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これは宿題をしている時だった。
「あー、宿題だりーなー」
俺、山田コウスケは、中学2年生。今ちょうど国語の宿題をやっている途中だ。
「……あの手、使っちゃうか⁉︎」
『あの手』とは、簡単に言えば答えを写すこと。
今年の国語の担当教師は、自己採点体験のために、回答用紙を同時に配っていた。つまり、自分で問題を解かなくても、写すだけで埋められるのだ。
でも、誰だって思いつくこの手を、実際にやる奴は少ない。全問正解で提出したら、不正がバレバレだからだ。
だが俺は違う。
俺の秘策は、「わざと不正解を混ぜる」こと。
簡単な漢字問題は丸写しで構わない。問題は、最後の方のややこしい問題──30字程度でまとめよとか、作者の気持ちを〜とかいう問題だ。
ここにあえて“惜しい間違い”を書き込むことで、まるで真面目に取り組んだかのような提出物が完成する。
重要なのは、敢えて間違えること。正解は知っている。だから、似ているけど微妙にずれた解答を書く必要がある。
俺は問題文と向き合い、フェイクな文章をひねり出す。
考える。考える。
考え──思いつかない!
完璧なアイデアはあるのに、それを形にする頭脳が俺にはなかった。
そして迎えた提出日。
国語教師
「はーい、山田くんオッケー。次の人〜」
俺は結局……
普通に問題を解き、
普通に答え合わせをし、
普通に宿題を提出したのだった。