テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する


深呼吸したが、まだ正常じゃない呼吸のまま恐る恐る再生する。

映し出された場所はレッドライト輝く、放送室のような場所で、マイクの前にいる男が電源を入れる。

首元を映されて、誰なのかはっきりと分かる。

何故ならあの首輪が付けられていた……そう彼は前回流した曲のエースだ。

「……エース……」

泣き出しそうな声でエースの方を振り返ると、当の本人は穏やかな表情で眠っている。

曲の中のエースは息を吸い込んで明るい…何処か狂人的な声で話し始める。

『皆様ようこそお越しくださいました!!

…今宵はとっても可愛らしいお友達が遊びに来て下さいましたよ!!

……え?……どんな子達かって?……良いでしょう!!話して差し上げます!

…是非楽しんで。』

放送室の独特の音声が切り替わり、オルゴールの音と小さなピアノの音が流れる。

それは先程聞いた物と似ていて、トラウマを刺激されたような気分になる。

画面がベッドを映して小さな子供を捉え、 母親が隣で絵本を読んであげているようだ。

視聴している者は、まだ怖くないと心を落ち着ける。

暗闇で光が逆光になって顔が見えないまま、話し始める。

音声が入ってないのか、初めは聴こえなかったが、途中から音声が入る。

『貴女の見た夢が淋しくて泣いています。どうすれば良いのでしょう?

