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人類は知らなかった。
――いや、知ろうとしなかった。
この世界の裏側で、何かが起きていることを。
静かに、確実に、侵されていることを。
それは、ある日突然現れた。
宇宙から飛来した、“何か”。
姿はない。声もない。
ただ、気づいた時には――もう手遅れ。
人の心に入り込み、侵食する存在。
その名は――《アビス》。
科学者たちが行方不明になる 不可解な事件が連続する。
でも、誰も真実には辿り着けない。
そんな中――
裏で動いていた組織があった。
ORVAS(オリヴァス)
アビスに対抗するための、極秘組織。
彼らは世界中の中高生を調べていた。
共通点は一つ。
“心に影を持つ者”
そして2025年、日本。
とある地方都市に――
その“影”を抱えた少年がいた。
昼休みの高校。
ざわつく廊下に、異様な男が現れる。
黒いスーツ。サングラス。長身。
完全に場違い。
「なにあの人……」
「ヤバくない?」
「怖……」
視線なんて気にもせず、男は職員室の扉を開けた。
「少々、お時間よろしいでしょうか」
空気が一瞬で凍る。
教頭が立ち上がる。
「どちら様で……?」
男は名刺を差し出した。
「ORVASです」
「……ORVAS?」
「武藤公太君について、お話があります」
その名前に、教師たちの表情が変わる。
「……武藤?」
担任の鈴木が口を開く。
「彼なら、問題児で――」
「ええ、承知しております」
男――畑中は淡々と続ける。
「ですが彼は、“選ばれた側”です」
校長室へ移動。
重たい沈黙の中、資料が広げられる。
#性悪聖女
「武藤公太。三年C組」
「素行不良。暴力行為、多数」
校長がため息をつく。
「正直、手に負えません」
畑中は小さく笑った。
「だからこそ、です」
「……?」
「強い衝動。荒れた精神」
「それこそが、“力”になる」
空気が変わる。
「今、この世界は危機にあります」
「すでに複数の都市が壊滅しています」
「な……」
「公にはされていませんが、事実です」
端末に表示されるデータ。
異常な数値。
「彼の戦闘センスは、常人を超えています」
沈黙。
そして――
「……分かりました」
校長が頷いた。
「ただし、彼が従うとは思えません」
「問題ありません」
畑中は笑う。
「選ぶのは、彼です」
――運命が、動き出す。
屋上へ向かう廊下。
鈴木が小声で言う。
「……本当に気をつけてください」
「アイツ、マジでヤバいんで」
屋上の扉を開ける。
そこには――
倒れた不良たち。
ざっと20人。
その中心に立つ、一人の少年。
息一つ乱れていない。
武藤公太。
最強の不良。
「おぉ、派手にやってんな」
公太が振り向く。
鋭い目。
「……誰だよ、テメェ」
「ORVASの畑中だ」
「……は?」
「お前をスカウトしに来た」
一拍。
「世界、救ってみねぇか?」
沈黙。
そして――
「……くだらねぇ」
「興味ねぇよ。消えろ」
畑中、ニヤッと笑う。
「まぁ、そう言うと思った」
一歩近づく。
「テメェみたいなガキじゃ無理だしな」
ピクッ
「……あ?」
「どうせすぐ死ぬ」
次の瞬間。
ドンッ!!!
公太の拳。
しかし――
当たらない。
「遅ぇな」
避けられる。
何度も。
何度も。
「それで本気か?」
初めての感覚。
届かない。
「……クソが……!!」
畑中は笑った。
「強くなりてぇか?」
沈黙。
風が吹く。
しばらくして――
公太が笑う。
「……ぶっ倒してやる」
「そのために、行ってやるよ」
畑中、満足そうに頷く。
「上等だ」
この日。
一人の不良が、
世界の運命に関わる存在へと変わった。
――影が、目を覚ます。