6時ぴったりにアラームが部屋に響いて,今日もまた大嫌いな現実が始まる。家族と適当に会話し,重い足で学校に向かう。きっとネットの友達が見たら別人に思われるくらい現実での私は暗い。学校でも1人浮いていて,幼なじみの詩丘すみれがいることが1つの救いだった。しかし,すみれとは昔のようにずっと一緒ではなく,むしろ最近ではすみれにいいように扱われているのではないかと疑問を持つようになってしまう。そんなこと思ったらいけない。自分をそう戒めながら今日を静かに過ごす。
移動教室に向かっている途中,1つのグループに少しぶつかってしまった。というより相手がぶつかってきたのだが…こちらにも非があるだろうし…
「あ…ごめんね」
「あはは!それでさ〜」
向こうは私に気づかなかったようだ。まあいいや,慣れてるし。こんなこと日常茶飯事だ。しかし,グループの中心的存在の長岡さんだけは私の方を少し睨んでいた。え…私長岡さんになんか悪いことしちゃったっけ?どうしよう…
考えている間に長岡さんのグループは通りすぎて行った。はぁ…こんな現実大っ嫌い。早く家に帰りたい…なんて思っていると,後ろから黄色い声が聞こえてきた。
「蒼唯〜!ねぇねぇ今日放課後空いてる?」
「空いてるけど…どうしたの?」
すみれだ。今日はなんの用だろう?
「あのね,今日何人かで遊ぶんだけどさ,蒼唯も一緒に行かない?てか行こ?お願いついてきて〜!」
「しょうがないな…いいよ」
「やったぁ♡ありがと蒼唯!やっぱり頼りになるぅ!」
ぶっちゃけめんどくさいから行きたくないけれど,私は頼まれたら断れない主義なので頷いてしまった…まあいっかどうせ空気だし。
これが私の現実。でも大丈夫。私にはエブシンがあるから。どれだけ嫌なことがあっても大丈夫。そう思っていた。
コメント
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精神描写と、言葉の組み合わせが絶妙で凄く読みやすかった!