……そうだ!友達を作ろう!!……たくさん愛されてる人を沢山、

沢山……人を!! 』

聞き覚えのある言葉を高らかに放ち、 絵本のページが開かれて、その中に吸い込まれるように物語が始まった。

流れていたオルゴールが切り替わって、見覚えのある男が映し出された。

「……セベク……」

やはり同時刻に観ていたリリア先輩は、セベクが出した監督生の寮に泊まる外泊届けを、承認しなければ良かったと後悔した。

機械が歌ったような歌声が聞こえる。

因みにクラスメイトに、一音ずつ録音して歌って貰いました。

……はい、大変でした。何人か女の子っぽい高めの声で歌って貰いました。

『一番目のアリスは勇ましい子。』

セベク は歩きながら、こちらを襲ってくる植物のような生き物を斬り倒して、周りを警戒している。

『剣を振るって……不思議だね??』

そこに先程とは見た目の違う植物がやって来て、戸惑いながらも切り捨てる。

『色んなモノを切り捨てて、真っ赤な道を歩いて行った。』

植物からは血が流れていて、セベクが背を向けるとヒトに変わってしまう。

「なんと残酷な……」

すると見覚えのある森が映される。

そう、茨の国にあるセベクやシルバーが小さい頃に、リリアやマレウスとよく散歩をした森だ。

『可愛いアリスちゃんは深い森の奥』

まるで牢獄のように枝が道を塞ぎ、セベクは出られなくなる。

あの森で有名な剣では切れない枝、セベクはマジカルペンを持っていないことから、出るのは困難だと推測できる。

『罪人として閉じ込められた。』

確かに罪を犯したが、どうしようも無いことだったのだ。

複雑な気持ちを胸に、リリアは隣で眠気と闘っているシルバーを引き寄せ、続きを観る。

『真っ赤な絨毯の上を歩いて探さなきゃ』

そう言って血で滲んだ本の文字を追っていた母親の指が止まり、ページの破れた部分に触った。

エースの声で呟くような……物語を考えているような歌声が聞こえる。

『……彼の生を知ることはナイ』


続けて、スクリーンで視聴していたポム寮は急な自分の寮の後輩に驚きを隠せず、悲鳴をあげた。

『二番のアリスは大人しい子。』

林檎の木からリンゴを採って、嬉しそうに微笑みを浮かべている。

『とっても綺麗な林檎なの……不思議だね??』

林檎の木の奥に道が続いていて、お城が見えるが、エペルはソレよりも林檎に目を向ける。

「はぁ、本当にエペルらしいというか……」

麗しの女王は呟き、狩人は称賛し拍手と声をあげた。

手に持つ林檎は、瞬く間に色や形が個性的に変化し、エペルはそれを村の皆に見せにいった。

『色んな姿を魅せたら、世界は狂ってしまったの。』

村の人に林檎を配っていたエペルは、林檎をかじった男に、見つめられていることに気付いた。

……が、嬉しそうに笑って、他の村人に綺麗な笑顔を振り撒いた。

『愛しいアリスちゃんは毒林檎』

ヴィランなのは分かってたけど……と複雑な気持ちを切り替える為に、寮生は水を飲んでいる。

エペルは途中で疲れたのか、椅子に座って目を閉じると、ふと周りが暗くなり目を開く。

『イカれた男に食い殺されて』

まさかと思ったが、やはりアイツだった。

寮内は阿鼻地獄だが、無情にも進んでいく動画を観るしかなかった。

『真っ赤な林檎を実らせながら』

赤い林檎が映し出されているだけ、それだけなのにとても恐ろしく感じるのは何故か。

『皆に愛され腐ってく』

先程と同じように呟かれた。


次に映されたのはグリムだった。

グリムは綺麗な洋服を着せられて、不満げな顔で着せかえぬいぐるみのようになっていた。

『三番目のアリスは幼い子。』

グリムは部屋から飛び出して別の薄暗い部屋に隠れる。

すると床に落ちている黒い石を見つけて、一口パクッと食べると、たちまち嬉しそうな笑顔を見せて、部屋から飛び出す。

『甘いお洋服とご飯は……不思議だね??』

城の中に魔法の炎を放ち続けて、それに触れると、どんなものでもお菓子に変わってしまう。

……それが、例え人でも。

『色んな物に魔法を放ち、お菓子な国を造りあげた。』

その国の王も太刀打ち出来ず、お菓子になってしまった。

そして、ついにはお城全体がお菓子になり、グリムは王座に居座る。

『素敵なアリスは国の王様』

どの寮も、残酷だけどこれが夢なら可愛くて仕方がないという様子で、ソワソワとしている。

『歪なモノに取り憑かれて』

嬉しそうな表情から一変して暗い顔になり、涙さえ出ないような、怯えた表情に胸が苦しくなる。

『おかしな夢に怯えながら』

お菓子の……多分人であった物達が一斉にグリムを取り囲んで、痛めつけて殺そうとしている映像が流れる。

『国の頂点に君臨する。』

君臨すると言うより、まるでそこにしか逃げ場が無いから、マントをかぶって隠れているように見える。

グリムが余りにも可哀想で、でも命を奪ったからと、またもや複雑な気持ちを抱える。

タイトル《複雑》で良いじゃんとか言ってるやつ……おい、やめろ。…なんも言えねぇw


続いて切り替わると、ザザッ~と古い映像を観ている時の様な、ノイズが入った音声が入る。

『暗い森で探検したり』

♪♪*~♪♪*※~

『林檎の木の下でお茶会』

♪♪♪※~♪♪*~

『お城からの招待状は……』

場面は同じ場所なのに、何処を探しても見つからない。

仕方ないのだ……見つからなくても。

大きな木の枝を避けながらその横を通って、林檎が腐っているのを見つけたり……

『お菓子なトランプ』

