へゆっくりと歩き出した。
森に詳しいキヨでさえ気づかなかった小さな入り口を導かれるように見つけた。
声の主に導かれるまま、慎重に足を進める。見張りの目をかいくぐり、森の奥へと入った。
だが、辺りを見回しても声の主の姿はない。
その瞬間、柔らかな風がキヨを包んだ。
ただの風ではなく、どこか温かく、背中を押されるような、不思議な感覚だった。
森の奥に足を踏み入れたキヨは、迷うことなくレトルトのもとへと駆け出した。
会いたい――その一心で足は自然と速くなり、脇目も振らずに洞穴へ向かう。
もうすぐ、もうすぐ逢える一一
「レトさん!!」
声を張り上げ、キヨは洞穴に飛び込んだ。
しかし、そこにはレトルトの姿はなく、ただ静寂だけが広がっていた。
どこを探してもレトルトの姿が見当たらない。
2人でよく行く花畑も一
水浴びをする小川も一
木の実を摘む林も一
どこにもレトルトの姿はなかった。
おかしい――キヨの胸に嫌な予感が走る。
夢中で探していたせいか、気づかなかったある異変にキヨは気付いた。
森の中に、動物の姿がひとつもない。
鳥のさえずりも、獣の鳴き声も、川を跳ねる魚の音も。
――すべて消えていた。
続く