テラーノベル
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45
#ntjo組
ゆかボンド
30
休日。
珍しく、俺は朝から何の予定もなかった。
「…………」
ソファに寝転がり、テレビをつける。
更に、ゲーム機を起動した。
「最高だ……」
大学もない。
バイトもない。
外出する予定もない。
今日は一日、家でゲームをする。
そう決めていた。
「らだ男」
「んー?」
「それ何?」
隣から、みどりが覗き込んでくる。
「ゲーム」
「ゲーム?」
「そう」
「面白い?」
「面白いよ」
「やりたい」
「…………」
俺はコントローラーを見る。
「このゲーム、やったことあんの?」
「ない」
「できないじゃん」
「できる」
「なんで?」
「分からない」
「じゃあなんでできるって言ったんだよ」
「なんとなく」
「なんとなくでゲームできる宣言すんな」
みどりはじっと画面を見つめている。
「やりたい」
「…………」
俺はため息を吐いた。
「分かったよ。ちょっとだけな」
「うん」
コントローラーを渡す。
「まず、ここが移動」
「うん」
「こっちが攻撃」
「うん」
「で、これはジャンプ」
「分かった」
「本当に?」
「うん」
ゲームを開始する。
みどりが操作すると、キャラクターが動いた。敵が近づいてくる。
「攻撃!」
「…………」
敵が倒れる。
「…………え?」
「倒した」
「いや、そうだけど」
次の敵も、撃破、撃破と順調に進めていく。
「…………」
俺は黙った。
「みどり」
「なに?」
「お前、初めてだよな?」
「うん」
「…………」
ありえない。
初めての奴の動きじゃない。
「らだ男」
「ん?」
「ここどうする?」
「そこは――」
説明する前に、みどりがクリアした。
「…………」
「できた」
「…………できてるな」
「うん」
「…………」
俺は少しだけ悔しくなった。
その日の午後。
「おーい」
玄関から声がした。
「……?」
俺は立ち上がり、玄関の扉を開けた。
「よ」
「恭也さん」
「だからさん付けやめろって」
「癖なんで」
「まあいいや。暇?」
「暇ですけど」
「ゲームしようぜ」
「ゲーム?」
「この前言ったじゃん」
「ああ」
恭也は部屋に入ってくる。
「お邪魔しまーす」
「どうぞ」
そして。
「お、みどりじゃん」
「こんにちは」
「元気?」
「元気」
「よかったよかった」
恭也はみどりの頭を軽く撫でた。
「…………」
俺は思った。
この人、ドラゴンへの適応が早すぎないか?
「で?」
恭也がテレビを見る。
「何やってた?」
「ゲームです」
「お、いいじゃん」
「みどりがやってます」
「え?」
「みどりが」
恭也がみどりを見る。
みどりはコントローラーを握っている。
恭也が笑った。
「じゃあ俺とやる?」
「やる」
「よし」
「ちょっと待って」
俺は二人を見る。
「何でそんな自然に話が進んでんの?」
「いいじゃん」
「いいけど……」
こうして。
なぜか俺の家で、ゲーム大会が始まった。
数分後。
「うわ、負けた!」
恭也が叫んだ。
俺は画面を見る。
結果。
**みどり 1位**
**恭也 2位**
**俺 3位**
「…………」
「…………」
「…………」
俺はコントローラーを置いた。
「……もう一回」
「らだ男、悔しがってんじゃん」
「もう一回」
「いいけど」
みどりが頷く。
「もう一回」
「お前もやる気満々じゃねぇか……」
結局。
三時間くらいゲームをした。
「疲れた……」
俺はソファに倒れ込む。
「楽しかった」
みどりが隣に座る。
「俺は疲れた」
「弱いから?」
「…………」
「らだ男弱い」
「うるせぇ」
恭也が笑う。
「まあまあ。次は俺が勝つから」
「恭也も負けてたじゃん」
「次は勝つって」
「みどりに?」
「もちろん」
「…………」
なんだか。
少しだけ不思議な感じがした。
ほんの数日前まで。
俺は一人でこの部屋に住んでいた。
今は。
ドラゴンと。
近所の兄貴と。
三人でゲームをしている。
「…………」
俺は小さく笑った。
「……まあ、悪くないか」
「何が?」
「なんでもない」
すると、みどりが突然立ち上がった。
「らだ男」
「ん?」
「お腹減った」
「…………」
恭也も立ち上がる。
「俺も」
「お前までかよ」
「じゃ、なんか食いに行く?」
「行く」
「俺も行きます……」
「よし」
三人で玄関へ向かう。
ドアを開ける。外は、もう夕方だった。
「……なぁ、みどり」
「なに?」
「お前さ」
「うん」
「最初に会ったときより、なんか楽しそうじゃない?」
「…………」
みどりは少し考えた。
「うん」
「そっか」
「ここ、好き」
「…………」
「らだ男もいるし」
俺は少しだけ驚いた。
「……そうかよ」
「うん」
みどりは笑った。
「だから、お腹減った」
「最後までそれかよ!!」
恭也が笑う。
「ハハハ!」
俺も笑った。
――こうして、また一日が終わる。
ドラゴンと。
大学生と。
近所の兄貴。
どう考えても普通じゃない。
だけど。
「……まあ、こういうのも悪くないか」
そう思えるくらいには。
俺の日常は、少しずつ変わってきていた。
コメント
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第6話読み終えたよ〜!!✨ みどりのゲームセンスやばすぎて笑ったw「初めて」ってホント?!ってツッコミ入れたくなった😭 恭也さんもいつの間にか家族みたいに馴染んでて、気づいたら3人でゲーム大会になってるの、ほっこりする…! 最後の「ここ、好き」「らだ男もいるし」からの「お腹減った」のギャップエモすぎて崩れたよもう🥺💕 こういう日常がじわじわ染みる話、大好きです〜!次も楽しみにしてるね!!