お菓子の国からの招待状がハートのトランプだって……


お次はクライマックスのように音が大きくなり、監督生とデュースが現れる。

『四番目のアリスは双子の子。』

どちらも役に染まりきっていて、本当に双子に見える。

勿論見た目はそっくりではないけど、似てるように見えるのは、元からの似ている身長と、髪型や服装のせいだろう。

二人は楽しそうにハートのスートを付けたウサギを追いかけ、鏡に入っていった。

『好奇心で飛び出して……不思議だね??』

飛び出た先に沢山の鏡があり、くぐり抜けると先程の森や林檎にお菓子の国を探検している様子が描かれる。

『色んな鏡をくぐり抜けて』

さっきのは、この双子の見た風景だったんだと驚きつつ思い出してしまい……寮の先輩達はオーバーキル。

『ついさっきやって来たんだよ。』

二人は横で並ぶと、手を繋いで何かを話している。

『気の強い兄と賢い弟』

デュースが兄で監督生が弟と言われると逆じゃない?と思うけど、性格を聞くと納得する。

因みに別に監督生に関しては頭が良い訳じゃないけど、デュースよりは良いので。

二人は楽しそうに遊んでいたが、突然デュースは操り人形のように、棘のついた薔薇の茎に似たロープに掴まれた。

そしてそのまま……

「……そんなっ……デュース!」

後ろで眠っているであろう二人の方を見ると、その姿は何処にもなく……それに気付いた寮生達は混乱している。

一際大きなハモりのある歌声で……

『一番アリスに似てたけど』

デュースは監督生を押すと、そこは崖だったのかソレが崩れて落ちていく。

崖の上は綺麗なお花畑なのに……まるで天国と地獄のようだ。

『二人の夢は覚めないから』

薔薇の茎はデュースの首元に首輪のように食い込み、その痛みのせいで

……いや、監督生を操られていたとは言え、崖から落としてしまった事実に泣き崩れ、叫んだ。

手元が映り次のページが捲られると、それはデュースの夢であったことが分かった。

二人は薔薇の咲き誇る木の下で眠っていて、デュースは苦しくて悲しい悲痛な表情を浮かべ、監督生は穏やかな表情をしていた。

『不思議の国を彷徨った。』

パタンと絵本が閉じられた後に、顔が映されると……子供の方は見覚えのある、狼の獣人だった。

「……ジャック」

※おじたん

母親だと思っていた人物は立ち上がってぐるりと回って、周りが赤く染まると、先程放送室にいたエースに変わる。

画面の端に血が飛び散る……もしかしたら……とレオナは頭の中で考察しようとしたが、余りにも残酷で、思考を放棄した。

『お話は面白かった?……それならこっちももっと面白いよねぇ????』

画面が赤い炎に包まれたかと思えば、何処かの舞台のような場所に立っており、エースはマイクスタンドの前でニッコリと笑う。

エースは意気揚々にお辞儀をして、こちらに目を向けながら子供に話し掛けるような、軽い声色で歌い始めた。

『やぁ、初めましてだね?』

ただ、聞き取れない言語で何を言っているのか分からず、淡々と出てくる字幕を追うしか手段はなかった。

少し眉をひそめながら、考えているような仕草をして、制服や寮服の時とは違い両手に黒い手袋をしている。

『此処がどこか教えてくれよ』

字幕が炎で燃えて消える演出が細かく設定されていて、こちら側が興奮状態だからか本当の地獄のような熱さが感じられる。


この世界では確かに大袈裟な仕草をしている人物をよく見掛けるが、エースの場合はそこまで不自然に大きい仕草はせず、声も仕草も表情も自然体な表現なのが多い。

『何でこんなとこに来たのかさっぱりだったけど……』

その為、不自然に見えてそれが子供の頃に夢見た魔法のオモチャ屋さんのような独特な雰囲気を醸し出している。

『ようやく分かってきた気がするよ』

両手を大きく広げて体を軽く反り、ニヤッと笑ってマイク顔を近づける。

『誰もが羨むヒーローには成れないけど』

マイクスタンドからマイクを取り、口元に近付けて心底呆れたような表情で歌う。

『まぁ、それでも構わないよ』

子供が皆憧れるイイコちゃんのヒーローなんて成りたくもない、とでも言うような、そんな表現で何かを彷彿とさせるその姿は、紛うことなきヴィランであった。


そんな様子の我が子(※寮生です)に不安からソワソワしているトレイと、すっかりのめり込んで、ヴィランらしさにゾクゾクしている同じ部活の先輩のジャミルと、フロイドは対照的だ。

因みにリドルとケイトも完全に世界に入ってるので、逃げた二人のことは頭からソッと抜けてしまった。

『ハイスクールでは上手くやったけど』

エースがトランプをまとめて手のひらで抑えながら横に半円を作るようにスライドさせる。

スプレッドは不良品を探す為の行為だと分かっていても、エースの自慢のトランプと華やかである演出にピッタリな配役で、違和感が微塵も働かない。

丁度真ん中に全部裏面だが、明らかに普通とは違う別のカードが混ざっており、不良品かとリドルは思ったが、エースはそれを取ると目の前に置き、トラウマになりかけたあのカード。

『今では裏切り者として有名だ』

それは最近流行った(※監督生が流行らせた)人狼の裏切り者のカードだ。


サビに入って口調や態度が崩れて大きくなると、見下したような目線になり、少し屈んで冷たい表情で歌う。

『ねぇ、そこを退いてくれないか?』

完全にエースでは無くなってしまうような演技や歌に今更ながら恐怖を覚え、エースが恋しく感じる。

……いや、エース本人ですけどね?

