最初の頃、行為中に声が出ていたのは阿部ちゃんの方だった。
くしゃっと眉を寄せ、少し恥ずかしそうに息を漏らす阿部ちゃんの姿を見て、俺はなんとなく優越感を覚えていた。
自分の動きひとつで、阿部ちゃんが甘い声を漏らすのがたまらなく気持ちよかった。
……それなのに、いつの間にか立場は逆転していた。
「っ、あ……! あべちゃん、や、ま……っ」
ベッドの上で揺さぶられながら、俺の口から次々と声が零れ落ちる。
汗に濡れた額、蕩けきった瞳。
息も荒く、必死に阿部ちゃんの肩を掴むけれど、腕にまったく力が入らない。
ガンガンと腰を打ち付けてくる阿部ちゃんは、まるで別人みたいだった。
「……っさ、くま……かわい……」
耳元で囁かれる掠れた声。
熱の滲んだ声音に、全身がさらに痺れるような感覚に包まれる。
(……阿部ちゃんのほうが、かわいかったのに……)
どこか冷静な頭でぼんやりとそんなことを考える。
目の前の阿部ちゃんはもう理性なんて欠片も残っていないみたいで。
気づけば、指先がシーツをぎゅっと握りしめていた。
「っ、あ、も……っ、だ、め……」
どれだけ懇願しても、阿部ちゃんは止まってくれない。
いや、むしろその反応が楽しいとでも言うように、さらに深く、強く突き上げてくる。
「さくま……もっと、聞かせて……」
その声にまた身体が跳ねる。
これがあの阿部ちゃん?
普段は冷静で、何事にも慎重で、ちょっと理屈っぽくて。
でも、行為の最中は少しだけ可愛くなって、俺に身を預けてくれるはずだった。
なのに、今の阿部ちゃんは……。
「ん……、っ、あべちゃ……っ、はげ、し……っ」
痺れるほどの快感に、思考が揺らぐ。
ゆっくり余裕を持って楽しむ夜も好きだけど、こんなふうに溺れるみたいな夜も悪くないな。
コメント
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結局、いいんかーーい!ってなりつつ、この話好きです🫶