テラーノベル
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朝、リビングのソファで小さくなって眠っているりょうちゃんにそっとブランケットをかける。
頬には涙の跡があってどうせほとんど眠れても無かったんだろう、出来る限りこのまま寝かせてあげようと静かに離れた椅子に座ってその様子をそっと眺めた。
りょうちゃんの気持ちは、わかってしまった。
こんなにボロボロになっているりょうちゃんに気づかなかった、いや、見ないふりをしていたのかもしれない。
そしてそれは若井のせいじゃない。
俺のせいだ。
『若井、話したいんだけど』
そうメッセージを送った。
俺のせいでも若井がもし、りょうちゃんの言う通りだったらそれは見過ごせないことだから。
若井から返信があって、りょうちゃんには知らせず家に来てもらう。
いつも通りの若井に俺はストレートに思ったことをぶつけた。
「若井は、本当はりょうちゃんのことが好きなんじゃない?遊び歩いてる理由はそれ?」
俺からの質問に若井はびっくりした様子で明らかに動揺していた。
「好きじゃない。そういうんじゃない。ただ遊びで連れ込んだだけでりょうちゃんが理由じゃない。だから···安心して」
若井の嘘つき。
苦しそうな顔して気遣う嘘を吐いて、若井は帰って行った。
1人になった部屋で床にぺたん、と座り込んだ。
「ほんとになんで若井もりょうちゃんも···人のことばっかりなんだよ」
若井のことがあんなになるまで好きなのに俺の為に弱かった卑怯な俺を受け入れてくれたりょうちゃん。
そんなりょうちゃんへの気持ちを俺に隠して他の誰かで穴埋めしてまで我慢する若井。
自分がどうするべきかなんてわかっているのに弱い自分が足掻いているからその先へ進み出せなくて。
暫く俺は床に転がってぼんやりとして動けないでいた。
もう少し、もう少しだけ時間が欲しい。
俺は次の日、2人が来てくれた時に宣言した。 少しの時間稼ぎにしかならないだろうけど。
「暫く2人とも、来なくていいから」
「え···なんで?どうして?」
「何かあった?何でそんなこと言うんだよ、りょうちゃんにまで」
「ほら、活動再開に向けて作曲に集中したいっていうか。しばらくは1人で向き合いたいし」
「わかった···でも普通にさ、夜ご飯は一緒に食べたりとか」
「そうだよ!僕も夜だけ泊まりに来るとか」
2人とも俺がひとりになるなんて、と心配してくれる。
なんでそんなにこの2人は優しいんだろう。
「俺は平気。暫くは···独りになってみる」
···自分と向き合う為にも。
2人の方が寂しそうな顔をして帰っていった。
りょうちゃんが泊まりに来ないなら若井は女の人を呼ぶことはないし、きっと外泊することもないだろう。
俺がいないほうが幸せだって、きっと2人はわかるんだろうな。
りょうちゃんも若井も、どっちも不器用なほど嘘が下手でその根底にあるのは俺への愛だと痛いほどわかっている。
俺のせいとかじゃなく、俺の幸せの為に2人ともそう振る舞ってくれてる。
「···なんでかなぁ、なんでそれなのに俺は···」
まだ心の奥底でりょうちゃんを求めている。
2人の優しさに甘えたいと思ってしまう。
「卑怯だよね···」
暗い部屋で慰めてくれる人はいない。
でもそれでいいんだと思った。
コメント
5件
更新ありがとうございます💗 楽しみにしてました!
。゚(゚´ω`゚)゚。エ"ンッッ ひとりにならないでよぉ……!!