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本堂の奥は一面真っ白だった。
雪とかそういうのじゃなくてただ何も無い。
『無』の空間のようだ。
ふと奥の方に1匹の黒猫が見えた。
その黒猫も私に気づいたのか
私の所へトコトコと歩いてきた。
「よう、人間」
急にどこからか男性特有の低い声が聞こえた。
「え?」
「あ、俺だよ。目の前の俺」
まさかこの黒猫が喋ってる?
「いや酷いな〜目の前に居るのに気づかないなんて」
「まぁいい。特別にお前をいいとこに連れて行ってやろう」
いいところ?
なんか怪しい..。
「まぁまぁ怪しむなって」
「さっ、この先だ。着いてこい」
「夢神社に入ってくる人間なんて初めてだな〜」
ここに着くまでこの猫はずっと1人で喋っていた。
余程おしゃべり好きなんだろう。
なんだかイルムと話しが合いそうだ。
「お、着いたぞ。ここが俺の生まれの街、『荒廃した街』だ」
「荒廃した街?」