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1957年のソ連。スペースレース真っ只中。
スプートニク1号の打ち上げに成功すると、当時のソ連のトップ、ニキータ・フルシチョフは、「革命記念日までに何か目立つものを打ち上げよ」という命令を出した。そこで、当時の責任者は、犬を打ち上げることに決めた。しかし、命令から革命記念日まで1ヶ月もない。そのために、ソ連の技術者たちは突貫工事で作業に取り掛かった。
まず、犬を入れるための直径64cm、長さ80cmの機密カプセルを作成し、そこに犬を入れる空間や生命維持装置などを搭載していった。餌供給装置、酸素供給・二酸化炭素除去などの空調設備は、約1週間の維持が可能なレベルで設計されていた。餌はシステム簡素化のために1種類のみ供給することになった。これが1日1回、約100gが犬に与えられる。
他にも様々な準備が大急ぎで進められた。しかし、ある大きな問題は、後回しにされていった。
こうした衛星の準備が大急ぎで進められる一方、犬の選別も進んでいた。
訓練は、まず犬を少しずつ狭いスペースに慣らすところから始まった。衛星を模したカプセルの中に犬を入れる閉鎖訓練で、徐々にカプセルを狭くしていく。犬たちは初めは吠えたりして不安を訴えたが、やがて慣れ、落ち着いていった。
次に、衝撃や重力加速度への耐性訓練が行われた。ロケットが宇宙へ飛び立つためには地球の重力を振り切らなければならないため、打ち上げ時にはすさまじい衝撃と地球の何倍もの重力がかかる。それに事前に慣れておかなければいけない。最終的には犬たちに6G、地球上の6倍もの重力がかけられた。
これらに適応できない犬は訓練から外されていき、この時点で6匹の犬が最終選別まで進んだ。ここからは、実際のカプセルを用いた訓練が始まる。
最終的に選ばれた犬は3匹。ロシアンスパニエルとサモエドハスキーの雑種である「クドリャフカ」、「アリビーナ」、そして「ムーハ」。アリビーナとムーハは、クドリャフカが体調不良などで宇宙へ行けなくなった時の控えとなった。
クドリャフカは、「巻き毛のワンちゃん」という意味。のちに「吠えっ子」という意味の「ライカ」という名で呼ばれるこの犬は、他の2匹とともに、打ち上げまで最終訓練を受けた。