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上野文
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都築七美
278
てく
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「お前、なんでここに!? こんな夜更けに危ねえだろ! 何かあったらどうするんだ!!」
「あ、あの、起きたら蛇珀様がいなくて、それで……前に、よい滝を見つけたと言われていたので、もしかしたらここかと思って……」
蛇珀に肩を掴まれすごい剣幕で言われたいろりは、困った様子で理由を口にした。
結界はあくまで他者が家に侵入できないようにするだけで、いろりが外に出るのを防ぐようにはできていなかった。
もちろん、いろりが目覚めて自身の不在に気づき、後を追ってくるなど蛇珀には予想外であった。
「……俺のせいだな、悪かった、心配させて」
「い、い、え……」
そう言ういろりの視線がまったく合わないことに違和感を覚える。
暗がりでもわかるほど頬を紅く染めたいろりの目には、蛇珀の研ぎ澄まされた裸体しか映っていなかった。腰に手ぬぐいは巻いてあるが。
「——だあっ!? あ、ああ、い、今浴衣を着るからよ! ちょっと待ってろ!」
自身の今の格好を思い出した蛇珀は思わず一瞬女子のように胸を隠すと、いそいそと岩肌に置いた浴衣を取りに戻った。
そんな蛇珀の後ろ姿を見たいろりは、もう我慢ができなかった。
恥も外聞もない。
いや、このお方を知るためなら、恥知らずのはしたない女になってもかまわないと覚悟を決めた。