エースは屈んだままニコッと笑ってマイクに優しい声を乗せる。

『うん、辛いのは分かってるんだよ?』

あれ?優しくなった?と勘違いしたモブに、間違いを正してあげようと、スクッと立って狂った歌のように謳う。

『でもそれが面白いんじゃないか』

ノイズと共に歌うと思いっきりカメラを蹴り倒し、その反動なのかテレビのチャンネルを変わったような音と共に、音楽なしの彼の声だけが聞こえる。

『俺が狂ってのかな?』


エースの後ろでは、先程まで出てきていた物語のアリス達が、お互いを攻撃し合っている。

「マジッスかぁ~?!」

仲間では無いかもしれないが、同じアリス同士なのに戦うなんて……

『ゲームオーバーしてから色々と変わった』

そう思ったが、次の瞬間アリスの視点と普通の視点が交互に代わると、その残酷さに気分が悪くなり、吐き気がした。

エースの後ろから赤い光が差して、完全な逆光になると、真っ黒のまま歌い続ける。

『でも引退する理由には、ならないだろ?』

視聴者の中でもエースを知っている人は、その声色から顔は見えないのに、表情が分かるような分からないような変な感覚に陥る。

『俺の力で皆を落としてみせるよ』

一瞬音が止んで爆発音と共に、エースの珍しいガナリのある歌声と今までより大きい迫力のある炎の演出がされる。

『この地獄にな』

♪♪※~♪*♪”~

ピタッと音が静かになり、背景がよりよく見えると、 アリス達はどうやら闘技場のようなとこで戦っているようだ。

小さな音楽だけが響く。

『ねぇ、君達に見覚えがあるんだ』

エースがふと気付いたように振り返って監督生とデュースに近付いていく。

途中の攻撃を避けて、二人の肩に手を置くと目を見開いて双子のアリスに語りかける。

もしかしてここからでも、ハッピーエンドになるのかと、期待しながら寮生達は食い入るように観る。

エースはチェリーレッドの瞳をガン開いて、さらに赤くなった目と、異様なオーラを放ちながら双子に問いかける。

『古い仲間じゃなかったか?』

双子の動きは止まり、エースの歌声を静かに聴いている。

『ずっと遠くに居たようだけど』

目をスッと細めて嘲笑うように歌声を紡ぐ。

ふと目で追っていた字幕が消えて、こちら側の言語で……

『また再開出来るなんて運命だね?』


デュースがエースを抱きしめて何かを懇願するように叫んでいる。

しかし、その声はこちらにも聞こえないし、エースはその声を無視して、遠くを見つめる目で監督生に向かって歌う。

『昔は楽しかったよな……』

『お前らと居ると新しい世界が広がった。』

まるでいつものマブ、親友として生きている時のような歌詞に背筋が凍る。

監督生の目隠しに触れて押し下げると、チェリーレッドの輝く美しい瞳と、黒曜石のような綺麗な瞳がかち合う。

『でも一つだけ質問するよ』

そしてゆったりとした、恐ろしい者のようなノイズと崩れた声で……

『君の血はこちらの物か?』

これには此方の世界の住人じゃないことだと解釈していたが、もしも死んだか殺した……殺されたという中の、苦しんだ仲間かを聞いているのかもしれない……と何処かの誰かがコメントして、無事に阿鼻地獄が完成した。


