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白山小梅
12
#借金
1,754
瑠維はサイドテーブルの引き出しを開け、そこからコンドームを一つ取り出す様子に春香は照れてしまい、両手で顔を覆う。
正直なところ、春香は付き合ってもすぐに別れてしまうし、その行為に何の意味があるのかハッキリ言ってわからなかった。挿れようとしても痛くて抵抗して、そこで相手も萎えて終わってしまうことがほとんどだった。
でも今は瑠維が欲しくてたまらないーーこんなに高揚感を覚えたのは初めてだった。
入口に瑠維のモノがあてがわれると、あまりにも久しぶりの感覚に緊張し、ゴクリと唾を飲み込んだ。
急に体が強張ったのを瑠維も感じたのか、春香の頬を優しく撫でる。
「緊張されてますか?」
「えっと……うん……少し……」
「実は僕もです。だってずっと想像していた春香さんより、実物は柔らかくて甘くて……。春香さんの香りに酔ってどうにかなりそうです」
「もう……瑠維くんの言葉ってやっぱり作家さんって感じがする……」
「嫌ですか?」
困ったように笑った瑠維の顔を引き寄せ、春香は唇を押し当てる。
「嫌じゃないよ……」
春香の力が抜けたその瞬間、瑠維がゆっくりと入ってくる。久しぶりだし、痛いことを想像していた春香は、あまりにも自然に体が彼を受け入れたことに驚きを隠せなかった。
「春香さんの中……温かい……優しく包まれているみたいだ……」
瑠維は春香を力強く抱き寄せ、腰を動かしていく。その途中で視線が絡み合うと、お互いを求め合うような口づけを繰り返した。
二人が一つになれたことを確認するように、瑠維は何度も春香の中で動き、奥まで突き上げる。それだけで春香の息は上がっていく。
「瑠維くん……すごく気持ちいい……」
「良かった……僕も気持ちいいです……」
それから瑠維の腰の動きが少しずつ激しくなり、春香の意識がぼんやりしてくる。何も考えられないほどの快楽の波が押し寄せ、やがてやってきた絶頂の瞬間に果て、二人の体はベッドに沈み込んだ。
大きく胸を上下させ、二人はベッドに転がった。それから瑠維が腕を差し出したので、春香はその腕に頭を載せた。
視線が絡み、見つめ合うと、どうしてもキスをしたい衝動に駆られ、春香の方から唇を重ねる。まさかキスをされるとは思っていなかったのか、瑠維は照れたように俯いた。
「春香さんは僕の想像を越えてくる……」
「……そうなの?」
「そうなんです」
「例えばどんな?」
春香はきょとんとした顔で目を瞬く。
「……春香さんがあの本を読むなんて思いもしないじゃないですか」
「なんで思わないの? 私だって本くらい読むよ」
「読んだとしてもロマンス小説ですよね」
「うっ、確かにそうだけど……」
「だからきちんと説明しようと思って、考えをまとめるためにプールに行こうとしたのに、一緒に来ると言い出すし」
考えをまとめようとして? そう言われ、瑠維が時折黙り込んでは考えこむ姿を思い出した。
つまりあの短時間では考えがまとまらず、わざわざプールまで行こうとしてたということだろうか。
「それにフラれる覚悟でいたのに……僕を好きだなんて言われたら止められないですよ」
「……ん? なんでフラれるって思うの?」
その言葉を聞いて、瑠維は悲しげな笑みを浮かべる。
「春香さんはきっと何も覚えていないんですよね」
「それって……あの小説に書かれていたこと?」
瑠維は春香の髪を撫でながら、過去を懐かしむように目を細める。
「僕は中学の時から、他校生にも関わらず、池田先輩に憧れていたんです。だから同じ学校に進学しました。でもいざ入学してみたら、先輩の隣をずっと陣取ってる人がいるじゃないですか。おかげで部活の時にしか先輩と話せる機会はありませんでしたよ」
それはどう考えても一人しかいない。春香は苦笑いをしながら瑠維を見つめる。
「……もしかして、それが私?」
「その通りです。僕は自分の生活から愛だの恋だのは徹底的に排除していたので、言い方は悪いですが、春香さんたちのチャラチャラした雰囲気が最初は嫌いでした」
確かに瑠維たちのような真面目なタイプから見れば、春香たちはどこか浮ついていたのは否めない。
「うわぁ……散々な言われよう……」
「僕の周りには恋愛ごときで練習に身が入らなくなったり、受験勉強が疎かになる奴がゴロゴロいて、部活も勉強も全力投球してこそ充実した青春だと思っていましたからね」
瑠維は春香の頭の下から腕をゆっくりと引き抜くと、再び春香の上に覆い被さる。それから春香の足を掴むと、自分の肩に片足を載せた。
足を開かれたことで露わになった部分を見られるのが恥ずかしくて、慌てて足を閉じようとしたが、瑠維の力には敵わなかった。
「やだ……恥ずかしい……」
「さっきはもっと恥ずかしいこともしましたよ」
瑠維はニヤリと笑うと、太腿の内側にキスをする。
「あの日図書館で春香さんのこの脚を見てからおかしくなったんですよ……。今まで女性に対して抱いたことのなかった感情が込み上げて、初めて先輩に嫉妬しました」
「それって……私を女として意識したってこと?」
瑠維は小さく頷くと、太腿に何度もキスをし、舌を這わせながらゆっくりと上へと上がっていく。
「だけど僕は春香さんの視界には入ることが出来なかった。だってあなたは先輩しか見ていなかったから」
胸の頂を指先でいじられ、息遣いが荒くなる唇を塞がれた。
「春香さん……僕は独占欲の塊なんです。あなたを誰にも渡したくないし、僕だけのものにしたい。そんな僕でも……」
瑠維が最後まで言い切らないうちに、春香は彼の首に腕を回し、引き寄せるようにキスをする。
「大好きよ……瑠維くんだから好きなの……。私を守ってくれたのも、私を安心させてくれたのも瑠維くんでしょう? 私だって瑠維くんにしかこんなことを思わないし……瑠維くんとしかしたいって思わないよ」
春香が言うと、瑠維の瞳が少しだけ潤んだように見えた。その瞬間、瑠維が春香の体を貫き、何度も何度も突き上げる。再び快楽の波に乗り始めた二人は、春香の体が弓形に張った瞬間、絶頂を迎えて果てたのだった。
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