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照が支社へ戻るまで、あと一か月。
本社では送別会の話が少しずつ出始めていた。
「岩本さん、本当に戻っちゃうんですね」
💛「うん」
「寂しくなります」
💛「たまには顔出すよ」
後輩たちは名残惜しそうに笑った。
────────
一方、支社。
💜「目黒、その見積書できた?」
🖤「もう少しです!」
💜「分かんないとこあったら呼んで」
🖤「はい!」
以前より目黒は仕事を覚え、辰哉が付きっきりで教える時間も減っていた。
それでも目黒は、用事を見つけては辰哉の席へ来てしまう。
🖤「深澤さん、この数字って…」
💜「ああ、それはね」
辰哉はいつも通り答える。
何も変わらない。
だからこそ、目黒の気持ちは少しずつ苦しくなっていた。
────────
昼休み。
康二が目黒の隣へ座る。
🧡「めめ」
🖤「はい?」
🧡「一個だけ聞いてええ?」
目黒は静かに頷く。
🧡「まだ好き?」
少しだけ沈黙が流れる。
🖤「……はい」
隠すことはしなかった。
🖤「諦めようとは思ってるんですけど」
🖤「簡単じゃなくて」
康二は優しく笑う。
🧡「そうやんな」
🧡「でもな」
🧡「深澤さんを困らせるようなことだけは、せんといてな」
目黒は真っ直ぐ頷いた。
🖤「それだけは絶対しません」
────────
その日の夜。
照と辰哉はビデオ通話をしていた。
💜「あと一か月だね」
💛「長かったな」
💜「ほんとに」
少し沈黙が流れる。
💛「帰ったらさ」
💜「うん」
💛「最初の休み、どっか行こう」
💜「いいね」
💛「何食べたい?」
💜「焼肉」
💛「即答」
💜「ずっと我慢してたもん」
💛「じゃあ決まり」
二人は笑い合う。
その笑顔は、画面越しでも幸せそうだった。
────────
翌朝。
支社のエントランス。
目黒が出社すると、受付で一人の女性社員が話しているのが聞こえた。
「来月には岩本さん戻ってくるんですよね」
「深澤さん、最近ずっと楽しそうですもん」
「やっぱり仲いいですよね、あの二人」
目黒の足が止まる。
“岩本さん”
“深澤さん”
二人の名前が並ぶ。
心のどこかで引っかかっていた違和感が、少しだけ形になり始める。
🖤「……岩本さん」
その名前を、小さく口にした。
コメント
2件
うおお… めめを応援したい気持ちはめっちゃあるけどいわふかを壊したくないっ…
第41話、読み終えました……。 照さんが戻るまでのカウントダウンが静かに進む中で、目黒くんの気持ちが少しずつ形になってしまうのがとても切なかったです。康二さんの「困らせるようなことはせんといてな」という優しい釘刺しも、目黒くんが「絶対しません」と即答したところも、彼の誠実さがにじんでいて胸がじんとしました。 最後、エントランスで“岩本さん”と“深澤さん”の名前が並ぶ声を聞いて足を止めるシーン――あの一瞬の間が、読んでいて痛いくらいでした。お互いを想い合う静かな距離感が、とても丁寧に描かれていて好きです。続きが気になります……!