デュースが掴まっている足を蹴飛ばすようにして離れさせると、ラジオから流したような歌声を響かせる。

『ねぇ、退いてくれる?』

この辺りから叫んでいた奴は、意気消沈した様子で聴いている。

『辛いのは分かってるんだよ?』

何処から取り出したのか分からないインクのような物が形作った椅子に座って、歌っていたエースはふと画面に触れると、切り替えて監督生とデュースの決着を見せてくる。

『でも楽しんで幸せじゃないか!』

他のアリスは死んだように動かない。

『狂ってるのはどちらかな?』


攻撃しようとする監督生に、デュースは悟ったように攻撃を止めてひれ伏す。

『離れてから沢山変わった。』

エースはそれに近付いて、先程狂ったように避けながら歌った後だからか、少し息を切らしたように……

『でも逃がしはしないよ?』

妙に色気のある声なのに、恐怖の方が勝ってしまうのだから、正真正銘コイツはヴィランだ。

『俺達で楽しいショーを始めようじゃないか!』

『この地獄で!!!』

爆発音と共に闘技場のような場所が崩れて、どんどん炎と溶岩のような物体が溢れて、木の部分からなぎ倒されていく。


『おい、邪魔だから退いてくれないか?』

エースは監督生に、乱暴な歌詞とは裏腹に、手の甲にキスを落としてニッコリと笑う。

顔色が晴れない監督生に呆れたような表情になった。

『はぁ、辛いのはよく分かったよ』

……が、すぐに手を引いて回してやると、監督生は所々赤い真っ黒な服装と独特の翼……いわゆる悪魔のような服装に変わる。

『でもこんなに楽しいショーが開幕した』

デュースのエメラルドのような青の瞳が映され、対比するようにエースの瞳に焦点が合う。

『狂ってるのはどっちだった?』


先程の丁寧な扱いはどうしたのか、監督生をドンッと押して、デュースの方に倒れた筈が、カメラはそちらを向かずに、エースを追う。

『死んでから色々と捻れた』

勢いのまま歌い続けるエースは、完全に双子のアリスなんて気に掛けていない。

『でもこれで終わりなんてつまんないだろ?』

足元を見ると、死んだように倒れているアリス達をエースは踏みつけにして歩いている。

『終演する前に落としてあげるよ』

『この地獄に』

その瞬間エースの食い込んでいた首輪が、外れてカランッと音を立てて落ちた。

これには視聴者も動揺を隠せなかった。(※始めから隠せてないけど)


エースは一瞬驚いたような表情になったが、すぐに澄ました顔に戻り、燃え盛る炎の中を歩く。

『ねぇ、退いてくれる?』

エースの口元が映されると、もう歌っていなくて音声だけが流されている状態だ。

『君も辛いのは分かってるんだよ?』

倒れているデュースと監督生が映されて、理解した。

『でもこれが楽しいんだよ。』

入れ替わったのだ。監督生に首輪が付けられていて、デュースは……息を引き取っている。

一言監督生が問いかけるように歌う。

『俺が狂ってるって、?』

音楽が止まり、周りのやけにリアルな燃える音が聞こえてくる。

エースが監督生の赤い首輪に触れると、監督生が此方の世界の言語で言った。

『ジョーカーはど~っちだ?』


次の日にまとめて拉致られた。何処の寮とは言わない。

マジカメでは努力が実を結んで、再生回数が一億を突破した。



ここからは監督生の解釈や、その他の裏話を載せてます。解釈違いがある可能性がございますので、ご注意下さい。




まず始めに字幕に関しては監督生が考案した物で、初めの頃によく読めない文字がゆっくりと日本語に翻訳されるのを見て、もしかしたら翻訳魔法なんかが使われているのかもと解釈して、詳しそうな人に聞くのが良いと思い、探しまくって学園長を見つけた。

そして学園長に聞くと、「ここには共通言語はあれど貧富の差がありますからねぇ……」と肯定を述べたので、今回の音声では特殊な機械を使って翻訳魔法が効かないようにしてから、その言語の翻訳を監督生とジャックが行い、エースにひたすらこちらの世界の英語を歌わせて何とか作ったのだ。

今回の動画は一番出費が凄かった。

そして毎回どの作品にもオンボロ寮は映らせずに、現地に行ってみたり学園長に頼んで魔法の別空間の中で少人数で撮影を行い、衣装等はクラスメイトと話し合ってクル先に頼んでいた。

材料費は最近愛され過ぎて、増えたマドルと先生の優しい心遣いで何とか乗り切ってきたが、今回は普通に金かかったので……コメント欄に撮影後の感想を述べることにした。

グリム「はらへったんだぞ、きのうからなにもたべてない」

エース「とりあえず終わって良かったわ、疲れたんで早めに寝たい」

デュース「ドキドキハラハラが感じられたら良いと思う、沢山見て欲しい!!」

エペル「もぉ、本当に頑張ったし、やっと終わったぁって感じ……カナ?」

ジャック「今回は翻訳に携わっていて、出番が少なかったが、楽しんで貰えたら嬉しい」

セベク「訓練よりは雑だが、剣を振るうのはやはり気持ちが良い。ただエペルやグリムがエースに攻撃を当てないか若干心配だった。」

グリムのコメントのお陰で食料を恵んで貰いました。

それとエースの曲の始めにお辞儀とあるんだけど、これはボウ・アンド・スクレープというお辞儀で、ヨーロッパの貴族が身につける挨拶と言われているらしい。

よくショーの挨拶に使われているイメージだったので、エースに猛練習してとお願いして、とにかく完璧になるまで取り直した。

お疲れエース……!

小さい頃ってやっぱり魔法を夢見ると思うんだよね。 それはあっちの世界に魔法がないからかもしれないけど、親に教えられた架空の魔法なんかを夢見ることもあるだろうと思う。

それに誰でも魔法を使うことが出来るわけでは無いと思うので、多分こっち子供も同じように夢見てるんじゃないかなって思ったので、そんな表現をしてみた。※(子供の頃に夢見たオモチャ屋さんのような……)

後々魔法が使えるようになるであろうチェカ君でもユニーク魔法やその他の魔法の描写が無い所を見ると、もしかしたら幼い頃は皆平等に魔法を夢見てる普通の子なんじゃないかと思い、そんな表現を演出した。

今回途中でハーツ寮から二人が居なくなったのは単純にエース達が居なくて寂しいので、リドル達に取られた仕返しに丁度良い所で連れ去った。

ハーツとスカラビアの寮父、寮母(※子供だけに寮の全てを任せることはないと思う。)に頼んで鏡を繋げて貰い、動画を投稿する前にカリムに頼んで絨毯を借りて、ハーツの談話室にある窓からソッと逃げた。(男子校の寮だから多分寮父かな……)

エースとデュースは嬉しそうだった。可愛い

後からちゃんと追ってきたし、他の寮生も防犯完備ガバガバな寮なので大量に召喚された。(※ツノ太郎は遅れて来たので、皆とアイス食べた。)

人狼に関しては多分只でさえ毎日疑って探り探りなのに、これのせいでより疑い出してキリがなく、途中で取り上げられた。(トラウマになった人もいるかも…?)

アリス達が攻撃する場面で、セベクは剣では切れない枝が絡まり、殺傷力があげられている剣を使い、爆発にも耐えられる斬り倒して来た植物達が、各々の方法で防御する。

エペルが持っている林檎に近づくと体が重く遅くなり、触れると爆発して食べると動けなくなるし、それ以外では体術のほぼ防御に特化した攻撃を行う。

グリムはお菓子になってしまう炎を吐き、マントはゴムのように伸びる盾となり、小さな飴たちが出てきてグリムの炎で溶けて消火して、それを踏むと対象者は海に落ちたように溺れてしまう。

デュースは薔薇の棘のある茎が剣や盾となり攻撃をして、時間が掛かるが茎が形作った大釜からは、沢山の水が流れて相手の攻撃を防ぐことができる。(因みに飴の攻撃も例外なく防ぐことができる)

監督生はかつてのエースのように目隠しを付けられていて、デュースの危機に身を呈して守ったりする。 (皆ハラハラしながら攻撃してましたw)

アリス達の視点では各々の恐怖が襲ってくるような映像が流れて、例えばセベクなら大量の斬り倒して来た植物が人に変わり、自分が人を殺してきたという事実を理解した後、その植物(人間)に見えているエペル達を倒さなければならないというような視点に気持ちが悪くなってしまった人も多い。

監督生の正体って悪魔をモチーフにファンタジアのチェルナボーグが挙げられてるのを知って、(噂されてる)途中変更してこんなラストになった。(※普段のマジカメの投稿のせいでもある。)

最後は監督生とエースが逆になっていますが、一応どちらの名前を言ったのか分からないので最後に歌ったのはエースかもしれないし、監督生かもしれない……各々の解釈違いが見れそうだね。

途中で踏んだアリス達は、前回の動画で使った紙芝居人形の人間に近いアリス版で、高かったから普通に踏むの躊躇った。

ジョーカーはシャレや冗談をよく言う人や、最高の切り札として手元に無い札の代用として使うらしいと聞いて、ユニーク魔法のない彼が最後のシーンにジョーカーとして魔法を放ったら格好良いなと思ったので、最後のセリフは分かるように、こっちの世界の言語でお願いした。

ありがとうございました。



※『人/柱/ア/リ/ス』

歪P様

※『I/N/S/A/N/E』


(^-^)スミマセン……チョットワカラナカッタデス

ツイステで投稿してみた

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

13

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